円高水準はグローバルセンチメント(株式)次第

Market Overview

16日の海外外為市場は日銀金融政策決定会合後、急速に進行した円高の是正圧力が強まり、ロンドン勢が引ける直前からクロス円を中心に円売り圧力が強まった。ポンド円(GBP/JPY)は145.40レベルから148.85レベルまで急反発。一方、ユーロ円(EUR/JPY)も115.50レベルから117.48レベルまで2円近く値を戻す局面が見られた。一方、ドル円(USD/JPY)は、取引終盤に米株が反転したことで104.60レベルまで円売りが進行する局面は見られたものの、105円台への再上昇には失敗した。

この日のグローバル株式は、強弱まちまちの展開となった。「Brexitリスク」を背景に欧州株式は売り優勢の展開。欧州ストック600指数は2月24日以来となる318.51レベルまで一時下落する局面が見られた。米株も序盤は軟調なアジア&欧州株式に追随した。しかし、終盤に入ると値ごろ感からの買戻しが入り、主要3市場はプラス圏で取引を終了した。

米株の下落幅縮小に伴い米金利も追随。金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.69%台を回復する局面が見られた。原油価格(WTI7月限)は、Brexitリスクが意識され6日続落の展開に。一時は5月13日以来となる45ドル台まで下落する局面が見られた。

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Analyst's view

イエレンFRBと黒田日銀の決定は想定の範囲内。しかし、円相場は日銀金融政策決定会合後、急速に円高が進行した。この主因は日銀の決定にあるという論調が一部メディアで見られる。確かに日銀イベントは円高圧力を高めた要因のひとつではある。しかし主因ではないだろう。何故なら円相場のトレンドは、常にグローバル市場のリスクセンチメントによって左右されるからだ。直近1ヵ月のグローバル株式の動向を確認すると、6月上旬より日米欧中の株式市場は揃って下落基調へと転じていることがわかる(主要株式比較チャート参照)。また、イベントリスクに敏感なVIX指数(恐怖指数)は、ドル円が105円を割り込む3日前にすでにボックスレンジの上限である18ポイントを上方ブレイクしている。このようにグローバルセンチメントが悪化しているタイミングで黒田日銀が「現状維持」を決定すれば、円高圧力が高まることはこのレポートで指摘済み。そしてその水準は株式動向次第である点も指摘済みである。特に後者の点を如実に物語っているのが、昨日の米株反転に伴うクロス円中心の反発だろう。よって、今後も円高の水準はグローバルセンチメント(株式動向)により左右され、そのセンチメントは目先「Brexit」次第となろう。

さて、その「Brexit」だが各種世論調査によれば、ここきてEU離脱派が残留派を上回る結果が散見され始めている。筆者がウォッチしているBBC「EU referendum poll tracker」でも最新の世論動向は離脱派49%に対して残留派は43%となっている(6/14時点)。今後の観測報道でさらに離脱派が勢いづいていることが確認されれば、当然グローバルセンチメントは悪化の。それに伴い欧州通貨(ユーロ&ポンド)にも売り圧力が強まろう。対照的に日本円は「欧州通貨売り」+「リスク回避の円高」を背景にポンド円(GBP/JPY)やユーロ円(EUR/JPY)の下落幅が一段と拡大する可能性が高い。その場合、ドル円(USD/JPY)の焦点は103.20レベルの攻防となろう。この水準は内閣府調査による輸出企業の採算レートである。この水準を割り込むことは、過去3年間実施してきたアベノミクスおよび異次元緩和の整合性が国内から問われることを意味する。よって、日本サイドとしても円売り介入に動かざるを得ない水準と言える(実際に介入に踏み切るかどうかは別問題)。尚、103.20をも下方ブレイクして尚、円売り介入に踏み切ることができなければ、2014年前半に相場をサポートし続けた101.00が次のサポートポイントとして浮上しよう。


【主要株式比較チャート】緑:米株 赤:中国 黄点線:世界株式 紺:日本 青:欧州

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【VIX日足チャート】

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