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IBM(IBM)、買収したRed Hatのオープンソース技術で世界中のクラウドと互換性を持ち、同社ソフトウェアの普及加速へ

ニューヨーク | ITサービス | 業績フォロー

Source: Bloomberg
  • 2019/12期2Q(4-6月)は売上高が前年同期比4.2%減だったが、純利益が同3.9%増、Non-GAAPの調整後EPSが同2.9%増と減収増益。
  • セグメント別では、伝統的なハードウェア寄りの事業は伸び悩んだものの「Watson」のAIやクラウドサービス、コンサルティングなどの利益率が高い分野を手掛ける事業が伸びて利益面で貢献した。
  • オープンソース技術で世界をリードするRed Hatを約340億USDで買収。世界最大の「ハイブリッド・クラウド」提供者となり、同社の豊富なソフトウェア群の普及を図る戦略による企業変身に期待。

What is the news?

7/17発表の2019/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比4.2%減の191.61億USDと減収だったが、純利益が同3.9%増の24.98億USD、Non-GAAPの調整後EPSが同2.9%増の3.17USDと増益となった。Global Technology services事業やSystems事業など伝統的なハードウェア寄りのIT事業は伸び悩んだものの、「Watson」のAIやクラウドサービス、コンサルティングなど利益率が高い分野を手掛けるCloud & Cognitive Software事業やGlobal Business Services事業が伸びたことが利益面で寄与した。売上総利益率も同1.00%ポイント上昇の77.3%となった。

セグメント別の売上高は、Cloud & Cognitive Software事業が同3.2%増の56.45億USD、Global Business Services事業が同0.5%増の41.55億USD、Global Technology Services事業が同6.7%減の68.37億USD、Systems事業が同19.5%減の17.53億USD、Global Financing事業が同10.9%減の3.51億USD。特にCloud & Cognitive Software事業は、クラウド・データプラットフォームが同5%増、コグニティブ・アプリケーションが同3%増、トランザクション処理プラットフォームが同2%増と、AI活用クラウド・プラットフォーム関連が順調に拡大していることを示した。

How do we view this?

同社は8/1にRed Hat買収(約340億USD)に係る投資家向け説明会を開催した。Red HatはLinuxなどのオープンソース技術で世界をリードしているクラウド・ソフトウェアプロバイダーであることから、IBM Cloud、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、およびAlibabaなどの世界の主要クラウドと連携している。同社の戦略は世界のあらゆるクラウドと互換性を持つ世界最大の「ハイブリッド・クラウド」提供者になることであり、あらゆるクラウド上で同社の豊富なソフトウェア群のアプリケーションを実行可能とするものである。会社計画では、12ヶ月以内に収益増、売上総利益、およびフリーキャッシュフローの増加加速を見込んでおり、増配も見込めよう。2019/12通期の市場予想は、売上高が前期比2.3%減の777.86億USD、当期利益が同18.6%増の103.55億USDである。

配当予想(USD)6.46(予想はBloomberg)
終値(USD) 134.10 2019/9/3

会社概要
1911年設立。コンピューター・ソリューションに係る統合テクノロジー企業として世界各地で事業を展開。事業セグメントは、「Cloud&Cognitive Software」、「GlobalBusiness Services」、「Global Technology Services」、「Systems」、「Global Financing」などから構成される。 Cloud&Cognitive Software事業は、人工知能である「Watson」のブランド名で、分析およびデータ管理プラットフォーム、クラウドデータサービスなどの企業向け人工知能プラットフォームのソフトウェア・ポートフォリオを提供するほか、銀行、航空会社、小売業界などのトランザクション処理ソフトウェアも手掛ける。Global BusinessServices 事業は、ビジネスコンサルティングのほか、財務・購買・人材開発など業界ごとのBPOサービスを提供する。Global Technology Services事業は、企業向けITインフラ環境に係るサービスのほか、ソフトウェア・ソリューションを手掛ける。Systems事業は、企業・クラウドサービスプロバイダー・科学研究組織向けサーバーなどを提供する。Global Financing 事業は、金融機関、航空会社、メーカーおよび小売企業向けに多様な金融サービスを手掛ける。

企業データ(2019/9/4)
ベータ値 1.05
時価総額(百万USD) 118,796
企業価値=EV(百万USD) 144,693
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 517.1

主要株主(2019/9) (%)
1.VANGUARD GROUP 8.11
2.ブラックロック 6.83
3.ステート・ストリート 6.06
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
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