原油相場と米国経済にらみの状況は続く

Market Overview

2日の海外市場は、リスク回避一色の展開となった。産油国間にける減産合意期待の後退を背景にNY原油先物相場(WTI)は続落。期近の4月物は終値ベースで1バレル=30ドルを割り込む展開となった。これを受け欧米株式市場はエネルギーセクターを中心に大幅続落の展開となった。リスク回避圧力の強まりは債券市場への資金シフトを促し、米独債は上昇(利回りは低下)した。米10年債利回り及び独連邦債のそれは昨年4月以来の水準まで低下した。
「原油安・株安・米金利低下」を背景に外為市場では円買い優勢の展開となった。USD/JPYはNYタイムに節目の120.00を割り込む局面が見られた。一方、クロス円も総じて円高優勢の展開となりEUR/JPYは131円割れ、「原油続落・株安」を背景に87円トライに失敗したAUD/JPYは84.40レベルまで急落する展開となった。

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Analyst's view

原油相場がグローバル株式市場のトレンドを左右する状況は変わらず。産油国間における減産合意については未だ観測報道の域を出ていない。実際に減産合意とならない限り、原油相場は今後も上下に振れる展開が継続しよう。それに伴い株式市場の不安定化も継続しよう。

目下、筆者が注視しているのは米金利の動向である。景気動向に敏感な10年債利回りと金融政策の方向性に敏感な2年債のそれが共に低下基調にあることは既に指摘済み。これら利回り動向に米国株式(S&P500指数)のパフォーマンスを重ねてみると、1月下旬以降、乖離の拡大傾向が確認できる(比較チャートを参照)。このような乖離はいずれ収斂される運命にある。それは株式市場と国際商品市況の乖離収斂が示す通りであるが、今回の乖離も米国株式が下落することで解消される可能性が現時点で高いと想定している。

その理由は2つある。ひとつは、上記乖離の要因が、減産合意の期待先行を背景に先週まで反発基調にあった原油相場の動向にあることだ。実際、米国株式と国際商品市況(CRB指数)の動向を比較すると、方向性は一致している。その原油相場は、上記の通り産油国間における減産合意が実現しない限り、常に下落リスク直面し続けよう。もうひとつは、米国経済に変調の兆しが見て取れることだろう。年明け以降の米指標データは、雇用関連指標を除き2015年後半に米国経済が失速している状況を示す内容が続いている。直近では、1日に発表されたISM製造業景気指数が4か月連続で好不況の分岐点である50.0を下回る内容(48.2)となった。新規受注(51.5)や生産指数(50.2)は高い伸びを示したが、新興国経済の低迷、日欧のデフレリスクそしてドル高リスクの波及懸念を考えるならば米国経済の失速が一時的と考えるのは早計だろう。今後の指標データが総じて冴えない内容となれば、米国株式市場からベ債券市場への資金シフトが加速よよう。米国株式が崩れればリスク選好の先導役が不在となり、国際商品市況とグローバル株式もさらに不安定化しよう。

外為市場では、円&ユーロ高リスクを常に警戒したい。日欧の緩和強化によりただでさえ米金利には低下圧力が強まり易い状況となっている。このタイミングで米国経済の失速懸念が本格的に市場で意識されれれば、それを背景にドル売り圧力がさらに強まることが想定される。事実、ドルインデックスは99.60レベルで上値がレジストされる状況が継続し、対円では早くも120円割れの展開となっている。対ユーロでも下記「Technical analysis highlights」で指摘しているレジスタンスポイントをトライする状況が継続している。

【比較チャート】緑:S&P500種株価指数 青:米10年債利回り 赤:米2年債利回り

チャート

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