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米国株、決算ショック懸念深まる S&P500週次反落 半導体株急落継続

S&P500は週次1.55%安。半導体株の急落が足を引っ張った。週明け以降にはアルファベットなどの決算発表が控え、再びショックが走るリスクがある。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アメリカの株式市場で決算発表への懸念が強まっている。S&P500種株価指数の17日の終値は1週間前比で1.55%安。3週ぶりの反落で目前に迫っていた最高値更新が遠のいた。人工知能(AI)ブームに沸いてきた半導体株の急落が止まらない状態で、6月下旬以降は重要半導体企業の業績発表の度に株価が大きく値下がりするパターンを繰り返している。AIブームをめぐっては、中国企業も含めたAI開発企業同士の競争激化への懸念が強まっているうえ、半導体株には依然として割高感も残っており、下落余地の大きさも感じられる状態だ。一方、米国の実体経済をめぐっては、堅調なデータが続いており、S&P500にとっては好材料。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げが株式市場を冷やす可能性は後退している。ただ、米国では週明け以降、大手ハイテク各社の決算発表が始まるだけに、投資家の警戒感は改めて強まってきた。株式市場に再び決算ショックが走る恐れは、S&P500の見通しに急落リスクを突き付けているといえそうだ。

S&P500は週次1.55%安 3週ぶり反落で最高値から2%安に後退

S&P500(SPX)の17日の終値は前日比では1.01%安の7457.69。メモリ半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU)の決算発表を前にした6月23日(1.44%安)以来の急落で、週次では1.55%安に沈んだ。ブルームバーグによると、週次での値下がりは6月22-26日週(1.95%安)以来、3週ぶり。17日の終値は6月2日の最高値(7609.78)から2.00%安の水準で、15日段階での0.49%安から大きく後退した。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

半導体株は弱気相場入りの20%超安 業績発表の度に急落

S&P500の値下がりの要因は半導体株の急落だ。17日までの値動きでは、半導体の名門企業インテル(INTC)が4週続落の週次13.47%安。半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が週次12.09%安、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が週次11.14%安などとなっている。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も週次17.38%安となって不振が極まっている。

エヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

こうした中、米国上場の半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の17日の終値は前日比1.63%安となり、週次でも9.97%安という急落。ブルームバーグによると、6月22日につけた最高値からは20.23%安となっており、弱気相場入りの基準とされる20%安を超えた。SOXはマイクロン決算前日の6月23日に前日比7.87%安、韓国サムスン電子の2026年4-6月期の業績が発表された7月7日に4.65%安、台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の4-6月期決算が発表された7月16日も4.29%安となっている。3社の業績はいずれも市場予想を超える好調さを示す内容だったが、半導体市場の過熱感が意識されて株価の下落を招き、S&P500の足を引っ張っている。

フィラデルフィア半導体株指数の推移のグラフ

中国企業が新たな先端AIモデルを公開 半導体株に残る割高感

半導体株の過熱感が警戒される背景にはAIブームをめぐる競争激化がある。17日には中国のAI開発企業、ムーンショットAIが最新モデル「Kimi K3」を公開。ムーンショットAIはK3について、性能の指標となるパラメーター数を2兆8000億まで高め、オープンソースモデルとして無料での利用を可能にすると説明している。K3の性能はオープンAIやアンソロピックの最新モデルには及ばないものの、多くのテスト項目で先端モデル並みの評価を得ているという。

また、S&P500にとっては、急落した半導体株に依然として割高感が残っていることも不安要素だ。ブルームバーグによると、AMDの株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は17日段階で47.6倍程度。1週間前(10日)の54.0倍からは低下したものの、株式市場でAIブームが本格化した2023年以降の平均値(34.1倍)は大きく上回っている。同様の傾向はアプライド・マテリアルズやインテルの株価にもみられる。AMDやインテルの株価は17日段階でも、イラン戦争和平への期待が高まった4月1日以降の上昇率が2倍超となる水準で、株価には下落の余地が大きく残されているとみることもできる。

エヌビディアなど半導体各社の予想株価収益率の比較グラフ

米国の実体経済は良好 FRBの7月利上げ見通しは後退

一方、米国の実体経済をめぐっては良好な数字が続いている。14日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を大きく下回る伸び率で物価上昇圧力の強まりを感じさせない結果。2日発表の6月雇用統計で労働市場の過熱感が出なかったこととあわせて、FRBの早期利上げ見通しを後退させている。ブルームバーグによると、17日の金融市場で見込まれている28、29日の連邦公開市場員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.662%で、6月CPI発表前日の13日段階との比較で0.018%ポイント低下。7月利上げの確率は15%に留まっている。金利の先高感の弱まりは株式投資の相対的な魅力を高めるS&P500にとっての値上がり要因だ。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

22日にアルファベットなどが決算発表 決算ショック再来の恐れ

ただ、米国の株式市場では再び決算発表への警戒が強まっている。S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中では、22日の取引時間終了後にアルファベットGOOGL)とテスラTSLA)が4-6月期決算を発表する予定。アルファベットの株価は17日までの週次で2週続落の週次2.91%安、テスラの株価は3週ぶり反落の週次6.60%安となっている。7社の中ではこのほか、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)が週次3.86%安、メタ・プラットフォームズ(META)が週次3.47%安となった。さらに23日にはインテルも4-6月期決算を発表する。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

アルファベットなどの大手ハイテク企業の決算発表をめぐっては、AIサービス拡充のための設備投資額の上積みが示されれば、競争激化への懸念ともあいまって、株価の急落につながる恐れがある。TSMCが16日に「複数年にわたるAIメガトレンド」への自信を示していることを踏まえれば、今後の各社の決算発表では設備投資への強い意欲が示されることが想定され、投資家の不安は高まっていきそうだ。半導体株に加えて大手ハイテク株でも決算ショックが走るリスクは、週明け20日以降のS&P500が急落する見通しを強める材料といえる。

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