今後、円高を加速させる2つの要因

Market Overview

7日の海外外為市場では円高がさらに加速する展開となった。この日の欧州株式は銀行株が下落の牽引役となり、米国株式は欧州株を追随する展開に。また、原油をはじめとした国際商品市況が反落したことで外為市場ではリスクを回避する動きが強まり、ドル円(USD/JPY)はNYタイムに2014年10月下旬以来となる107.66レベルまで急落する局面が見られた。クロス円も同様に円高優勢の展開となった。

一方、ドル相場は資源国通貨でのドル高もありドルショートカバー優勢の展開となった。ただ、米利上げペースの減速観測とリスク回避圧力を受け米金利に低下圧力が強まったこともあり、ドル相場の上昇幅は限定的だった。

チャート

Analyst's view

現在の円高は、「イエレンFRBのハト派スタンス→米金利低下」を背景とした「ドル安(売り)」が主因との指摘が一部で聞かれる。しかし、昨日のドルインデックスは小幅ながらも反発し、且つ対ユーロでは「Technical analysis highlights」で指摘しているように、リトレースメント76.40%で下げ止まっている(=ユーロドルは上値の重い展開となっている)。しかし、EUR/USDとは対照的にユーロ円(EUR/JPY)は4月以降続落基調を形成し、昨日は122.54とついに今年最安値に迫る水準(122.07)まで急落した。クロス円も総じて円高優勢の展開となっている点も考えるならば、今回の円高は「ドル売り」が主因ではなく、まさに「円買い」そのものが主因であろう。今回に限らず今年から「円買い」圧力が強まっている背景については6日のレポートで指摘済みなので、そちらを参照されたい。

そしてこの動きが加速するかどうか、目先この鍵を握る材料が2つある。ひとつは17日に開催予定となっている原油の増産凍結協議の行方である。増産凍結で頓挫するようならば、「国際商品市況の再不安定化→グローバル株式下落→米金利の更なる低下」を背景に円相場全体で円高が加速しよう。逆に合意に至れば、6月のOPEC総会での減産合意期待が高まることでリスク選好を背景に円高圧力は後退しよう(ただしクロス円中心)。
もうひとつは、来週以降本格化する米国企業の四半期決算だろう。トムソン・ロイターの調査によれば、米S&P総合500種指数採用企業の2015年第4四半期決算は、前年同期比で2.9%の減益となる見通しとなっている。また、2016年第1四半期の1株利益見通しについても、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測している企業は94社、改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業はたったの24社と厳しい予測となっている。実際の決算内容が、新興国経済の低迷やドル高の影響により総じて市場予想を下回り、且つ利益見通しの下方修正も相次げば、米国株式の圧迫要因となろう。下図パフォーマンス比較チャートが示す通り、現在の米国株式はリスク選好の先導役である(米国株式のパフォーマンスは世界株式のそれを上回る上昇率となる一方、日本株の低迷が鮮明となっている)。その米国株式が崩れるならば、グローバル株式全体の圧迫要因となろう。世界的な株安連鎖となれば、国際商品市況の下落圧力が強まることで、外為市場では円を買う動きがさらに加速することが想定される。

【パフォーマンス比較チャート】

・基準日:2016年1月4日
・緑ライン:米国株式 青ライン:世界株式 赤ライン:日本株式

パフォーマンス比較チャート

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