期待先行相場の転換点

Market Overview

15日の海外外為市場でも米ドル買いの騰勢は止まらず。ドル円は109.00のオファーをこなすと109.34レベルまで急伸。一方、ユーロドルは1.07台は維持するも、7日連続で陰線が示現する展開となった。一方、資源/新興国通貨は強弱まちまちの展開に。この日のNY原油先物相場(WTI12月限)は、サウジアラビアとロシアのエネルギー相が減産について協議するとの報道が好感され4営業日ぶりに急反発。原油価格との相関性が高いカナダドル、ノルウェークローネそしてロシアルーブルは米ドル高圧力を跳ね除け堅調に推移した。一方、ブラジルレアルやチリペソといった南米通貨は対ドルで下落基調が継続した。

海外株式動向だが、原油先物相場の反発が好感され欧米株式は堅調推移。また、ドル高が進行する中、軟調地合いにあった新興国株式市場の一角も反発した。米債券市場は、値ごろ感から債券買い圧力が強まるも各ゾーンの利回りの低下幅は限定的。10年債利回りは2.22%台、2年債利回りは1.0%台を維持した。

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Analyst's view

米ドル相場の方向性を示すドルインデックスは7日続伸し、節目の100.00に到達。一方、米国市場では、株高と金利上昇の同時発生という「共存関係」がさらに強まっている。事実、米10年債利回りが昨年12月31日以来となる2.30%台まで急騰してなお、ダウ平均は4日続けて最高値を更新中。この状況が続く限り、円相場はドル円が円安の牽引役であり続けよう。目先、注視すべきはドル円の110.00トライだろう。このレベルには厚いオファーとオプションバリアが観測されている。また、テクニカル面で注視すべきは、今年最安値からのリトレースメント50.00%の水準にあたる110.33レベル(121.69-98.98の半値戻し)となろう。この水準をも突破する展開となれば、次のターゲットは5月下旬の戻り高値111.50レベルおよび4月下旬の戻り高値112.00となろう。

ここまでドル円相場の様相が一変した主因は、ここ数年グローバル市場の主流だった金融緩和相場(=株高/金利低下)から財政緩和(=株高/金利上昇)へシフトする可能性が高まっていることにあると考えられる。米大統領選挙前の相場は前者(=金融緩和相場)だった。しかし、減税およびインフラ投資を主軸とした経済政策を掲げるトランプ政権の誕生により、米国市場は上述の通り「株高/金利低下」から「株高/金利上昇」へと変貌し始めている。そして、未だ金融緩和の状況下にある日英独の10年債利回りまでが上昇圧力を強めていることでもわかる通り、米国発の変化の波はグローバル市場にも波及し始めている。

だが、ここで注視すべきは、現在の相場状況は期待先行が軸となっているという事実だろう。それを顕著に示しているのが、米金利の急上昇だ。「12月利上げ期待」プラス「トランプ期待」を背景に米大統領選挙後、10年債利回りは19%以上も急騰している。しかし、期待先行で積み上がったポジション(=債券ショート)は調整圧力に直面するのが常だ。そのタイミングとして筆者が注視しているのが、14日のレポートで指摘した12月8日のECB理事会と同月13-14日の米FOMCだ。特に後者で利上げが確認された後、金利急騰の値ごろ感から米債買い圧力が強まると想定している。それは現在の米ドル高の調整に直結しよう。この展開となった場合、米債買いの持続性は①トランプ政権に対する市場センチメントの動向、②株式動向そして③原油相場の動向次第となろう。ポジション調整のみならば、ドル円相場も調整地合いの範囲内で下落局面が散見されよう。だが、上記の3つの要因のどれかがリスク回避圧力を強める展開となれば、今年最後の円高が発生する可能性が高まろう。筆者は米指標データと③の動向が鍵を握ると想定している。


【チャート :日米 英欧 10 年債 利回 り動向 】

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