米国株、2月リスク警戒 S&P500週次反発 次期FRB議長はタカ派?
S&P500は1月を値上がりで終えたが、次期FRB議長候補のウォーシュ氏はタカ派の印象も強い。週明けは雇用統計やアルファベット決算が波乱要因だ。
アメリカの株式市場に警戒感が出ている。S&P500種株価指数の30日の終値は1週間前比0.34%高で3週ぶり反発。年の初めの1月を4年連続での値上がりで終え、2026年の好スタートを切った。一方、S&P500は28日以降は3日続落で最高値からはじわじわと後退。投資家の不安心理も拡大している。ドナルド・トランプ大統領が30日に発表した米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長候補のケビン・ウォーシュ元理事に、金融緩和に慎重な「タカ派」の印象も強いことが影響していそうだ。また大手ハイテク株の値動きでは、巨額の設備投資が嫌気されたマイクロソフトの株価が急落しており、人工知能(AI)ブームの継続性への懸念も根強い。週明けから始まる2月の株式市場は12の月の中で、過去の成績が2番目に悪いこともリスク要因といえ、4日のアルファベットの決算発表や6日の雇用統計が投資家心理を揺らし、S&P500への下落圧力が強まることも考えられそうだ。
アメリカのS&P500は週次0.34%高 1月は1.57%高で2026年を好発進
S&P500(SPX)の30日の終値は前日比では0.43%安の6939.03。週次での上昇(0.34%高)は12月雇用統計が株式市場に好感されるなどした5-9日週(1.57%高)以来3週ぶりだ。また1月の上昇率は1.37%高で、10月の2.27%高以来の大きな値上がりとなった。1月の値上がりは2023年から4年連続。2025年までの3年間はいずれもS&P500の年間上昇率が16-24%という高さだったことを考えれば、幸先の良いスタートを切ったといえそうだ。
投資家心理はじわじわと悪化 VIX指数はグリーンランド問題当時以来の高さに
一方、このところのS&P500の値動きは低調とみることもできる。S&P500は30日まで3営業日続落で合計0.57%安。27日につけた最高値(6978.60)からじわじわと後退した。また、シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の30日の終値は前日よりも3.32%高い17.44。トランプ氏のグリーンランド取得をめぐる欧州との対決姿勢が懸念材料となっていた20日(20.09)以来の高さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
トランプ氏は次期FRB議長にウォーシュ氏を指名 金融緩和に慎重なタカ派の印象も
投資家心理の冷え込みがS&P500の足を引っ張っている背景には、トランプ氏が30日に発表した次期FRB議長人事も影響していそうだ。トランプ氏が指名したウォーシュ氏は2008年に起きたリーマン・ショックに際し、FRB理事として大手金融機関の救済に尽力したことのほか、FRBがショック後の景気刺激策として米国債の大量購入による金融緩和を行ったことには批判的だったことで知られる。このためウォーシュ氏は金融市場では、景気や物価上昇の過熱への警戒に軸足を置く「タカ派」との印象も強い。
また、ウォーシュ氏は理事時代、中央銀行の独立性の重要性も主張してきた。2010年6月28日のジョージア州での講演では、資産購入による金融緩和はマクロ経済に及ぼす好影響が小さい一方、金融市場の機能不全や実質的に政府債務を補填する財政ファイナンスとの印象を持たれる懸念、中央銀行の信頼性を損ねるなどのデメリットがあると指摘。「現状以上の資産購入拡大の検討は厳しいチェックを経るべきだ」としている。ウォーシュ氏は現在の経済状況をめぐってはFRBによる利下げが必要だとしているが、次期議長の下でのFRBがトランプ氏の意向に沿って一方的に利下げを進めるとの観測は弱まっていく可能性がある。
マイクロソフトの株価は決算発表翌日に9.99%安 オープンAI関連株の不振も続く
さらにS&P500にはAIブームの継続性に対する疑念の強さという逆風も吹く。マイクロソフトが28日に発表した2025年10-12月期決算は、設備投資額が前年同期比65.9%増になるなど、右肩上がりで増えている状況が嫌気された。マイクロソフトの株価(MSFT)は決算発表翌日の29日に前日比9.99%安と急落。30日までの週次では7.65%安となっている。マイクロソフトは12月末段階で6250億ドルまで増えたクラウドサービス全般にわたる受注残のうち、45%は資金調達に不安があるオープンAIとの契約であることも不安材料だ。
このため株式市場ではオープンAIの大規模AIインフラ投資構想「スターゲート」に参加する企業の株価の不振も目立つ。オープンAIへのクラウドサービス提供で大型契約を結んだオラクル(ORCL)の株価の30日の終値は10月末比で37.33%安。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手のアーム・ホールディングスの株価(ARM)や日本のソフトバンクグループ(9984)の株価も同様に、37%台の下落率となっている。
S&P500は2月に下落のジンクス 決算や雇用統計で見通しに波乱も
こうした中、週明けから始まる2月の取引にはS&P500が下落しやすいというジンクスがある。ブルームバーグの2000年から2025年のデータによると、2月の月次騰落率は平均0.50%安で、9月の1.31%安に次ぐ悪い成績となっている。年間で株価が急騰した2023年以降の3年でみても、2023年2月は2.61%安、2025年2月は1.42%安で、投資家心理が冷えやすい傾向もみてとれる。
S&P500の今後の見通しをめぐっては波乱も想定される。米国の株式市場では、アルファベット(GOOGL)が4日に10-12月期決算を発表する予定。AI事業の総合力や財務の健全性が評価される中、株価上昇への期待も強いが、設備投資額の大きさや収入面での成長性が投資家から問題視されれば、株価が下落する展開も考えられる。また6日発表の1月雇用統計で労働市場の強さが確認された場合には、タカ派の印象も強いウォーシュ氏の次期FRB議長指名もあって、FRBの利下げへの期待が後退し、S&P500が値下がりしやすい2月のジンクスが現実味を増すこともありえそうだ。
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