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米国株、AIブーム不安拡大 S&P500に重荷 インテルは半月で26%急落

S&P500は0.38%高。物価上昇減速が追い風となっている。一方、半導体株は7月以降の急落が止まらず、AIブームの継続性への疑念が続いている。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アメリカの株式市場が追い風の中でも重荷に苦しんでいる。S&P500種株価指数の15日の終値は前日比0.38%高で、最高値が目前に迫る水準。大手ハイテク株の値動きも約1か月ぶりの高い上昇率を示した。前日に発表された米国の6月消費者物価指数(CPI)で物価上昇の落ち着きが感じられ、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ見通しが後退したことが好感されている。ただ、株式市場では人工知能(AI)ブームの継続性への疑念は根強く、15日の取引でも半導体株の不振が続いていた。なかでもインテルは7月の前半だけで株価が26%安となっており、半導体株の急落がS&P500の足を引っ張っている状態だ。またイラン情勢をめぐっては、ドナルド・トランプ大統領がイランへの攻撃を激化させる可能性も報じられており、原油価格の上昇は止まっていない。原油高が物価上昇圧力への懸念を再燃させる可能性は、S&P500の今後の見通しにとって大きな不安要素だといえる。

S&P500は2日続伸の0.38%高 マグニフィセント・セブン好調

S&P500(SPX)の15日の終値は7572.40。前日比0.38%高は2日続伸で、6月2日の最高値(7609.78)から0.49%安まで上昇した。S&P500は10日にも最高値から0.5%安圏内に迫った後、トランプ氏がイランに対する海上封鎖再開を宣言した13日に値下がりしていたが、改めて楽観ムードが出てきた。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

15日の取引では「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価が好調。アップル(AAPL)が前日比4.01%高となったほか、アルファベット(GOOGL)が3.17%高、メタ・プラットフォームズ(META)が3.07%高となるなど、7社中の6社が値上がりしている。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は2.50%高となり、イラン和平の覚書合意が好材料となった6月15日(2.73%高)以来の大きな伸び率となった。

マグニフィセント・セブン指数の推移のグラフ

6月CPIに落ち着き FRBの7月利上げ見通しは大きく後退

S&P500への追い風となっているのは米国の物価上昇の落ち着きだ。14日に発表された6月CPIは総合指数の伸び率が前年同月比3.5%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の3.8%を大きく下回った。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率も2.6%となり、市場予想(2.8%)を下回っている。6月中旬以降の原油価格の下落の影響が市場の想定以上に大きかったといえる。

米国の消費者物価指数の伸び率の推移のグラフ

物価上昇の落ち着きを受けて、金融市場ではFRBの早期利上げ見通しが後退。ブルームバーグによると、15日の金融市場で見込まれている28、29日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.654%で、CPI発表前日の13日段階と比べて0.079%ポイント低下した。7月利上げ確率は10%となり、やはり13日段階の43%から大きく低下している。FRBのケビン・ウォーシュ議長は14日の下院金融サービス委員会での議会証言で物価安定回復への決意を示したものの、金融市場では6月CPIの結果が安心材料となって、FRBの利上げがS&P500への逆風になるとの見方は強まらなかった。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

インテルは7月前半に26%急落 ASML好決算でも半導体株安継続

ただ、S&P500にとってはAIブームの継続性への不安が引き続き重荷となっている。15日の取引では半導体の名門企業インテルの株価(INTC)が前日比4.43%安。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が3.46%安になった。米国に上場する半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.08%安となっている。

半導体株の不振は米国の著名投資家が6月30日付のニュースレターで、株式市場でのAIブームの「終わりの始まり」に言及したことがきっかけのひとつだ。インテルの株価の15日の終値は6月30日比で26.24%安。同様に半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も19.86%安となっており、半導体株の急落がS&P500の足を引っ張る形となっている。またS&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)も15日終値は30日比で21.87%安の急落で、投資家から厳しい視線を向けられている。

エヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

半導体株の15日の下落が、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)の好決算発表にも関わらず進んだことも、投資家の不安の大きさを感じさせる。ASMLは15日の2026年4-6月期決算発表に際して、2026年通期の総収入の予想を430億-450億ユーロ(中間値440億ユーロ)とし、4月段階での360億-400億ユーロ(中間値380億ユーロ)から15.7%引き上げた。しかしユーロネクスト・アムステルダムでのASMLの株価は15日終値で前日比0.41%安となっている。半導体企業では半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が16日に4-6月決算を発表する予定で、投資家心理を揺らす可能性もある。

米国はイランへの地上軍派遣も想定? 原油高はS&P500の不安要素

またS&P500にとってはイラン情勢の不安定さも悪材料だ。米中央軍は15日もイランへの攻撃を行っており、SNSのXへの投稿で「ホルムズ海峡の安全な航行を脅かすために用いられているイランの軍事能力を標的としている」とした。米紙ウォールストリート・ジャーナルは15日、「トランプ氏はイランでの軍事作戦拡大に傾いている」と報じ、ペルシャ湾内に位置するイランの石油輸出拠点であるカーグ島を地上軍で占拠することも選択肢に含まれているとした。一方、トランプ氏は14日、自身のSNSのトゥルースソーシャルへの投稿で、13日に示したホルムズ海峡を通過する船舶から積荷の20%相当の料金を取る計画を撤回しているが、石油貿易をめぐる不安は収まっていない。

こうした中、15日の金融市場では原油価格の上昇が継続。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(8月渡し、WTI原油)の15日の終値は1バレル=79.60ドルで、3営業日続伸の間に合計11.47%高となっている。原油価格の上昇が米国の物価上昇圧力として改めて意識されれば、FRBの利上げの確度を高めることでS&P500への下落圧力が増す展開も考えられそうだ。

WTIの価格の推移のグラフ

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