「証拠」としての米経済指標

Market Overview-「証拠」が必要

緊迫化しているウクライナ情勢がひとまず小康状態となったことで、米国株式は史上最高値圏での攻防が続き、外為市場では堅調な株式市場を背景に根強い円安トレンドが継続している。新興国市場は若干不安定化しているものの、1月のような混乱状態には陥っていない。一言でいうなら、グローバル株式市場はかろうじて持ちこたえているといった状況だろう。

しかし、この状況からリスクオンへ回帰出来るかどうかは、米国の経済状況次第だろう。連邦準備理事会(FRB)は昨日、地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。総括判断では、「大部分の地区で経済は1月から2月の初めにかけて拡大が続いた」と指摘した。個別にみると、異例の寒波の影響を受け個人消費、製造業そして農業に悪影響をもたらしたものの、住宅不動産は多くの地区で穏やかな改善が続いたと示唆。また、雇用は多くの地区で穏やかに改善したとした。直近の米国経済失速に関し、FRBは寒波が主因と考えていることが判明したことで、今後も持続的な景気回復を背景にFRBは現行の緩和縮小スピードを維持する可能性が高まった。しかし、米金利に低下圧力が続いている現状を考えるなら、「米国経済の失速は一時的な現象である」=「米国経済は持続的な成長軌道にある」、とうい「証拠」をマーケットは求めていると言える。「証拠」とは言うまでもなく、経済指標だ。

昨日発表された2月のADP雇用統計は冴えない内容となった。また、ISM非製造業景況指数も2010年2月以降で最も低い水準となった。気がかりなのは雇用指数が47.5と、1月の56.4から大幅に低下したことだ。FRB同様、「異例の悪天候による」事業活動の混乱と回答企業の多くは指摘しているが、米雇用統計直前に雇用関連指標が総じて弱い内容となった「証拠不足」の方がマーケットで意識され、本日は警戒感から株式市場の上値を抑える可能性がある。そのような展開となれば、外為市場では円買い圧力が再び強まろう。また、米金利は低下圧力がかかり続けることで、ドルインデックスは再び節目の80.00を割り込む可能性がある。

今日のチャート

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Today’s Outlook ECB理事会は無風で通過か

アジア時間は、豪ドルの動きに注目したい。日本時間9時30分に1月の貿易収支と小売売上高が発表される。結果次第で豪ドル相場が上下に振れる展開となろう。

海外タイムでの注目材料は、欧州中央銀行(ECB)理事会と米経済指標だろう。ただ、前者のECB理事会に関しては無風で通過する可能性がある。2月28日に発表された2月の消費者物価指数(HICP、速報値)は前年同月比で0.8%増と、市場予想(0.7%増)を上回ったことで、マーケットでは追加緩和の観測が後退している。また、ドラギ総裁は先月27日、ドイツ連邦銀行が主催した会合での講演で低インフレのリスクに言及しながらも、「ユーロ圏の平均インフレ率は現在0.8%。デフレに陥っていないのは明白だ」との見方を示し、さらに昨日発表された2月の各種PMI指数や1月の小売売上高も総じて強い内容となったことも考えるなら、今回の理事会でECBが利下げに踏み切る可能性は低いだろう。また、SMP不胎化の停止に関してもドラギ総裁は慎重に行うべきとのスタンスを示しており、停止の可能性も低いと思われる。

焦点は、2016年のインフレ見通しだ。ECBが長期のインフレ予測を明らかにするのは初めてであり、今後も域内の低インフレ傾向が続く見通しが示唆されれば、マーケットでは根強い追加緩和観測がくすぶり続けるだろう。そしてユーロドルは1.38レベルを上限に、今後も上値の重い状況が続く可能性が高まろう。

後者の米経済指標では、木曜日恒例の新規失業保険申請件数の内容に注目したい。市場予想は33.6万件。前週までの4週間移動平均33万8250件を下回る内容となれば、労働市場の改善という「証拠」を背景に米株と金利の反発要因となろう。米金利への低下圧力が後退すれば、外為市場ではドルを買い戻す動きが強まろう。円相場は米株式に左右される展開となろう。

 

Today's Chart Point

ドル円

レジスタンス

102.83:2月21日高値

102.50:一目/雲の下限(日足)

サポート

102.02:一目/転換線(日足)

101.01:一目/基準線(週足)

→ドル円は再び102円台への攻防へとシフト。目先の焦点は、一目/雲の下限(日足)の上方ブレイクだろう。これを達成すれば、再び重要レジスタンスポイント102.80レベルでの攻防となろう。下値は目先、102円台を維持できるかが焦点。101円台へ反落した場合は、週足の一目/基準線が推移している101.00レベルでの攻防に注目したい。尚、102.60から103.00にかけてはオファーが並んでいる。ビッドは102.00、101.50そして101.00レベルにそれぞれ観測されている。

ユーロドル

レジスタンス

1.3833:リトレースメント61.80%

1.3800:レジスタンスポイント

サポート

1.3695:21日MA

1.3626:89日MA

→トップサイドは、引き続き1.3800-1.3833のレジスタンスゾーンでの攻防に注目したい。下値は1.36台の維持が焦点となろう。テクニカル面では、21日MAと89日MAの攻防が焦点となろう。朝方のオーダー状況だが、1.3750から1.3825にかけて断続的にオファーが並んでいる。ビッドは1.3700、そして1.3640から1.3600にかけて観測されている。

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