最大の焦点はドル高の ”再トレンド化”

アナリストの視点ー最大の焦点はドル高の ”再トレンド化”

トレーダー

先週の外為市場は、ドル高優勢の1週間となった。米金融政策への不透明感が強まっているにもかかわらず、再びドル高圧力が強まった背景にあるのは、独金利の低下に伴うユーロ売りと米指標データだった。前者は「欧州株高+原油相場反発」にもかかわらず低空飛行状態へ逆戻り。この事実を鑑みるに、4月中旬以降の調整相場(=積みあがった独連邦債ロングのポジション調整)が終焉した可能が高い。一方、後者では米個人消費の動向に大きな影響を与える住宅関連指標と消費者物価指数コア(CPI)が市場予想以上となった。ギリシャ問題が6月に向け再台頭するリスクも考えるならば、4月中旬以降から続いたユーロ相場の買戻し基調は終焉した可能性が高いだろう。

だが、EUR/USDがこのままユーロ安/ドル高へ転じると判断するのは、現時点では時期尚早だろう。ドル高の流れが ”再トレンド化するには、さらに好調な米指標データが求められるからだ。29日のGDP改定値をはじめとした今週以降の米指標データが総じて市場予想を下回るならば、EUR/USDは1.10-1.15のレンジ相場を形成する可能性があろう。逆に指標データが第2四半期以降の景気回復期待を強める内容となれば、1.05-1.10のレンジ相場へ逆戻りしよう。

円相場の予測は難しい。現在、ドル高はクロス円の円高要因となっている。この背景にあるのは、USD/JPYがチャートの節目でレジストされる状況となっているからだ。実際22日は、外為市場でドル高圧力が強まっても121円ミドルレベル(=3月上旬から中旬のレジスタンスポイント)で上値がレジストされた。ではなぜUSD/JPYはそのような状況に陥っているのか?それは現在の米国マーケットでは、株高と金利上昇の共存が難しい環境にあるからだ。USD/JPYが上昇トレンドを形成するためには、これらが共存することで初めて実現する。だが22日の動向を鑑みるに、米利上げに対する株式市場の警戒感は根強い。よって、良好な指標データでドル高が”再トレンド化”しても、米利上げリスクを背景に現在の株高トレンドに変調を来せばドル高圧力の相殺要因となろう。結果、水準は切り上がるものの、新たなレンジ相場120.00-122.00を形成する可能性を意識しておくべきだろう。

本日の焦点 -ドル高の継続と株式動向を注視する1
重要指標データおよび経済イベントが予定されてない中、本日の外為市場の焦点はドル高の継続にあろう。先週の流れを引き継ぎドル高が継続した場合、USD/JPYは122.00(今年最高値122.03)を上方ブレイクする可能性がある。ただ、それを達成しても株式動向次第では、下記で述べる通り上値トライが一過性で終わる可能性がある点には要注意。EUR/USDは1.10ブレイクとなり、1.05-1.10のレンジへ逆戻りする展開を想定したい。

ドルストレート全体でドル高優勢となった場合、円相場はUSD/JPYがクロス円をサポートする展開となろう。だが、米CPIコアやイエレン発言を受け22日のグローバル株式が総じて上値の重い展開となった点が気がかり。米利上げが株式市場のリスク要因として再び意識されることを示唆しているからだ。よって、週明けのグローバル株式で株安連鎖のムードが強まれば、「ドル高+株安」のダブルパンチを背景にクロス円は下値トライのムードが鮮明となろう。株式市場が崩れれば、USD/JPYは他のドルストレートとは違い上値の重い展開となろう。実際、22日は欧米株安を背景としたクロス円での円高圧力がドル高の相殺要因となり、USD/JPYは121円ミドルレベルで上値がレジストされる状況が続いた。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 122.03:今年最高値 121.57:5/22高値
サポート 120.50:サポートポイント 120.00:サポートポイント

今週は120.00-122.00を中心レンジと想定。121.60及び122.00レベルにはオファーが観測されている。また、122.00上にはストップの観測もあり。一方、ビッドは120.50前後及び120.00にそれぞれ観測されている。

EUR/USD

レジスタンス 1.1074:5日MA 1.1064:一目/基準線
サポート 1.0981:一目/雲の上限 1.0882:リトレースメント61.80%

厚いビッドが観測されている1.10での攻防に注目。このレベルを維持するならば、1.1-1.15のレンジ相場へシフトする可能性がある一方、1.1を下方ブレイクした場合は、1.05-1.1のレンジ相場へ逆戻りする展開を想定したい。
上下のテクニカルポイントについは上記の通り。

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