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米国株、急落から急反発 S&P500波乱継続も 貿易戦争リスク後退

S&P500は21日に反発。トランプ氏が欧州8か国への関税方針を撤回したことが安心材料となったが、前日の2.06%安の傷跡は残る。

米国株、急落から急反発 S&P500波乱継続も 米欧貿易戦争懸念後退 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場に傷跡が残った。S&P500種株価指数の21日の終値は前日比1.16%高で、約2カ月ぶりの上昇率。前日に記録した2.06%安という急落から大きく反発した。ドナルド・トランプ大統領が21日、デンマーク領グリーンランドをめぐって欧州8か国からの輸入品にかけるとしていた関税賦課の見送りを表明したことが要因だ。21日の金融市場では米欧による貿易戦争の懸念が後退したとして投資家心理が改善している。ただ、21日の反発は力強さに欠いているともいえ、S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の下落傾向にも変化はない。22日に発表される物価関連指標に加え、28日に予定される連邦公開市場委員会(FOMC)や企業決算発表などが投資家心理を冷やす可能性もあり、S&P500の今後の見通しをめぐっては、波乱が継続する展開も考えられそうだ。

アメリカのS&P500は1.16%高 前日の2.06%安から大きく反発

S&P500(SPX)の21日の終値は6875.62。前日比1.16%高は、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部の発言が利下げ見通しを強めた2025年11月24日(1.55%高)以来の大きな上昇率だった。前日は、グリーンランド取得を狙うトランプ氏がデンマーク、フランス、ドイツ、イギリスなど8か国に2月1日から10%の関税を課すなどとしたことを受け、3連休前比2.06%安となっていたが大きく反発した形だ。前日の下落率はトランプ氏が中国のレアアース規制に関連して対抗措置を表明した10月10日(2.71%安)以来の下落率だった。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

トランプ氏が欧州8か国への関税賦課を撤回 投資家心理は大きく改善

S&P500を反発させたのはトランプ氏の方針転換だ。世界経済フォーラム出席のためにスイスを訪問しているトランプ氏は米国東部時間での21日午後2時27分、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で「2月1日に発動する計画だった関税を課すことはない」と表明。北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長との協議で、グリーンランドに関する将来的な合意の枠組みが形成されたためだとしている。JD・ヴァンス副大統領やマルコ・ルビオ国務長官、スティーブ・ウィトコフ特使らが今後の交渉にあたるという。

21日の金融市場では米欧間の貿易戦争が回避されたとの見方から投資家心理が改善。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の21日の終値は前日よりも15.88%低い16.90となった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。前日終値の20.09は11月24日(20.52)以来、2カ月ぶりの高さだった。

VIXとS&P500の推移のグラフ

S&P500の反発は勢い不足か 大手ハイテク株の下落傾向も変わらず

ただ、21日のS&P500の反発は力強さを欠いたとみることもできる。ブルームバーグによると、S&P500はトランプ氏の関税措置撤回表明から30分ほどで、前日終値比1.67%高にあたる6910.39まで上昇したが、勢いは続かず。次第に上げ幅を縮めていった。この結果、21日の上げ幅は20日の下げ幅の55%を取り戻すにとどまり、傷跡が残ったともいえそうだ。21日終値は12日の最高値(6977.27)からは1.46%安にあたる。

S&P500の1月21日の値動きのグラフ

またS&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の値動きも不振だ。マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク7社の株価は21日、マイクロソフト(MSFT)を除く6社が上昇。しかし前日の20日は半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)が3連休前比4.38%安、テスラ(TSLA)が4.17%安となるなど、全7社が1%超値下がりしていた。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は20日に3連休前比3.07%安となった後、21日の反発は0.96%高にとどまっている。

アルファベット、エヌビディア、テスラ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、メタ・プラットフォームズの株価の推移のグラフ

22日のGDP成長率やPCE物価指数も波乱要因 S&P500の見通しは波乱含みか

こうした中、S&P500は今後の重要イベントにも神経質に反応する可能性がある。米商務省は22日午前8時30分(日本時間22日午後10時30分)に2025年7-9月期のGDPの修正値、午前10時に10月、11月の個人消費支出(PCE)物価指数を発表する予定。物価上昇圧力の強まりが意識される結果となれば、FRBの利下げへの期待が後退し、S&P500への下落圧力が増すことも考えられそうだ。ブルームバーグがまとめた市場予想では、11月のPCE物価指数の伸び率は、総合指数と、食品とエネルギーを除いたコア指数のいずれも前年同月比2.8%となり、最新のデータである9月から横ばいになるとみられている。

アメリカのPCE物価指数の伸び率の推移のグラフ

さらに米国では28日にFOMCの結果が発表される予定。同じ28日と29日にはメタ・プラットフォームズ(META)など大手ハイテク4社の2025年10-12月期決算発表が行われる。米欧間の貿易戦争懸念についても、トランプ氏がグリーンランドをめぐる欧州との協議の進展に不満を示せば、金融市場に動揺が走る恐れもあり、S&P500の今後の値動きは波乱含みになることも想定されそうだ。


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