米国株、決算発表ショックの恐れ S&P500週次続落 AIブーム動揺も
S&P500は7か月ぶりの2週続落。米欧対立懸念は治まったものの、週明け以降の大手ハイテク決算やFOMCへの警戒感もありそうだ。
アメリカの株式市場で緊張感が続いている。S&P500種株価指数の23日の終値は1週間前比0.35%安で、7か月ぶりの2週続落。ドナルド・トランプ大統領が火をつけたデンマーク領グリーンランドをめぐる米欧対立による混乱が後を引いた。株価不振の背景には、28日以降に予定されている大手ハイテク各社の2025年10-12月期決算発表が株式市場での人工知能(AI)ブーム継続への期待を揺らし、株価下落を招くことへの警戒もありそうだ。一方、このところの経済指標では米国経済の強さが確認されており、株式市場にとっては安心材料といえる。しかし物価上昇の根強さもあって金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが後退。27、28日の連邦公開市場委員会(FOMC)も株価下落要因になる可能性がある。S&P500は前回の決算発表シーズンとFOMCが重なった10月下旬以降、下落基調に転じた経緯もあり、週明け26日以降のS&P500の見通しにはショックへの不安がつきまといそうだ。
アメリカのS&P500は週次0.35%安 グリーンランド問題で7か月ぶり週次続落
S&P500(SPX)の23日の終値は前日比では0.03%高の6915.61だった。週次での下落(0.35%安)は、前週(12-16日)の0.38%安に続く2週連続。ブルームバーグによると、2週続落はイスラエルによるイラン核施設攻撃などが不安材料になっていた6月中旬以来だ。23日の終値は12日の最高値(6977.27)からは0.88%安の水準にある。
S&P500は20日に3か月ぶりの下落率となる3連休前比2.06%安を記録。グリーンランド取得を狙うトランプ氏が欧州8か国からの輸入品に10%関税をかけると表明したことが悪材料視された。トランプ氏は21日には関税見送りを決め、市場の動揺は治まったが、傷跡は残ったといえそうだ。
メタやマイクロソフトなど4社が決算発表へ AIブームの継続見通しが動揺する恐れ
またS&P500の不信の背景には大手ハイテク企業の決算発表への懸念もありそうだ。週明け以降の株式市場では28日にメタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)の3社が10-12月期決算を発表。29日にはアップル(AAPL)の決算発表が予定されている。4社の株価の23日の終値を2025年末比でみると、アップルが8.76%安、マイクロソフトが3.65%安となるなど、そろって値下がりしている。
このうちメタは10-12月期の総収入の成長減速が見込まれており、財務面の悪化も懸念される状況。マイクロソフトもAIサービスでの需要増に供給能力拡充が追いついておらず、やはり成長減速が見込まれている。テスラも電気自動車(EV)をめぐる経営環境悪化が2026年の成長見通しを暗くしている可能性がありそうだ。さらにアップルは世界的なメモリ半導体不足が好調なiPhone(アイフォン)の販売に冷や水をかけるとの懸念が広がっている。時価総額が大きい各社の決算発表が市場の期待に応えられなかった場合には、AIへの期待が株価を押し上げる構図が揺らぎ、S&P500にショックが走る可能性もありそうだ。
米国経済の堅調さはS&P500の追い風 7-9月期成長率は上方修正
一方、S&P500には米国の実体経済の堅調さという追い風もある。米商務省が22日に発表した2025年7-9月期GDPの修正値は実質成長率が前期比年率4.4%となり、12月下旬に発表された速報値(4.3%)から上方修正された。設備投資や輸出の伸びが貢献したほか、個人消費の強さも維持されており、投資家にとっての安心材料になったもようだ。
物価上昇率に根強さ パウエル氏の任期中の利下げ確率は33%まで低下
しかし同じ22日発表された10月と11月の個人消費支出(PCE)物価指数で物価上昇圧力の根強さが感じられたことは、FRBの利下げへの期待を遠ざけるS&P500にとっての逆風といえる。11月のPCE物価指数の伸び率は、総合指数と、食品とエネルギーを除いたコア指数でいずれも前年同月比2.8%。ともにブルームバーグがまとめた市場予想と一致する結果だったが、10月の2.7%からそろって上昇しており、FRBが目標とする2%からの距離を感じさせた。
実際、金融市場ではFRBの利下げ見通しが大きく後退している。ブルームバーグによると、23日の金融市場では28日までのFOMCでの利下げ見送りが確実視されているほか、ジェローム・パウエル議長の任期中として最後の会合となる4月FOMCまでの利下げ確率も33%まで低下した。さらに12月FOMC後の政策金利の水準は3.196%と見込まれており、現状(3.50-3.75%、中間値3.625%)から0.429%ポイント低い水準にとどまる。トランプ氏が指名する次期議長にFRBの運営が委ねられたとしても、年内利下げ回数は2回に達しない可能性が意識されている形だ。
FOMCと大手ハイテク決算でS&P500にショックか 3か月前のシナリオが再来?
こうした中、28日までのFOMC後に公表される声明文やパウエル氏の記者会見はS&P500にとっての試練になる可能性がある。パウエル氏はやはり大手ハイテク企業の決算発表シーズンに行われた10月29日のFOMC後の記者会見で、次回12月会合での利下げについて「既定路線とは程遠い」と述べ、前日まで最高値更新を繰り返してきたS&P500に冷や水をかけた。同じ29日に行われたメタとマイクロソフトの7-9月決算発表が投資家の不安を招いたこともあり、S&P500はFRB幹部の発言が利下げ期待を高めた11月中旬までに最高値から5%超の値下がりに見舞われている。
このため週明け26日以降のS&P500の見通しは下落圧力がかかりやすい展開になりそうだ。大手ハイテク各社の決算発表の内容やFRBの情報発信次第では、投資家心理が大きく冷え込む筋書きも考えられる。
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