米国株、アメリカ売りで急落の恐れ S&P500上昇限界? 悪材料山積
S&P500は4連騰。ただ、利下げ期待が後退し、米国の政情不安やドル売りが進む中、28日の大手ハイテク企業決算が米国売りに火をつける恐れもある。
アメリカの株式市場の上昇に息切れの懸念が膨らんでいる。S&P500種株価指数の26日の終値は4営業日続伸の0.50%高で、最高値までの距離をじわじわと縮めてきた。決算発表を目前に控える大手ハイテク各社の株価もここ数日は調子づいており、好業績への期待も出ているようだ。ただ、人工知能(AI)ブームに沸いてきた各社にとって投資家の納得を得る業績と見通しを示すことの難易度は高まっており、決算発表が期待外れに終わる不安は拭えない。また米連邦準備制度理事会は27、28日の連邦公開市場委員会(FRB)に際して利下げへの距離を示すとみられ、S&P500の上昇に対する投資家の期待は頭打ちの感が強まってきた。さらに足元では、2月1日以降の政府機関閉鎖の可能性やFX市場でのドル売りという投資家心理にとっての悪材料も積み重なっており、S&P500の今後の見通しにとっては「アメリカ売り」の流れが急落を引き起こす恐れもある。
アメリカのS&P500は4営業日続伸 最高値から0.39%安まで上昇
S&P500(SPX)の26日の終値は6950.23。4営業日続伸の間に合計2.26%高となり、12日の最高値(6977.27)から0.39%安の水準まで回復してきた。ブルームバーグによると、S&P500は20日、ドナルド・トランプ大統領がデンマーク領グリーンランドの取得を狙って欧州8か国に関税措置を取ると表明したことを受けて、3連休前比2.06%安となっていたが、トランプ氏の意向撤回を受けて混乱は治まったといえそうだ。
メタ・プラットフォームズは4連騰で11.30%高 決算発表を目前に控え上昇
S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株も2025年10-12月期決算発表を目前に控え、上昇が続いている。ブルームバーグによると、28日に決算を発表するメタ・プラットフォームズ(META)の株価は前週末比2.06%高。4営業日続伸で合計11.30%高となった。やはり28日に決算を発表するマイクロソフト(MSFT)も26日までの3連騰で合計5.89%高となっている。このほか26日の取引では、29日が決算発表日のアップル(AAPL)が2.97%高、アルファベット(GOOGL)が1.63%高となり、投資家が好決算に期待を抱いている様子が感じられる。
大手ハイテク各社の決算発表に高いハードル FRBの利下げ見通しもさらに後退
ただ、各社の株価は11月以降、不振にあえいできたことは事実だ。S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社のうち5社は10月末比で株価が下落。マイクロソフトの26日終値は10月末比で9.18%安。同様にアップルは5.53%安、28日に決算を発表するテスラ(TSLA)も4.68%安だ。10月下旬の7-9月期決算発表でAI関連の設備投資負担の大きさが嫌気されたことなどが要因で、今回の決算発表でも設備投資の必要性と財務の健全性の維持のバランスや、経営環境の悪化といった課題は多い。AIブームの持続性への疑念がくすぶり続ける中、投資家の期待を高める材料を提供することの難しさも感じられる。
またS&P500を下支えしてきたFRBの利下げへの期待も引き続き後退している。金融市場ではFRBが28日までのFOMCで4会合ぶりに政策金利を維持することが確実視される情勢。さらにジェローム・パウエル議長の任期中最後のFOMCとなる4月会合後の政策金利の水準は、26日時点の金融市場での見通しで3.564%まで上がっており、4月までの利下げ確率は31%程度でしかない。米国経済をめぐってはこのところ、7-9月期GDPの実質成長率の高さや11月の個人消費支出(PCE)物価指数の上昇の根強さも確認されており、パウエル氏が28日の記者会見で追加利下げから距離をとる可能性がありそうだ。
S&P500の上昇への期待は高まらず 政府機関閉鎖の恐れも再び浮上
こうした中、S&P500の上昇に対する投資家の期待は頭打ちになっているようだ。ブルームバーグによると、S&P500の水準の、今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)に対する比率を示す株価収益率(PER)は26日段階で23.2倍程度。12月以降、23倍前後での横ばいが続いている。26日のS&P500の終値は11月末比1.48%高で、構成銘柄の予想1株当たり利益の上昇率(0.76%)をわずかに上回るにとどまっており、投資家は利益の拡大が見込めようになるまでは株式を買い進めることはできないと判断しているともいえそうだ。
投資家がS&P500の上昇への期待を高められない背景には米国政治の不安定さもありそうだ。米議会では2月1日以降のつなぎ予算をめぐる審議が難航しており、政府機関一部閉鎖の恐れが再び高まってきた。米国では11月12日に多くの政府機関の予算を1月30日まで確保するつなぎ予算が成立し、2月以降の予算についても調整が進められてきたが、民主党はここにきて国土安全保障省の予算について反対姿勢を強めている。ミネソタ州で移民・税関捜査局(ICE)の職員が24日、トランプ政権への抗議活動に参加していた男性を射殺した事件がきっかけで、民主党のチャック・シューマー上院院内総務は「つなぎ予算案に国土安全保障省の予算が含まれている限り、民主党は議事の進行に同意しない」としている。
為替介入観測でドル安 大手ハイテク決算やFOMCがアメリカ売りの契機にも
さらにFX市場では「ドル売り」の流れも目立つ。ブルームバーグによると、円の対ドルレートの26日のニューヨーク市場の終値は2営業日前の22日比で2.74%の円高。ポンドの対ドル相場(GBP/USD)、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)も同様に1%超上昇している。円安阻止を狙う日本政府の為替介入が米国政府との連携の下で行われるとの観測が、米国政府がドル安を容認しているとの見方につながった結果だ。
米国議会での対立やドル安が進む中で、大手ハイテク企業決算やFOMCの結果が不安材料になれば、米国債とドルと株式が同時に売られる「アメリカ売り」のムードを強めかねない。この場合には、最高値付近まで浮上してきたS&P500が急落に見舞われる可能性もありそうだ。
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