米国株、ハイテク不安で急落リスク S&P500続落 エヌビディアも転落
S&P500は2日続落。AIブームの副作用やAMDの決算が悪材料視され、投資家心理が悪化した。アルファベットの決算も追い風になっていない。
アメリカの株式市場で緊張感が高まっている。S&P500種株価指数の4日の終値は2日続落の0.51%安。大手ハイテク株の不振が足を引っ張った。人工知能(AI)開発企業アンソロピックのサービス強化が既存のソフトウェア企業の業績にダメージを与えるとの観測が投資家心理を悪化させた。また、半導体大手アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の決算発表も悪材料視され、NVIDIA(エヌビディア)を含む半導体株も軒並み下落している。一方、4日の金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが強まっており、S&P500の値動きにとっては追い風。ただ、利下げ期待の背景には労働市場への不安があり、株価を上昇させるには力不足だったようだ。また4日の取引時間終了後に2025年10-12月期決算を発表したアルファベットは2026年の設備投資額が2025年の実績の2倍になるとの見通しを提示。利益圧迫への懸念から時間外取引で株価が下落している。このためS&P500の今後の見通しをめぐっては、急落リスクの高さが意識されることになりそうだ。
アメリカのS&P500は2日続落 最高値の後で不振深まる
S&P500(SPX)の4日の終値は6882.72。2日続落で合計1.34%安となった。ブルームバーグによると、S&P500は1月27日に最高値(6978.60)を付けた後の6営業日のうち5営業日で下落しており、不振が深まっている形だ。
アンソロピックのAIサービス強化はソフトウェア企業の逆風か 投資家心理悪化
S&P500の下落の要因のひとつはAIサービスの拡大がソフトウェア企業の収益を削るとの観測だ。3日の株式市場ではアンソロピックが1月30日に発表したAIによる業務効率化ツール「Cowork(コワーク)」の機能強化が注目を集めた。なかでも法務や財務に関連した業務の効率化にも対応したことが、企業向けの業務ソフトを展開する企業の成長の足を引っ張るとの見方につながった。マイクロソフトの株価(MSFT)は3日終値までの4営業日続落で合計14.62%安に見舞われている。
AIサービスの強化が既存企業の利益を奪う可能性は投資家心理を大きく冷やした。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は3日の終値で前日よりも10.16%高い18.0まで上昇。4日には18.64まで上昇が進み、グリーンランドをめぐる米欧対立が不安材料になっていた1月20日(20.9)以来の高さとなっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
FRBの年内2回利下げ見通しが拡大 ADP統計での就業者数の伸びに弱さ
一方、4日の金融市場ではFRBの利下げ見通しが強まるというS&P500にとっての好材料も出た。ブルームバーグによると、4日の金融市場でみこまれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.140%で、前日よりも0.013%ポイント低い水準。年内2回の利下げ確率は99%と見込まれている。利下げ確率は、ドナルド・トランプ大統領が1月30日にFRBの次期議長候補として指名したケビン・ウォーシュ元理事に金融緩和に慎重な「タカ派」の一面があることから、低下傾向にあったが、新議長の下で利下げが進む可能性が改めて意識され始めた可能性がある。
ただ、利下げ見通しの強まりの背景には米国の労働市場の弱さが見え隠れしていることもあり、必ずしもS&P500を押し上げる要因とはみなされなかったようだ。民間雇用サービス会社ADPが4日に発表した1月の全米雇用リポートによると、1月の就業者数(政府部門除く)は前月比2.2万人増となり、ブルームバーグがまとめた事前予想の4.5万人増を下回った。今後は米労働省が11日に発表する1月雇用統計に対する投資家の反応が焦点となる。
1月雇用統計は6日に発表される予定だったが、つなぎ予算失効に伴って1月31日から始まった政府機関一部閉鎖の影響で後ずれした。米下院は3日、上院が可決した労働省を含む一部政府機関の予算を9月末まで確保する法案を可決。つなぎ予算はトランプ氏の署名を経て成立し、政府機関一部閉鎖は4日間で終わった。国土安全保障省については2月13日までの予算を確保している。
アルファベットの2026年の設備投資額は前年の2倍見通し S&P500に急落リスク
こうした中、S&P500にとっては4日の取引時間終了後に行われたアルファベットの決算発表に対する株式市場の反応も不安材料となる。アルファベットの10-12月期決算は総収入と利益がともに市場予想を超えたが、設備投資額の大きさが悪材料視された。アルファベットは2026年の設備投資額は1750億-1850億ドルになるとの見通しを示しており、2025年の実績(914.47億ドル)の2倍に達する可能性がある。ブルームバーグによると、アルファベットの株価は4日の時間外取引で一時、直前の終値から6.48%安となる場面もあった。その後も2-3%安で推移している。
4日の時間外取引ではアルファベット以外の大手ハイテク株も下落が目立ち、S&P500にかかる下落圧力は強まっていそうだ。投資家心理の悪化が進む中、S&P500が急落するリスクも大きくなっている。
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