米国ウィークリー 2016/2/2号

慎重な利上げ観測と業績期待から堅調な相場展開へ

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  • 想定外の日銀によるマイナス金利の導入は、投資家心理を好転させ米国株も押し上げた。日銀は必要に応じて「量」・「質」・「金利」の3つの次元で追加的な緩和を実施する意向を示し、1/21のECBドラギ総裁による追加緩和の示唆と相俟ってマーケット参加者へのアナウンスメント効果は大きなものになったと思われる。1/29、日本の10年国債利回りは前日の0.2%台から0.09%へと急低下し、ドル・円は昨年末以来の120円台水準に円安が進み、日経平均株価は前日比476.85円高(同2.80%上昇)の17,518.30円。同日のNYダウは同396.66ドル高(同2.47%上昇)の16,466.30ドルと大幅に上昇した。

    1/27のFOMCの結果は想定通り金融政策の維持とサプライズはなかったが、内容はハト派的なものとなった。声明のポイントは、①「世界の経済・金融情勢を注視している」と昨年12月の「海外経済のリスクは減退した」との見解を修正し世界的な株安や原油安に懸念を示し、②米国経済については「昨年末にかけて減速した」と景気判断を下方修正したことなどが挙げられる。

  • 一方、利上げについては「緩やかに進めるが、ペースは今後の経済指標次第」と従来の見解を維持したが、FRBが目指す年4回の利上げペースは難しくなったと見られる。日欧の緩和的スタンスが強まった一方で、米国の経済指標は軟化しており、ドル高進展となれば業績、物価、景気への影響が高まることになる。米国では利上げ後、10年国債利回りが12月末に2.3%台まで上昇したが、足元では1.9%台と昨年4月以来の水準まで低下している。

    1/29発表の2015/10-12月期の米国GDP成長率は前期比年率0.7%と市場予想の同0.8%を下回った。雇用統計など2月月初発表の米国の重要経済指標のデータ次第ではFRBが利上げに対して慎重になるとの観測が強まり、投資家心理は一層改善する可能性があろう。一方Bloombergによれば1/29現在、S&P500種構成企業の2015/10-12月期EPSの見通しは前年同期比5.6%減と1/15時点の同7.0%減から減益幅が改善。アナリストの見通しが保守的な面もあるが、決算発表を行った企業のうちEPSが市場予想を上回った企業は76.1%と良好で、業績の見直しによる株価上昇も期待できよう。(庵原)
     

 

 


S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(1/29現在)


 

主要企業の決算発表予定

●2日(火):ヤフーファイザーギリアド・サイエンシズ、ダウ・ケミカル、LVMH
●3日(水):メルク、ヤム・ブランズ、ゼネラル・モーターズ
●4日(木):シマンテッククレディ・スイス、ING、ダイムラー
●5日(金):BNPパリバ

主要イベントの予定

●2日(火):
1月の自動車販売
●3日(水):
1月のADP雇用統計
1月のISM非製造業景況指数
・TPP12ヵ国閣僚会合(2/4まで、オークランド)
●4日(木):
新規失業保険申請件数(1/29終了週)
・2015/10-12期非農業部門労働生産性、単位労働費用
TPP協定署名式(オークランド)
●5日(金):
1月の雇用統計、失業率
2015/12の貿易収支
2015/12の消費者信用残高
●8日(月):
1月のLMCI(労働市場情勢指数)
・中国・春節の休暇(2/7-2/13)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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フィリップ証券リサーチ部アナリスト袁鳴
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