米ドル相場の反発材料

Summary

今週の外為市場の焦点は、米ドル相場が反発するか否か、この点にあろう。①2017年に入り鮮明となっているインフレの鈍化、②米利上げペースに対する不透明感の高まり、③迷走するトランプ政権、と現在の外為市場には米ドル売りの材料が事欠かない状況にある。だが、一方向に振れ続ける相場はない。今週、米ドル相場が反発する材料として注視すべきは、以下3つとなろう。

bg_usd_8775

Analyst's view

第一は、米ドル相場との相関性が高い10年債利回りの調整(=反発)である。現状、今年最低水準である2.103%を再び視野に入れる状況となっている。7月以降、低下し続けてきた経緯を考えるならば、短期的に米債ロングの持ち高調整の圧力が強まる可能性がある。米金利が反発すれば、米ドル相場でも調整(=米ドルのショートカバー)圧力が強まろう。米債市場での調整圧力を強める要因として注視すべきは、米株高の維持と良好な指標データとなろう。

次に注視すべきは、ユーロ相場の動向である。この点を見極める上で重要な材料は、米ワイオミング州のジャクソンホールで開催される経済シンポジウム(24日~26日)でのドラギ発言である。現行の金融緩和政策の変更について具体的な言及があれば、「ユーロ高/米ドル安」の圧力が再び強まる可能性がある。だがECB議事録では、急速に進行したユーロ高のネガティブインパクトと金融政策の変更に付随するリスクについてメンバーが認識していることが判明。また、ドラギ総裁は今回の会合では金融政策に言及しない、との一部報道もある。報道通りならばユーロ高の調整が続くことで、米ドルを買い戻す動きが強まろう。だが、Summaryで述べた米ドルを取り巻く状況を考えるならば、そのまま米ドル高トレンドへ転換する可能性は低いだろう。むしろ調整色の濃いレンジ相場へシフトする展開を想定したい。現時点での想定レンジの下限は、ビッドが観測されている1.1600レベル。テクニカル面では、直近高値1.1910からの38.20%戻しにあたる。一方、上値の攻防分岐は、短期レジスタンスラインとなろう。このラインの突破は、1.19再トライのシグナルと想定したい(チャート①参照)。

最後の材料として注視すべきは、トランプ政権のキーマン達と対立を深めていたスティーブ・バノン首席戦略官・上級顧問の解任が与える影響である。18日の外為市場ではこれを「政権の仕切り直し」と好感し、ひとまず米ドルの買戻しで反応。しかし、バノン氏の解任劇に対しては、トランプ氏を支持してきた勢力から非難する声が聞かれる。よって、米ドル相場の反発材料となるかどうかは、今後のトランプ政権の支持率と各市場の相関性、特に米金利の反発の鍵を握る米株の反応を注視する必要がある。今回の解任劇がトランプ政権をさらに迷走させることになれば、①米政治の混迷=米金利低下、②国内の批判をそらすための通商交渉の加速=米ドル安、という展開が今後加速する可能性がある。

最後にドル円だが、今週のコアレンジは108.00-111.00を想定。株高の維持や良好な米指標データを背景に米金利が反発すれば、上限トライとなろう。21日MAの上方ブレイクを111.00トライのシグナルと想定したい。逆にバノン解任劇が米国市場でのリスク回避要因となれば、米金利の低下と株安のダブルパンチにより、上述した108円ブレイクの展開が想定される。108.00にはビッド、下にはストップの観測あり(チャート②参照)。


【チャート①:ユーロドルチャート】

chart1_20170821


【チャート②:ドル円チャート】

chart2_20170821

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • 取引所と価格

    商品は、ほぼすべての製品の裏側の不可欠要素として、近代経済になくてはならないものです。不安定ながらも価値の高い天然資源が、幅広い取引の世界でどのような位置を占めるのか学んでいきます。

  • IG証券の原油先物取引

    商品は、ほぼすべての製品の裏側の不可欠要素として、近代経済になくてはならないものです。不安定ながらも価値の高い天然資源が、幅広い取引の世界でどのような位置を占めるのか学んでいきます。

  • 取引の過ち

    金融取引において心理状態は重要な要素であり、どのように取引を理解し反応するかが成功に大きな影響を与えます。ここでは、取引での心理状態についていくつかの要素を紹介し、気を付けるべき一般的な過ちを確認していきます。