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アルファベット、急落株価に試練も 22日決算 AI事業の稼ぐ力に不安

アルファベットの2026年4-6月期決算はクラウド事業の収益性が焦点。AIサービスの価格競争が利益率を押し下げていれば、株価下落の要因となる。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アルファベットが22日に行う2026年4-6月期決算発表は人工知能(AI)サービスの稼ぐ力が問われそうだ。アルファベットはAIサービスの提供基盤となるクラウド事業が1年間で収入を1.6倍に伸ばすハイペースで成長中。しかしクラウド事業の4-6月の営業利益率は約3年ぶりに前四半期よりも小さくなる見通しで、予想をさらに下回る結果になれば、投資家にとっては不安要素になりそうだ。AIサービスをめぐっては世界の有力AI開発企業の間での価格競争が始まっているとみられており、投資家の脳裏にはアルファベットが続けてきた巨額の設備投資の回収に想定以上の時間がかかる可能性もちらついている。アルファベットの株価は6月下旬までの急落後、足元でも最高値から1割以上安い水準で取引されており、22日の決算発表は不振の株価にさらなる追い討ちがかかるきっかけになる展開も考えられそうだ。

アルファベットの2026年4-6月期決算は成長が減速する見通し

アルファベットはアメリカ東部時間22日午後4時30分(日本時間23日午前5時30分)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、アルファベットの4-6月期に関する事前予想は、総収入が前年同期比21.3%増の1169億ドル、1株当たり利益(EPS)が25.1%増の2.89ドルになると見込まれている。予想通りになれば、総収入の伸び率は前四半期(1-3月期)の21.8%増からわずかに減速。1株当たり利益の伸び率は前四半期(81.9%増)から大きく低下する。アルファベットの前四半期の1株当たり利益は非公開企業への投資の評価益の増加で膨らんでいた。アルファベットは2020年以降の四半期決算のうち、総収入が市場予想を超えられなかったのは3回。1株当たり利益では4回、市場予想を下回った。

アルファベットの業績の推移のグラフ

アルファベットの株価は最高値から10%超安 割高感に和らぎ

アルファベットの株価(GOOGL)の14日の終値は359.51ドルで、前回の決算発表があった4月29日との比較で2.73%高。5月13日につけた最高値(402.62ドル)との比較では10.71%安にあたる。株式市場でAIブームの継続性への疑念が強まっていた6月26日に最高値から16.20%安の水準まで値下がりした後も株価回復の力強さを欠いている。

アルファベットの株価と予想株価収益率の推移のグラフ

ブルームバーグによると、アルファベットの直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は14日段階で25.3倍。前回決算発表当日の26.6倍から割高感が和らいだ。前回決算発表からの約3カ月間で予想1株当たり利益が8.36%増えているにも関わらず、株価は2.73%高に留まっている結果だ。アナリストが提示する目標株価の平均は433ドルで、足元の水準よりも21%ほど高い。74人のアナリストのうち66人が買い、8人が維持を勧めている。

クラウド事業の成長加速継続見通し 利益率は低下か?

アルファベットの22日の決算発表ではクラウド事業の動向が注目される。アルファベットのクラウド事業はAIの普及が追い風となる中で業容を拡大。1-3月期のクラウド事業の総収入は前年同期比63.4%増の200.28億ドル。4四半期連続で伸び率が加速する勢いをみせている。クラウド事業の収入規模はアルファベットの大黒柱である広告事業の4分の1程度にまで増えてきており、新たな収益源としての存在感が増してきた。ブルームバーグによると、4-6月期のクラウド事業の収入は64.2%増の223億ドルと予想されており、5四半期連続での成長加速が期待されている形だ。

アルファベットの広告事業とクラウド事業の収入の推移のグラフ

一方、アルファベットのクラウド事業をめぐっては利益面での懸念が出ている。ブルームバーグによると、クラウド事業の4-6月期の営業利益率は30.5%と見込まれ、前四半期(32.9%)から低下する見通し。予想通りの結果となれば、2023年7-9月期以来、11四半期ぶりに営業利益率が前四半期から悪化することになる。実際に発表される営業利益率が予想を下回れば、投資家の間ではアルファベットのクラウド事業の収益性落ちたとみなされる可能性もありそうだ。アナト・アシュケナージCFOは前回の決算会見で、3月にクラウド事業の「Wiz(ウィズ)」を買収した影響で、2026年中のクラウド事業の営業利益率には「1桁台前半のパーセンテージポイント」の下押し圧力がかかるとしている。

アルファベットのクラウド事業の収入と営業利益、営業利益率の推移のグラフ

設備投資費の上積み継続 見通しを上方修正なら株価下落か

クラウド事業の営業利益率が注目されるのは、大手ハイテク各社が展開するAIサービスで、中国のAI開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」などとの価格競争が始まっているとみられているからだ。米国の大手ハイテク各社はAIサービスの供給能力を拡充するため巨額の設備投資を重ねてきただけに、価格競争の結果として利益が下押しされることになれば、投資資金の回収にかかる時間が長くなることは避けられない。アルファベットのクラウド事業が生み出した営業利益は2023年1-3月期の黒字化以降、2026年1-3月期までの3年3カ月で283億ドル。これに対してアルファベットは2023年から2025年の3年間で1762億ドルの設備投資を行い、2026年も1800億-1900億ドルの資金を投じるとしている

アルファベットの設備投資額の推移のグラフ

このため22日の決算発表ではクラウド事業の営業利益率とあわせて、アルファベットの設備投資額の見通しも焦点となりそうだ。アルファベットは前回の決算発表で2027年の設備投資額について「大きく増加する」としており、こうした見通しがさらに上方修正されるなどすれば、アルファベットの株価にかかる下落圧力は大きくなりそうだ。逆にアルファベットが設備投資の増加にブレーキをかける考えを示せば、投資家にとっては安心材料となる。アルファベットはAI向けの半導体開発から独自のAIモデル、クラウド事業の展開までを手掛けるAI事業の総合力が評価されてきただけに、22日の決算発表が株価上昇につながる可能性もある。

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