リスク回避相場の再来を警戒

Market Overview

米ドル相場のトレンドを示すドルインデックスは、3月上旬の高値レベル98.58を完全に突破。年初来高値の水準である99.83レベルを視野にさらに上昇する可能性が高まっている。現在のドル高はユーロ売りの裏返しである。ユーロ売り加速の背景にあるのがリスク回避要因であるならば、ドル高の加速はリスク回避要因として他の市場、特に株式市場の圧迫要因となる可能性がある。よって今週は「ドル高リスク=欧州リスク」の再台頭によるリスク回避相場の再来を警戒する一週間となろう。

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Analyst's view

ドル高の加速と不穏な欧州市場
 

9月下旬より発生した今回のドル高との相関性が高い米長期金利の動向を確認すると、今夏以降、緩やかな上昇基調を描いてはいるが、直近は頭打ち感が強まっている(比較チャート①参照)。しかし、ドルインデックスは年初来高値の水準を視野に上昇基調を維持している。つまり、ここ数日のドル高はFEDによる12月の利上げ観測を先取りしたドル買いのみでは説明がつかないということだ。

では、ドル高を促しているもうひとつの要因は何か?それはユーロ売りである。目下のところ、ユーロは対ドルで今年前半の重要サポートポイント1.08レベルを視野に急落中。1.08ブレイクとなれば、昨年12月の安値レベル1.05を視野に下落幅が拡大しよう。ユーロドルの1.09割れがECB理事会後だった点を考えるならば、ユーロ売りの主因は12月会合での緩和強化観測にあろう。しかしもう少し時を遡ってみると、8月下旬より今年最高値1.1616レベルを起点としたレジスタンスラインでユーロドルは上値がレジストされ続けてきた事実がある。この点を鑑みるなら、レジスタンスライン(テクニカル)を突破出来るだけのファンダメンタルズ的ユーロ買い要因の不足、言い換えればユーロ売りを促すファンダメンタルズ的要因の多さが、現在の状況が発生したと考えることも出来る。その要因とは、年後半以降の欧州政治リスクの台頭の可能性と水面下でくすぶっている欧州金融セクターへの不透明感であることは言うまでもない。ストック欧州600指数が徐々に上値を切り下げていること、そして興味深いことにユーロがその動きに追随していること(比較チャート②参照)、さらに欧州投資家のリスクセンチメントを表すVSOTXXでは俄かに上昇圧力が強まっている点を考えるならば(日足チャート参照)、ドル高のさらなる加速は欧州リスクの再台頭を市場に意識させ、リスク回避相場が再来しよう。

 

徐々に上値が重くなる米株
 

ドル高と欧州市場の関係も重要だが、米株との関係も引き続き重要ポイントとなろう。今一度、比較チャート①を確認すると、現状は高値圏でのレンジ相場となっている。しかし、徐々に上値が切り下がっている点は急速に進行したドル高(=米金利上昇)が上値の圧迫要因となっている可能性を示唆。今週でピークを迎える四半期決算が総じて良好ならば、少なくとも現在のレンジ相場を継続する可能性はあろう。しかし、欧州市場で再び不透明感が強まっているタイミングでの冴えない企業決算となれば、米株は下値トライを模索する展開が想定される。米金利は指標データ次第という面もあるが、株式が軟調地合いとなれば金利の上昇圧力を相殺しよう。よって、米株が崩れる場合、円相場では円高優勢の展開が想定される。特に注視すべき通貨ペアはユーロ円やポンド円といった欧州通貨だろう。対ドルでの下落圧力が強まる中、株式下落による円買い圧力まで強まるならば、ユーロ円は9月21日安値112.08レベル、ポンド円はレンジ相場の下限125.00を完全に下方ブレイクする展開が想定される。一方、今週のドル円のレンジだが、下限は75日&89日MAが密集している102.65レベル(今日現在)、上限はリトレースメント61.80%が推移している104.70レベルを想定したい。


【比較チャート①】

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【欧州市場の騰落率比較チャート②】

EU-MARKETS

【欧州VSTOXX指数チャート】

XSTOXX-CHART-1024

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