加速するドル安を軸としたリスク選好トレンド

Market Overview

8日の海外外為市場は、早期利上げ期待の後退を背景にドル売り優勢トレンドが継続した。この日の原油価格(WTI7月限)は、米国の週間石油在庫統計で原油在庫が大幅に減少してたことが材料視され、51ドル台乗せに成功。堅調な原油価格は米株の押し上げ要因となり、ダウ平均は4月下旬以来となる1万8,000ドルへ再上昇した。
投資家のリスク許容度が拡大したことで、外為市場ではリスク性の高い資源&新興国通貨買い優勢の展開となった。一方、円相場は、リスク選好を背景とした円売り圧力とドル安圧力が相殺し合うかたちとなり、大きな変動は見られず。
尚、本日早朝にニュージーランド準備銀行(RBNZ)は政策金利の据え置きを発表。声明文では2016年及び17年のインフレ見通しを上方修正してきたことが材料視され、ファーストリアクションはNZD買い。対ドルでは昨年6月10日以来となる0.71台へ再上昇した。一方、対円では4月28日以来となる76.21レベルまで急伸する局面が見られた。

米債券市場では、早期利上げ期待の後退を背景に各ゾーンの利回りが低下。金融政策の方向性に敏感な2年債のそれは0.78%台を挟んでの低空飛行状態が継続した。

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Analyst's view

再び「ドル安=株高」トレンドへ回帰した市場だが、ドル安は国際商品市況のポジティブ要因としても作用している。WTI7月限は、昨年10高値50.92を突破し、昨年7月以来となる51ドル台乗せに成功。CRB指数も昨年11月以来となる195.88レベルまで急伸した。ドル安が「株高+商品高」の要因となっている環境下において、外為市場で最も選好されやすいのが資源国としての性質を併せ持つ新興国通貨である点は、8日のレポートでも指摘済み。特に注目すべきは、ドル安の恩恵を享受しているブラジルレアルだが、昨日は重要サポートポイント(=週足の一目/雲の下限)3.40レベルを大陰線出現で一気に下方ブレイク(レアル高)。想定通り、昨年3月高値3.3162(ネックライン)を視野に入れる展開となってきた。

一方、原油価格との相関性が高いロシアルーブルも、対ドルで昨年11月から相場をサポートし続けた64.00レベルを大陰線出現による下方ブレイクに成功(ルーブル高)。日足チャートでは、昨年10月の重要サポートポイント60.70台をトライするムードが高まってきた。経済面だけでなく政治面でのリスクも意識されやすい状況にあるこれらハイリスク通貨の上昇は、グローバル市場全体がリスク選好トレンドへ回帰している点を示唆している。

よって、円相場は引き続き「ドル安圧力」vs「円安圧力」の勝負にトレンドが左右されよう。昨日はこれら圧力が相殺し合うことでレンジ相場となった。しかし、ドル安がさらに進行すれば株高が継続することが想定される。株式市場との相関性が高まっているドル円(USD/JPY)は、「円安圧力」が「ドル安圧力」を凌駕し、再び上昇基調を描くことが想定される。ただ、真にドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを形勢するためには、「株高」と「米金利の上昇」という2つの両輪が上手くかみ合うことが必須条件である。「株高」のみの上昇は、いわば不安定な片輪走行であり、持続的な反発に期待することはできない。日足の一目/雲の上限(来週いっぱいまで110.00前後で推移)もしくは短期レジスタンスラインで上値が抑制される展開を警戒しておきたい。


【ドルレアル(USD/BRL)週足チャート】

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【ドルルーブル(USD/RUB)日足チャート】

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