リスク要因は日銀イベントと原油相場

Market Overview

21日の海外外為市場では、円を買い戻す動きが強まった。黒田総裁がヘリコプターマネーの導入に否定的な見解を示したとの報道(英BBC)や米株が反落したことを受け、外為市場では円を買い戻す動きが強まった。ドル円(USD/JPY)は105.42レベルまで下落。クロス円も総じて円高優勢の展開となった。一方、ドル相場は方向感の無い展開となった。欧州通貨売り圧力は根強いものの、この日はユーロドル(EUR/USD)、ポンドドル(GBP/USD)ともに材料少なく小動きとなった。ECBイベントも政策に大きな変更がなかったことで材料視されることはなかった。

他の市場動向だが、米株は利益確定売り圧力が強まり主要3市場はそろって反落。一方、NY原油先物(9月限)も根強い過剰供給懸念を背景に反落した。「米株安・原油安」は米金利の低下圧力を強め、金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.68%台まで低下した。

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Analyst's view

21日に発表された米四半期決算および指標データは、強弱まちまちの内容となった。米株は主要3市場がそろって反落。海外時間の外為市場は円高優勢の展開となった。ただ、株安や円高の値幅が限定的だった点を考えるならば、このままリスクオフムードが強まるムードは感じられない。

昨日の円高圧力を強めた要因として米株の下落以上に注視すべきは、日銀のヘリコプターマネーに関する報道だろう。英BBCは黒田総裁のコメントとして、ヘリコプターマネー導入に関し否定的見解を示したと報道。インタビュー自体は6月中旬に行われたものであるが、円高で反応した事実は、来週の日銀金融政策決定会合がリスクイベント(=「株高・円安」の逆回転リスクを高めるイベント)であることを示唆している。
日銀による国債の直接引き受けは、財政法(第5 条)および日銀法(第34 条)で禁じられている。法改正を無視し、7月会合でヘリコプターマネーを導入することは民主主義国家として不可能であろう。また、従来の金融緩和の強化に踏み切っても、過去の政策強化と景気&インフレとの明確な順相関の関係は見られない。後者の点は、第三の矢である「成長戦略(構造改革)」が進展にしていないことに起因している。ただし、この課題の克服は政治の責任であって黒田日銀の責任ではない(黒田日銀ではどうすることもできない)。このような黒田日銀の手詰まり状況は海外投資家も見抜いている。来週の会合で黒田日銀が現状維持を決定すれば、期待先行相場の逆回転圧力(=株安・円高圧力)が強まろう。ただし、その下落水準はグローバル株式の動向により決定されよう。グローバル株式は米株の動向によりトレンドが左右されよう。
その米株だが、注視すべきはエネルギーセクターでの売り圧力が強まる可能性が徐々に高まっている点だろう。21日のレポートでも指摘したように国際商品市況、特に原油先物相場はドル高と50ドル台での過剰供給懸念が意識され、下落トレンドを形勢している。この原油先物相場と米エネルギー企業の代表格であるエクソンモービル&シェブロンの株価を比較すると、乖離が拡大していることがわかる(比較チャート参照)。過去の経緯をみれば、両者の相関性は高く(=同じトレンドを描き)且つ乖離は収斂される傾向にある。「ドル高→原油相場(国際商品市況)下落継続→株安」となれば、外為市場では円高圧力が強まろう。一目/雲(日足)の突破前にドル円(USD/JPY)がそのような状況に陥れば、テクニカル面でも円高継続シグナルが点灯しよう。


【比較チャート】  緑ライン:WTI原油先物 赤ライン:エクソンモービル

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【比較チャート】  緑ライン:WTI原油先物 赤ライン:シェブロン

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