円高と政治リスク

Market Overview

12日の海外外為市場は、中東や北東アジアの地政学リスクが意識され円買い優勢の展開となった。安全資産への需要が増したことで米債の買い圧力が強まり、金利は各ゾーンで低下。米ドル相場との相関性が高まっている10年債利回りは2.3%台の水準を下方ブレイクした。米金利の低下は米ドル安圧力を強め、円高圧力も重なったドル円はついに節目の110円割れ。本日早朝に109.53レベルまで低下する局面が見られた。クロス円でも円高圧力が強まり、ユーロ円は昨年のBREXITショック時に付けた安値109.54レベルを起点としたサポートラインを完全に下方ブレイクし116.15と、昨年11月中旬以来、約5か月ぶりの水準までユーロ/安円高が進行した。

欧米株式動向だが、上記の地政学リスクとそれに伴う金利低下が意識されテクノロジーや金融セクターを中心に総じて軟調地合いとなった。ただ、米四半期決算への期待も根強いことから米株の下落幅は限定的だった。NY原油先物5月限はシリア情勢や米原油在庫の減少期待を背景に続伸した。

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Analyst's view

ドル円はついに節目の110円割れ。11日のレポート「ドル円特有のリスク要因を意識する局面」で指摘した通りの展開となった。今後の動向だが、目先は行き過ぎた円高の調整が散見されるだろう。その際注視すべきは、これまで強固にドル円をサポートしてきた110.00がレジスタンスへ転換するかどうか、この点にあろう。トランプラリー高安の50.00%戻しと週足基準線がクロスしている重要サポートポイント109.93レベルを完全に下方ブレイクしている局面で、110.00レベルまでがレジスタンスへ転換するならば、テクニカル面でさらなる下落シグナルが点灯したと市場関係者は判断しよう。また、オプション市場の動向にも注視する必要があろう。1か月物ドルプット(円コール)の需要が急速に増しているからだ。今週は、北東アジア情勢が国際政治リスクとして注視されやすい状況にある。しかし、1か月スパンで考えるならば、15日に議会提出の期限を迎える米為替報告書、18日に予定されている日米経済対話、そして4月下旬から5月上旬にかけてのフランス大統領選挙と、円高圧力を強める政治リスクが目白押しである。ドル円のダウンサイドリスクとして最も注視すべきは、18日の日米経済対話だろう。米国サイドは事前に貿易分野を重視する考えを通告している。米中首脳会談で策定された「100日計画」で中国の牛肉輸入の制限が話し合われたこと、また豪州産の牛肉に日本のシェアが奪われている事実も考えるならば、米国サイドは農業分野に鋭く切れ込んでくる可能性がある。しかし、この分野はTPP交渉でもわかるとおり、日本サイドにとって最も譲歩出来ない分野である。初回の対話で早速日米の対立が鮮明となれば、内憂外患の安倍政権への不透明感が市場で意識されよう。引き続きドル円のダウンサイドリスクを警戒する場合、次の下値焦点は200日MAとなろう(チャート①参照)。

一方、ユーロ円での円高進行にも注意しておきたい。上述の通りテクニカル面ではサポートラインを完全に下方ブレイクしている。これはトライアングルの下方ブレイクを意味し、さらなる下落シグナルと市場で捉えられよう。ユーロドルのオプション動向を確認すると、1か月物と2か月物ユーロプットの需要が4月以降急速に増している。フランス大統領選挙への不透明感が意識されていることは明白であり、且つ目先のECBによる金融政策が現状を維持する公算が高まっている点も考えるならば、ユーロ売り圧力が継続する可能性があろう。この状況で上述した日米政治リスク要因までが重なれば、ユーロ円はトランプラリー高値124.10レベルからの61.80%戻しにあたる115.11レベル(115.00)をトライする可能性が高まろう(チャート②参照)。


【チャート①:ドル円】

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【チャート②:ユーロ円】  

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