変化する政策潮流 乗り遅れる黒田日銀

Market Overview

昨日の海外外為市場は、ユーロ高の展開となった。ドラギECB総裁はこの日の会見で、今秋にも現行の金融緩和政策の変更について議論すると言及。これを受け外為市場ではユーロ買い圧力が強まった。ユーロドルは1.16台乗せに成功すると、1.1658レベルまで急伸。ユーロ円は大陽線の示現で130.00を突破し、今月12日以来となる130.27レベルを付ける局面が見られた。一方、米ドル相場は下落トレントを維持した。この日の米10年債利回りは、10年物インフレ指数連動債(TIPS)入札の応札倍率が1.98倍と2008年7月以来の低水準だったこと、そしてトランプ政策への不透明感が引き続き意識され、一時は2.24%を割り込む局面が見られた。米金利の低下は米ドル安圧力を強め、ドルインデックスは94.09と、昨年8月18日以来の水準まで下落する局面が見られた。

欧米株式は強弱まちまちの展開となった。主要な欧州株式はユーロ高が嫌気され下落した。一方、英国FTSEはインフレ鈍化とそれに伴う利上げ観測の後退が意識され上昇した。一方、米株は高値警戒感からダウ平均とS&P500が下落するも、ナスダック総合は前日比4.96ポイント高の6,390ドルで終え、連日で過去最高値を更新した。

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Analyst's view

ドラギECBは、イエレンFRBに追随することを改めて表明した。さらにその後ろには英国、カナダそして豪州も金融緩和政策からの脱却を模索し始めている。昨年の米大統領選挙以降、世界の政策潮流が急速に変化する中、その流れに乗り遅れているのが、他ならぬ黒田日銀である。デフレ経済脱却の道半ばで立ちすくむ黒田日銀の存在は、時間が経つごとに際立つだろう。この状況は基本的に円安要因であるが、これは金融政策の面だけで判断した場合である。国際政治の情勢も絡めて考えるならば、事はそう単純ではない。黒田日銀の異質な存在感が高まれば、それは米ドル安政策を志向するトランプ政権のターゲットになることを意味するからだ。
上述のとおり、米ドル相場の方向性を示すドルインデックスは今年3月以降、持続的な米ドル安圧力がかかり続け、昨日は昨年8月18日以来の水準まで低下した(チャート①参照)。この間における主要なドルストレートの騰落率を確認すると、ドル円の下落(=円高)率が低いことがわかる(チャート②参照)。対円以上に米ドル高が進行しているのがブラジルレアルだが、これは5月の政治リスクというイレギュラーが影響したためである。7月以降、対米ドルで急騰している点を考えるならば、日本円よりも米ドル安が進行したと捉えることができる。年後半のドル円は、トランプ政権からの圧力に直面する可能性が高いだろう。

現状は世界的な株高傾向にある。このトレンド自体は円安要因であることから、米ドル安圧力を相殺しよう。よって、現時点でドル円が108円を一気にトライするリスクは低い。目先は、111.00を挟んで展開している日足一目雲の攻防を見極めたい。このテクニカルで反転するならば、再び114円台を目指す可能性が出てくる。逆にこのレベルを下方ブレイクするならば、110.00トライのシグナルとして警戒したい。詳細なチャート分析は、本日のテクニカルレポートにて。


【チャート①:ドルインデックス】

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【チャート②:ドルストレートの騰落率】

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