2大リスクを背景にさらなる株安/円高の可能性も

アナリストの視点-意識され続ける2大リスク

チャート

4日に発表された米雇用統計(8月分)で非農業部門雇用者数は市場予想に届かなった(予想:21.8万人 / 結果:17.3万人)。一方で失業率の低下(5.2%→5.1%)、市場予想を上回った平均賃金の上昇率(予想:+0.2% / 結果:+0.3%)そして直近2か月分が合計で4.4万人の上方修正となる等、強弱まちまちの内容となった。

興味深いのは、この結果に米国マーケットが「株安 / 2年債利回り上昇」で反応したことだろう。世界的な株安トレンドが続く中、米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りのみが小幅ながら上昇し且つ0.70%台の水準を堅持している事実は、9月利上げ観測が完全には後退していないことを示唆している。ただ2014年12月以降、上限として意識され続けている0.75-76%のレジスタンスを突破し切れずにいる事実は、9月利上げへの不透明感が未だ拭えないことも示唆。来週はいよいよ米連邦公開市場委員会(9/16-17日)が開催されるが、利上げに関して未だ市場の思惑が定まらない今週は、各市場で振れ幅の大きい不安定な1週間となる可能性があろう。

各市場の中でも最も警戒すべきは、グローバル株式市場の動向だろう。欧州中央銀行(ECB)による追加緩和の可能性が出てきたのはリスク選好要因だが、上記の米2年債利回りと先週の主要なグローバル株式市場が週間騰落率ベースで総崩れとなった点を考えるならば、現状ECBの追加緩和観測は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で主要議題となったグローバル市場の2大リスク(=中国リスク / 米利上げリスク)を後退させる程のインパクトはない。上述した米金融政策の思惑が未だ交錯する中、今週発表される中国の指標データ(貿易収支 / CPI / PPI)までが総じて冴えない内容となれば、グローバル株式市場ではさらに下落幅が拡大する展開が想定される。また、不安定な原油相場の動向を受け米2年債利回りとは対照的に10年債利回りへの低下圧力が強まっている点も考えるならば、米国経済の先行きに対する不透明感も株式市場の圧迫要因となる可能性があろう。

グローバル株式市場での下落リスクがくすぶり続ける以上、外為市場では円高リスクに警戒する1週間となろう。リスク回避局面ではユーロやスイスフランも買われやすい。しかし、直近のEUR/JPYは中国リスクとECBによる追加緩和の可能性が同時に意識され円高基調が鮮明となっている。また、8月下旬の中国ショック以降、CHF/JPYでも同様の展開となっている点を考えるならば、円は現状、リスク回避局面で最も買われやすい通貨となっている。この点は、日本株の下落幅拡大要因としても注意しておきたい。

本日の焦点-リスク回避相場を想定

週明けは、各市場で引き続きリスク回避相場を警戒したい。上記の米2年債利回りの動向に加え、投資家の恐怖心理を表すVIX指数も27.80と高水準で推移中。グローバル市場の2大リスク(=中国の景気減速懸念/ 米利上げリスク)が意識されていることは明白であり、且つG20でもこの2大リスクを背景とした世界経済の減速に懸念を表明した点も考えるならば、本日のアジア&欧州株式は上値の重い展開が想定される(NY市場は休場)。

株式市場での不安定化が継続すれば、外為市場では円&ユーロ買い優勢の展開となろう。ただ、ECBによる追加緩和の可能性が意識され始めた点を考えるならば、ユーロ買い圧力以上に円買い圧力が強まる展開が想定される(=EUR/JPYでの円高)。また、上記2大リスクは商品市況の低迷要因でもあることから、資源国通貨も対円で下落幅が拡大しよう。

USD/JPYは「株安 / クロス円での円高」がレジスト要因となり、重要サポートポイント118.40を視野に下落幅が拡大する展開が想定される。この水準をローソク足の実体ベースで下方ブレイクした場合、さらなる円高リスクを警戒したい。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 120.50:レジスタンスポイント 120.17:10日MA
サポート 118.40:重要サポートポイント 117.49:ボリンジャーバンド下限

最大の焦点は118.40レベルの維持となろう。このレベルは、今年前半に相場をサポートし続け、125円到達の土台となった経緯がある。116円台急落時には、ローソク足の実体ベースで相場をサポートした経緯もある。さらに8月高安のリトレースメント76.40%が位置している点も考えるなら、重要な攻防分岐の水準と言えるだろう。
118.40レベルを完全に下方ブレイクした場合は、ボリンジャーバンド下限(緑ライン、MA21 / σ2.0 )が次のターゲットとして浮上しょう。逆にこの水準を維持した場合は、10日MA(赤ライン)を突破できるかが注目される。

EUR/USD

レジスタンス 1.1243:9/3高値 1.1208:21日MA
サポート 1.1089:週足一目/基準線 1.1053:リトレースメント76.40%

週足の一目/雲の下限で上値がレジストされ、1.08ミドルを起点とした短期サポートラインを完全に下方ブレイク。目先は日足の一目/雲の攻防が注目される。特に注目すべきは、1.10後半からミドルにかけての攻防だろう。ユーロ急落をひとまず食止めた週足の一目/基準線が1.1080台、1.1715レベルからのリトレースメント76.40%が1.1050レベルで推移している。これらテクニカルポイントを維持すれば21日MA(緑ライン)をトライする展開となろう。逆に下方ブレイクする展開となれば、1.10以下の攻防へシフト(日足の一目/雲を下方ブレイク)する可能性を意識したい。

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