リスクオン「回帰」には時間が必要

Market Overview-リスクオン「優勢」ではあるが

注目された米雇用統計(2月)で、失業率は6.6%から6.7%へ上昇したものの、非農業部門雇用者数は17.5万人と、市場予想の15.0万人前後を上回る結果となった。昨年12月と1月分も上方修正された。また、平均時給が9セント(0.4%)増の24.31ドルと、昨年6月以来の大きな伸びを示す等、総じて良好な結果となった。

焦点は米国マーケットの反応だったが、米国株式市場ではダウ工業株30種平均が小幅に続伸し、1月17日以来、約1カ月ぶりの高値で取引を終了。S&P500種株価指数は、終値で連日の最高値更新となった。一方、債券市場では米金利に上昇圧力が強まったことで、外為市場でのドル買いを誘発。ドル円は1月23日以来の水準(103.19)まで上昇した。このところ軟調だった米ドル指数は反発色を強めた。

米国マーケットがリスクオンで反応したことで、グローバル金融市場はかろうじてリスクオン「優勢」の状況を保っている。だが、リスクオン「回帰」にはまだ時間がかかろう。先週末の主要な欧州株式市場は、ウクライナ情勢を背景に総じて軟調な地合いとなった。特にドイツDAX指数は、地政学リスクを背景に週間騰落率でマイナス3.52%と急落。クリミア半島を巡る情勢次第(16日のロシア編入の是非を問う住民投票等)では、今週の欧州株式も不安定な状況が継続しよう。また、週末に発表された中国の各種経済指標も総じて冴えない内容(貿易統計が大幅な赤字に転落等)となったことで、今後も中国リスクがグローバル株式市場の上値を抑える懸念材料となろう。

また、今週は日銀イベントもリスク要因として捉えておきたい。海外勢を中心に日銀に対する追加緩和への期待は根強いものの、今回も日銀が動く可能性は低いだろう。先週末の米雇用統計の結果を受け、連邦公開市場委員会(FRB)が金融正常化へ向けアクセルを踏み続ける公算が大きくなったことで、新興国株式市場では緩和マネー先細り懸念が意識されてか再び不安定化の兆しが見える。欧州中央銀行(ECB)に追随し、明日の金融政策決定会合で日銀までが不動のスタンスを表明すれば、さらなる緩和マネー先細り懸念と中国リスクが合わさることで、ファンダメンタルズの脆弱な新興国株式市場を中心にリスクオフムードが強まる可能性があろう。そのような展開となれば、史上最高値圏を維持している米国株式市場でも上値の重い展開となろう。リスクオン「優勢」から「回帰」へ転じるには、まだ時間が必要だろう。

今日のチャート

ドル円 出所:ProRealTImeチャート
ユーロドル 出所:ProRealTImeチャート

 

Today’s Outlook -株式市場と日本の経済指標にらみ

本日は米経済指標の発表は予定されていない。よって、外為市場は株式市場にらみの展開となろう。リスクオン「優勢」を維持するならば、株高を背景に円売り圧力が強まろう。だが、上記の中国リスクを背景に中国株式が軟調な地合いとなれば、日経平均の上値を抑える要因となり、外為市場では円を買い戻す動きが強まろう。

一方、経済指標では8時50分に発表される日本の国際収支(1月)と実質国内総生産(10-12月期、改定値)に注目したい。国際収支が予想以上に悪化すれば、円売り圧力が強まろう。逆に市場予想の範囲内ならば、円買い圧力が強まるかどうかはその後の株式動向次第だろう。また、GDP改定値が下方修正されればマーケットは日銀による追加緩和を意識されやすいことから、円売り要因となろう。

 

 

Today's Chart Point

ドル円

レジスタンス 103.76:3月7日高値 103.65:リトレースメント61.80%
サポート 102.33:3月6日安値 102.00:サポートポイント

→重要レジスタンスポイント102.80レベルを完全に突破したことで、焦点は103円台の維持が焦点となろう。レジスタンスポイントとして注目すべきは、100.75からの61.80%戻し103.65レベルと3月7日高値103.76。一方、下値は102円台を維持出来るかが焦点となるだろう。

ユーロドル

レジスタンス 1.3950:レジスタンスポイント 1.3915:3月7日高値
サポート 1.3852:3月7日安値 1.3800:サポートポイント

→1.39台への到達に成功したものの、維持には失敗。7日に長い上ヒゲが示現していることも考えるなら、3月7日高値1.3915突破が目先の焦点だろう。このレジスタンスポイントの突破に成功すれば、1.39ミドルを視野にもう一段ユーロ高の展開となろう。一方、下値は目先、1.38台の維持が焦点となろう。

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