米国マンスリー2015年12月号

利上げ観測も程よい景気拡大から堅調な相場展開へ

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底堅い米国経済動向

11/24に発表された2015/3Q(7-9月)実質GDP成長率の改定値は、前期比年率2.1%増と速報値の1.5%増から上方修正された。
在庫投資が上方修正と企業の在庫調整は当初想定ほど大きくなく、機器の設備投資が水準を押し上げた。GDPの約7割を占める個人消費支出は小幅下方修正となったが同3.0%増と堅調さが示された。失業率の低下や賃金、住宅価格の上昇に加え、ガソリン安などから消費者マインドは良好で、米国経済の下支え要因となろう。全般に米経済の底堅さが示され、12月のFOMCでの利上げ決定の材料となりそうだ。(庵原)


【上方修正となった3QのGDP改定値~安定成長が続く見通し】


雇用改善で高まる利上げ観測

11/6に発表された10月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比27.1万人増と市場予想の同18.5万人増を大幅に上回った。失業率は5.0%と同0.1ポイント低下し、2008/4以来7年半ぶりの低水準に改善。雇用拡大ペース持ち直しで、早期利上げ観測が高まった。
また、10月の雇用統計では「賃金上昇」が重要なポイントの一つとなった。10月の平均時給は前年同月比2.5%上昇となり、FRBが望んできた労働者の賃金上昇の兆候が確認された。金融正常化に向けたFRBによる12月の利上げを大きく後押しする内容と見られる。(袁)


【大幅な改善となった10月の雇用統計】


12月の利上げと株価見通し

1990年以降、3回の利上げ局面では株価が利上げ前後に調整し、その後上昇トレンドを描いている。2014/10のQE3(量的緩和)終了後、米国では2015年に入って、利上げ時期を模索する相場展開となった。
12月利上げ実施となっても既に市場は織り込んでおり、緩やかな利上げペースが想定されるなか金利やドルの上昇も緩やかになることが予想される。株式市場への下押し圧力は限定的で、程よい景気拡大から堅調な相場展開が予想される。(庵原)


【12月の利上げと株式市場の見通し~引き続き堅調な展開を予想】


セクター別業績と株価動向

2015/12期及び2016/12期のセクター別業績動向では、一般消費財・サービス、ヘルスケアとも2桁増益が見込まれている。ネットフリックス(NFLXアマゾン(AMZND.R.ホートン(DHIホーム・デポ(HDギリアド・サイエンシズ(GILDなどの株価上昇は続くと予想される。
2016/12期には2桁増益が見込まれている金融だが年初来騰落率はS&P500を下回っている。M&Aは活況で、金利上昇が見込まれバンク・オブ・アメリカ(BACゴールドマン・サックス(GSなどの株価に期待したい。AT&TTなど通信セクターにも引き続き注目したい。(庵原)


【セクター別の株価パフォーマンスと業績動向~金融や通信にも期待】


年末商戦でE コマースに期待

10月の米平均時給は前年同月比2.5%増の21.18USDと2009年以来の高水準。平均時給の改善は米経済環境の回復を示しクリスマス商戦を支える材料と言えよう。また、NRF(全米小売業協会)によれば、年末商戦のオンライン販売は前年同期比6-8%増と高成長を予想している。
2015/3Q(7-9月)のE コマース売上高は前年同期比15.08%増と2015/1Q(1-3月)の同14.33%増から改善、アマゾン(AMZNなどEコマースの販売動向に注目したい。また、「サイバーマンデー」のネットセールを1日前倒しで行うウォルマート(WMT、臨時雇用で配送を確保するユナイテッド・パーセル・サービス(UPSフェデックス(FDXなど物流大手の業績動向も期待される。(袁)


【賃金上昇で年末商戦のE コマースに注目】


世界M&Aの活発化と注目銘柄

2015/3Q(7-9月)の世界企業のM&A(合併と買収)が再び活発化している。M&Aの取引件数は前年同期比536件増の4,705件、総額は前年同期比7.3%増の9,091億USDと過去最高を更新した。また、2015/11現在の取引総額は7,355億USDと既に2014/4Qの6,195億USDを超え、2015/4Q(10-12月)もM&Aの活況が継続すると予想できよう。業容拡大などを目指し、アイルランドの同業アラガンを買収するファイザー(PFE)、半導体業界でKLAテンコールを買収するラムリサーチ(LRCX)などに注目したい。(袁)


【米国を中心に世界的に取引拡大のM&A】



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フィリップ証券リサーチ部アナリスト袁鳴
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