米雇用統計 3つのシナリオ

Market Overview-ユーロドルの大局観に変化なし

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欧州中央銀行(ECB)は2日、イタリア南部のナポリで金融政策の方針を決める理事会を開き、予想通り政策金利を過去最低の年0.05%で据え置くことを決定した。また、資産担保証券(ABS)を第4四半期から、カバードボンドを10月半ばからそれぞれ購入し、期間は2年程度に定めると表明。ギリシャとキプロスのABSも条件付きで購入する方針を決定した。だが、具体的な購入規模についての言及は避け、且つ市場が注目されていた大規模な国債購入(QE)についての言及もなかった。今回の結果を受け、ハト派サプライズを期待していた外為市場ではユーロを買い戻す動きが強まった。だが、短期レジスタンスライン(下記チャート:黄ライン)すら突破出来ないユーロドルの状況は、ユーロ相場の大局観が大きく変化していないことを示唆している。背景にあるのは、近いECBが緩和強化に追い込まれるとの根強い思惑だろう。今回こそECBは、米連邦準備理事会(FRB)が導入している大規模な国債購入(QE)についての言及を避けた。しかしユーロ圏の低成長・低インフレ傾向は鮮明となっており、且つ域内経済のけん引役であるドイツ経済の失速も指標データで確認済み。また、ABSとカバードボンドの購入だけでは、ドラギ総裁が示しているバランスシートの目標3兆ユーロ(現行は2兆ユーロ)達成が困難であることも、市場が「ECB緩和強化」を意識し続ける要因となろう。ユーロドルが次の節目である1.2500をトライする見通しに変更はない。

Today’s Outlook -マーケットの耳目は米雇用統計に

昨日の値動きで興味深かったのは、米金利の動向だった。ECBによるハト派サプライズが期待外れに終わったことで主要な欧州株式市場は軒並み下落。特にスペインやイタリアのそれらは3%超の急落となった。米国株式も取引終盤こそ下げ幅を縮小したものの、欧州株安の影響やその他リスク要因(香港デモ、国内のエボラ感染、地政学リスク)が意識され上値の重い展開が継続。しかし、冴えない欧米株を横目に米金利は反発した。背景にあるのは、9月米雇用統計の上振れリスクだろう。

その雇用統計だが、シナリオは3つあると想定している。

1:非農業部門雇用者数&失業率が市場予想を総じて下回る内容となれば、米早期引き締め懸念が後退することで「米金利低下・ドル安」の展開となろう。リスクセンチメントが後退している中での雇用統計の下振れは、米株の下落要因となろう。

2:市場予想を若干超える内容(非農業部門雇用者数:21.5‐25.0万人、失業率は低下するも6.0%は割り込まず)ならば、米金利の緩やかな上昇を促すことで、外為市場ではドル高優勢の展開となろう。米株も堅調に推移しよう。

3:市場予想を大きく超える内容(非農業部門雇用者数:25.0万人以上、失業率:6.0%以下に低下、賃金の上昇)となれば、上述した上振れリスクがマーケットで改めて意識されよう。この場合、米金利への上昇圧力が強まることで、ドル高となろう。米株は早期引き締め懸念(金利変動リスク)が意識され、下値を模索する展開となろう。また、米株の不安定化はグローバル株式市場の不安定化をもたらす可能性が高く、新興国・資源国通貨売りが対ドル・円で強まることを想定したい。ユーロも同様の展開となろう。ユーロドルは上述した通り、節目の1.2500に向け再び下落幅を拡大させよう。

Technical analysis highlights

ドル円

レジスタンス 110.09:10月1日高値 110.00:心理的節目
サポート 108.04:21日MA 107.13:9月17日安値

下値は108.05前後まで上昇している21日MAの維持が焦点となろう。108.00には厚いビッドが観測されている。108円割れとなった場合は、107円台の維持が焦点となろう。107.85&107.50にはビッドの観測あり。一方、上値は110円への再上昇が焦点となろう。109.50、109.80そして110.10レベルにはオファーが観測されている。テクニカル面では、109.50前後で推移している一目/転換線を突破出来るかが注目される。昨日はこのラインで上値が抑えられた経緯がある。

ユーロドル

レジスタンス 1.2750:短期レジスタンスライン 1.2720:10日MA(緑ライン)
サポート 1.2571:9月30日安値 1.2500:心理的節目

ユーロショートカバの展開となるも、10日MAすらトライ出来ずに反落。今晩の雇用統計が市場予想を上回る内容ならば、再びユーロ安/ドル高トレンドへ回帰しよう。目先のサポートポイントは1.2571(9月30日安値)。このポイントを下方ブレイクする場合は、ビッドが観測されている1.2750そして節目の1.2500を視野に下落幅が拡大しよう。尚、1.2700から1.2800にかけては断続的にオファーが並び始めている。

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