ドル高とリスク選好の共存関係は成り立たず

アナリストの視点-目先はドル高≠リスク選好を警戒

チャート

26日の海外外為市場では、ドル高が加速する展開に。イエレンFRB議長の年内利上げ発言でドル高圧力が再び強まっているタイミングで、この日発表された米指標データは総じて市場予想以上の結果に。外為市場では当然のごとく米利上げ観測が再台頭し、ドルストレートは軒並みドル高の展開に。EUR/USDは日足の一目/雲の上限をあっさり下方ブレイクすると、4月28日以来となる1.0863レベルまで急落。USD/JPYは15時過ぎに122円台へ乗せるとその流れはNYタイムでも引き継がれ、NYタイムに123.33レベルまでドル高が進行した。

一方、クロス円はドルストレートでのドル高を背景に円高優勢の展開となった。ただ、USD/JPYが2007年7月以来の高水準へ急伸したことで急激な円高局面とはならなかった。

25日のレポートで、ドル高の”再トレンド化”が今週の焦点と指摘したが、早くもそのムードが強まってきた。ただ、注視すべきは、今回のドル高が“”リスク回避“のドル高となっている点だろう。昨日の米国株式は、良好な指標データが相次いだにもかかわらず株安で反応。その株安は米金利低下圧力を強めた。あらためて米利上げに対する米国マーケットのアレルギー反応が根深いことを再確認する一日となったが、意識しておくべきは、現在のマーケット環境ではリスク選好とドル高は共存できないという事実だろう。それは、昨日指摘した株高と米金利上昇の共存が困難であるということでもある(米国株式市場では早期利上げ「懸念」として意識されるため)。よって、短期的(9月前後まで)には「ドル高=リスク回避」の状況が散見されよう。だが、日欧に加え中国も緩和レースに参戦してきたことを鑑みるに、イエレンFRBが利上げに向け超えるべきハードルの水準は低下している。これは米利上げショックが世界的な緩和レースで吸収されやすいことを意味する。よって、中長期スパンでは、「ドル高 / リスク選好」の共存関係が成り立つと想定している。

本日の焦点-USD/JPY124.15レベルを視野に上値トライとなるか

目下、外為市場最大の焦点はドル高の加速にあろう。日本時間9時過ぎにラッカーリッチモンド連銀総裁の講演が予定されている。金融政策に言及する場合、従来通り早期利上げについての正当性を主張すればドル高加速の要因となる可能性がある。

本日、最も注視すべき通貨ペアはUSD/JPYだろう。筆者は「株高/米金利上昇」の共存関係がUSD/JPYの持続的な押し上げ要因と捉えている。しかし、現状はドル独歩高の影響を背景に2007年7月以来の高水準へと急伸。「ドル高/リスク選好」の共存が難しい状況にある点を考えるならば常に反落リスクは想定しておくべきだが、重要なチャートポイントをことごとく突破した現状を鑑みるに、目先はファンダメンタルズやテクニカルポイントを無視した、いわば「Trend is your friend」のムードのみでドル高が加速する展開を警戒したい。その場合、最も注視すべきは、2007年6月に付けた大天井124.15レベルの攻防となるかどうかだろう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 124.15:2007年6月高値 123.50:レジスタンスポイント
サポート 122.00:5日MA 121.50:サポートポイント

年初来高値の更新は難なく達成し、123円台へ急伸。当然のごとく日足のRSIでは買い過熱感シグナルが点灯。反落リスクを常に警戒しつつも、上述した通り、ファンダメンタルズやテクニカルポイントを無視した相場状況では、トレンドに乗ることが重要となろう。目先の上値ポイントは厚いオファーとオプションバリアが観測されている123.50とストップが観測されている123.80レベル。これらチャートポイントを難なく突破すれば、いよいよ2007年6月の大天井124.15トライが現実味を帯びてこよう。尚、124.00にも厚いオファーとオプションバリアが観測されている。一方、下値は、122円台の維持が焦点となろう。122.00には5日MAが推移している他、ビッドも観測されている。

EUR/USD

レジスタンス 1.1000:レジスタンスポイント 1.0956:一目/雲の上限
サポート 1.0744:リトレースメント76.40% 1.0735:一目/雲の下限

昨日は、直近高安のリトレースメント61.80%戻しでかろうじて下げ止まった。しかし、RSIやDMIの動向を鑑みるに、完全にユーロのショートカバートレンドは転換している。よって、本日もダウンサイドへ振れる展開を警戒したい。
上下のチャートポイントは上述の通りだが、より注視すべきは一目/雲の下限及び76.40%戻しのブレイクだろう。これらテクニカルポイントの下方ブレイクは、鍋の底が抜けるようなものである。そのような展開は、レンジの下限1.05を視野にユーロ安/ドル高が加速するシグナルとして捉えたい。尚、直近のオーダー状況だが1.0800にビッドが観測されている。

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