株高の土台はドル安

Market Overview

29日の海外外為市場は、引き続きリスク選好を背景とした円安優勢の展開となった。この日の原油価格(WTI8月限界)は、米原油在庫が405.3万バレル減と予想(236.5万バレル)以上の大幅減となったことを受け、上昇率が+4.0%(前日比)を超える展開に(Close:49.88)。原油価格の上昇は欧米株のサポート要因となり、今週に入りストック欧州600指数は5.5%以上、ダウ平均とS&P500はともに3.0%以上反発する展開となっている。株式市場の反発は外為市場での円売り圧力を強め、「原油高+株高」を背景に豪ドル円(AUD/JPY)や加ドル円(CAD/JPY)は堅調に推移。また、「BREXITショック」がひとまず収束していることで、ポンド円(GBP/JPY)は139円台を回復する局面が見られた。ユーロ円(EUR/JPY)も追随し114.60レベルまで上昇。一方、ドル円(USD/JPY)はドル安圧力が円売り圧力の相殺要因となり、103.00で上値の重い状況が続いた。

米債券市場は、「原油高+株高」を背景に利回りの上昇基調が継続。米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.64%台まで反発している。

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Analyst's view

上記の通り欧米株式は続伸。原油価格(WTI8月限)も再び50ドルを視野に入れる展開となっている。スペインの再選挙で「EU離脱ドミノ」がひとまず回避されたことで、「BREXITショック」は後退。結果、投資家のリスクセンチメントが改善しているわけだが、筆者は株式反発の土台は「BREXITショック」の後退ではなく、「ドル安」であると想定している。事実、今年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降、ドルインデックスとグローバル株式のパフォーマンスは見事に対照的、つまりドルインデックスがプラス圏で推移すると株安圧力が強まり、ドルインデックスがマイナス圏で推移すると株高圧力が強まっていることが確認できる(直近は「BREXITショック」によりドルインデックスのプラス圏再上昇と株式急落という対照的なパフォーマンスとなっている)。

米ドルの方向性を示すドルインデックスの動向を確認すると、200日MAで上値がレジストされて以降、ドル安ムードが再び台頭している。今週に入り発表された米指標データは強弱まちまちの内容となっているが、FEDが注視しているコアPCE(5月)は前年同月比で+1.6%と3ヵ月連続の横ばい。少なくともインフレの観点からは、イエレンFRBが早期利上げを実施する理由は見当たらない。次の重要イベントは7月の連邦公開市場委員会(FOMC)であるが、「EU離脱ドミノ」が水面下で燻る中、利上げを行うに足るデータが揃わない限りFEDは利上げに踏み切ることはできない、と市場参加者が考えるのは当然だろう。よって、米指標データで強弱まちまちの内容が続く限り、再び外為市場では再びドル安へ転じる可能性が高いだろう。ドル安は「EU離脱ドミノ」の相殺要因となり、グローバル株式市場をサポートしよう。また、国際商品市況のサポート要因ともなることで、資源国通過買い圧力を強めるだろう。円相場は、連日指摘している通り円安の牽引役はクロス円となろう。この点は、ドル円が103円前後でレジストされている事実が示唆している。


【ドルインデックス日足チャート】 青:200日MA

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【パフォーマンス比較チャート:ドル相場とグローバル株式】 緑:ドルインデックス(DXY) 青:グローバル株式(MSCI)

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