今週最大の焦点は日米の金融政策

Market Overview

22日の欧米及び主要な新興国株式は、堅調なアジア株式や原油先物相場の急反発を背景にリスク選好優勢の展開となった。日欧による緩和強化観測も相場のサポート要因となった。

外為市場では「株式上昇+原油反発」を背景に資源国通貨(豪ドル、加ドル、NZD)買い圧力が強まり、対ドル、円そしてユーロで堅調に推移。資源輸出に頼る新興国市場の通貨(ブラジルレアル、チリペソ、南アフリカランド、マレーシアリンギット、ロシアルーブル)も対ドルで堅調に推移した。対照的に売り圧力が強まったのが円とユーロだった。USD/JPYは118.88レベルまで急反発すれば、EUR/USDは1.08割れの展開に。週明け早朝の時間帯は、118.70レベル及び1.08前後で推移している。

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Analyst's view

今週最大の焦点は、日米の金融政策となろう。ドラギECBは21日、新興国経済の減速が域内経済に及ぼすリスク(デフレリスクの高まり)を警戒し「3月に動く」可能性を示唆してきた。黒田日銀が28-29日に開催される日銀金融政策決定会合で追加緩和に踏み切れば、日欧緩和強化を背景にグローバル市場のリスクセンチメントは短期的に著しく改善されよう。

では、日銀は動くのか?
昨年12月の異次元緩和「補完措置」導入でその可能性は一時後退したものの、年明け以降の市場の混乱とドラギECBによる緩和強化観測が急浮上してきた状況を考えるならば、その可能性が再び高まってきたことは22日のレポートで指摘済み。事実、黒田総裁は23日、今後の金融政策について「2%の物価目標達成に必要ならば躊躇なく調整する用意がある」と、スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で記者団に述べた。この発言が出たわずか1週間前、15日の参院予算委員会では「物価の基調は着実に改善している」とし、追加緩和については「現時点でその考えはない」と強気の姿勢を崩していなかった点を考えるならば、ここ1週間あまりで黒田日銀内でより警戒されたのはドラギECBの動向だった可能性が高い。現下の海外リスクに対してECBが動き日銀がゼロ回答となれば、異次元緩和の整合性に対する疑問符が付くと同時にその優位性までが急速に後退することで「株安・円高」の逆回転リスクを自ら高めてしまう可能性があるからだ。

また、今年度の補正予算(総額3兆3213億円)成立というタイミングも日銀とっては好都合だろう。何故なら、過去2回の金融緩和の生命線は「意外性」にあった。しかし、今回は既に追加緩和について示唆しており、それには期待でない。しかし、構造改革の起爆剤として期待されている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への対策、中小企業支援策そして子育てや介護の支援を盛り込んだ補正予算と同時の追加緩和ならば、総合的な経済対策として市場から一定の評価を得ることが出来るだろう。ただ、その持続性については、このレポートで指摘し続けてきたようにアベノミクス第3の矢である「成長戦略」の推進が必要不可欠であり、この点に関する進展が見られない限りは、海外リスクに翻弄される状況が継続しよう。

一方、日銀会合に先立って開催される米連邦公開市場委員会(FOMC、26-27日)では、海外リスクに対する警戒度合を引き上げてくるかどうか、この点が焦点となろう。利上げ観測が高かった昨年9月のFOMCでは海外リスクの高まりが意識され利上げを見送らざるを得なかった。しかし、10月の会合ではこの点についての警戒レベルを引き下げ、12月に実際の利上げに踏み切った。今回のFOMC声明で再び海外リスクへの警戒レベルを再び引き上げくるならば、ベースシナリオである「年4回」の利上げペースに対する不透明感が強まろう。現在の状況を考えるならば、利上げペースの減速観測は株式市場と国際商品市況の押し上げ要因となろう。外為市場では資源国&新興国通貨買い圧力が強まると同時に、円&ユーロ売り圧力が強まるだろう。ドル相場は前者に対しては売り優勢となるも、後者に対しては底堅く推移する展開が想定される。

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