鮮明になる米欧のファンダメンタルズ格差

Market Overview-対照的な米欧ファンダメンタルズ

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28日の主要な米欧&新興国株式市場は、再び緊迫化の度合いが増しているロシア・ウクライナ情勢を背景に、上値の重い展開となった。軟調なグローバル株式市場の地合いを背景に、ドイツ 10年債利回りは一時0.866%まで低下し過去最低を更新。フランスやイタリア、そしてスペインの10年債利回りも軒並み最低水準を記録する等、欧州債市場への資金シフトが加速した。ロシア・ウクライナ情勢と欧州金利の低下を背景に米債券への投資妙味が増し、米金利も幅広いゾーンで低下圧力が強まった。一方、NY金先物12月限(COMEX)は反発し、外為市場では円高優勢となる等、俄かにリスク選好ムードが後退したまま、本日の東京時間を迎えている。

 

東部ドネツク州に親ロシア派の武装勢力を支援するロシア正規軍の部隊侵入し、再び親ロシア派とウクライナ政府との戦闘が激化しているとの懸念から、上述の通り株式市場は総じて軟調な地合いに転じた。

しかし今回の株式下落、特に米国株式の反落はリスク回避というよりは地政学リスクを口実にした調整の可能性が強い。実際、28日の米国株式の下落幅は限定的となったが、この根底には、米ファンダメンタルズ改善期待がある。昨日発表された4-6月期実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比4.2%増と、速報値の同4.0%増から上方修正された。民間設備投資や輸出の上方修正が寄与したかたちとなったが、物価動向を測る上で重要なGDPデフレーターも速報値から0.2ポイント上方修正された。また、新規失業保険申請件数は2週連続で減少し、4週間移動平均も1250件減の29万9750件と雇用市場の改善傾向を示した。さらに住宅販売保留指数(7月)も3.3%増と、市場予想の0.5%増を上回る等、昨日発表された経済指標はどれも米国のファンダメンタルズ改善を示す内容となった。

ファンダメンタルズの改善傾向が根強く意識されていることは、米2年債利回りの動向からもうかがえる。昨日は株式の下落により低下圧力が強まったものの、0.50%前後で張り付く状況に変化はない。ファンダメンタルズ改善の先にあるイエレンFRBの方針転換を意識している動向を言えるだろう。

一方、昨日はユーロ圏の脆弱なファンダメンタルズがあらためて確認された日ともなった。ドイツの消費者物価指数(CPI)速報値は前月比で横ばいと、前回の0.3%から低下。一方、昨夏、2年以上続いたリセッション(景気後退局面)を脱したスペインのCPIも前年同月比0.5%低下し、昨年10月以来の低下幅となった。米欧のファンダメンタルズ格差が次第に鮮明となる中、ユーロドルは節目の1.3000に向け下落幅が拡大する可能性を引き続き意識すべきだろう。

Today’s Outlook -焦点は米欧経済指標

本日、最大の焦点は米欧の経済指標となろう。日本時間18時に発表される消費者物価指数(HICP)速報値が域内の低インフレ懸念を強める内容となれば、マーケットでは再び9月欧州中央銀行(ECB)理事会での緩和強化が意識され、ユーロ売り圧力が強まろう。逆に予想以上ならば、ユーロを買い戻す動きが強まろう。

NY時間は、米経済指標の内容が焦点となるだろうが、最も注目すべきは日本時間21時30分に発表される個人消費支出(PCEコア・デフレーター)だろう。予想値0.1%増を上回る内容となれば、ドル相場を支援しよう。また、シカゴ購買部協会景気指数(8月)やミシガン大学消費者態度指数確報値(8月)が総じて強い内容となり、対照的に上記のユーロ圏CPIが低下した場合、ユーロドルは1.3150ブレイク&1.3100トライの可能性を意識しておきたい。

一方、ドル円は株式市場にらみの展開が継続しよう。米経済指標が総じて強い内容となっても、週末というタイミングであること、ロシア・ウクライナ情勢が再び緊迫化していること、そして米市場が3連休を控えていることを考えるなら調整色が強まり「株安+円高」の展開もあり得るだろう。

Technical analysis highlights

ドル円

レジスタンス 105.00:レジスタンスポイント 104.50:レジスタンスポイント
サポート 103.86:8月25日安値 103.50:8月22日安値

上値は引き続き、厚いオファーとオプションバリアが観測されている104.50の突破が焦点となろう。このレジスタンスポイントを上方ブレイクするならば、節目の105円を目指す展開となろう。このレベルにも厚いオファーとオプションバリアが観測されている。一方、下値は103円台の維持が焦点となろう。103.50から103.00にかけては断続的にビッドが観測されている。ただ、103.50&103.40下にはストップの観測もある。

ユーロドル

レジスタンス 1.3250:レジスタンスポイント 1.3238:10日MA(赤ライン)
サポート 1.3150:サポートポイント 1.3104:2013年9月6日安値

ショートカバーは散見されるも上値は限定的。上述した米欧のファンダメンタルズ格差を考えるなら、引き続きダウンサイドリスクを警戒したい。目先のサポートポイントは、厚いビッドとオプションバリアが観測されている1.3150レベルで変わらず。下方ブレイクする展開となれば、2013年9月6日安値1.3104レベルを視野に下落幅が拡大しよう。下の1.3100には再び厚いビッドとオプションバリアが観測されている。一方、上値は1.32ミドルレベルまでのショートカバーなら十分にあり得るだろう。テクニカル面では10日MAの攻防が焦点となろう。尚、1.32前半から1.33ミドルレベルにかけては、断続的に厚いオファーが観測されている。

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