S&P500は3週ぶりの高値。大手ハイテク株が堅調さを示した。一方、韓国サムスン電子の7日の株価急落はAIブームの行方の不透明さも感じさせる。
アメリカの株式市場が人工知能(AI)ブームをめぐる思惑に揺れている。S&P500種株価指数の6日の終値は3連休前比0.72%高で、3週間ぶりの高値。大手ハイテク株の復調が続いているほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げへの警戒が弱まっていることが好材料になっているようだ。また6日の取引では前週に急落した半導体株が下げ止まっており、投資家心理は落ち着きを見せている。ただ、AIブームの見通しをめぐっては、引き続き、不安がくすぶっているもよう。高性能メモリ半導体を手掛ける韓国サムスン電子の株価は、7日朝に発表された4-6月期の業績に対して下落で反応しており、投資家の高い期待に応えることの難しさを感じさせた。同じ韓国のメモリ半導体大手であるSKハイニックスは10日に米国で株式を上場すると見込まれており、上場後の株価が冴えない値動きとなれば、AIブームの見通しに立ち込める暗雲が増すことになりそうだ。
S&P500(SPX)の6日の終値は7537.43。3連休前(2日)の前日比0.00%高に続く値上がりで、米国とイランが和平覚書で合意したことが好材料となっていた6月15日(7554.29)以来、3週間ぶりの高値となった。ブルームバーグによると、6月2日の最高値(7609.78)からは0.95%安の水準で、改めて最高値更新が視野に入ってきたといえる。
S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社は6日の取引でも上昇傾向を維持。テスラ(TSLA)が3連休前比6.69%高、メタ・プラットフォームズ(META)が2.98%高になるなど、7社中の6社が値上がりした。大手ハイテク株は6月以降の値下がりで割安感が出ていた。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は6日終値が3連休前比1.17%高となっており、6営業日続伸を記録している。
S&P500の6日の取引にとっては、長期金利(10年物国債利回り)の上昇にブレーキがかかったことも好材料だったといえる。ニューヨーク債券市場での長期金利の終値は3連休前よりも0.015%ポイント低い4.470%となり、5営業日ぶりに下落した。金融市場では2日発表の6月雇用統計に過熱感がみられなかったことで、FRBが29、30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの見方は後退している。ブルームバーグによると、6日の金融市場で見込まれている7月FOMC後の政策金利の水準は3.692%。利上げ確率は25%で、利上げ見送りが有力視されている形だ。
簡単!3分で口座開設申込
最短1営業日で取引開始
また6日の米国市場での取引では前週に急落した半導体株が下げ止まった。ブルームバーグによると、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)は3連休前比6.61%高で、3営業日ぶり反発。クアルコム(QCOM)は5.80%高で、6営業日ぶりの反発となった。米国に上場する主要な半導体関連株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6日に2.17%高となり、前週までの2週間で記録した11.96%安からの復調を感じさせた。こうした中、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は6日まで3営業日連続での低下で、15.57まで下がっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値の低下は、今後の値動きが荒くなることへの警戒の弱まりを示す。
一方、世界の株式市場を見渡せば、S&P500の値上がりの原動力となってきたAIブームの見通しをめぐる不安は根強い。サムスンは7日朝、好決算を発表したにも関わらず、株価は急落に見舞われている。ブルームバーグによると、サムスンの2026年4-6月期決算の速報値は、総収入が171兆ウォンとなり、市場予想の169兆2000億ウォンを上回る結果。営業利益も89兆4000億ウォンとなり、市場予想(84兆2000億ウォン)を超えている。それでも7日の韓国取引所でのサムスンの株価は日本時間の午前の取引で、前週末比約9%安で推移しており、投資家の納得は得られなかったもようだ。
こうしたAIブームをめぐる投資家の期待の揺れ動きは、サムスンと同業のSKハイニックスの米国上場でも試される。SKハイニックスは6日、米証券取引委員会(SEC)に提出した資料の中で、1億7790万株の米国預託証券(ADR)を発行する計画を公表。3日の韓国取引所での普通株式の株価を基準とすれば、ADR1株あたり158ドル程度の価格が想定され、資金調達の規模は280億ドルになる可能性がある。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、10日の取引開始が見込まれているという。新たな株式による資金調達は既存の株式の価値を低くする株価下落要因だが、調達した資金で事業成長と利益の創出が実現できるとみなされれば、株価を引き上げる要因となる。
サムスンとSKハイニックスはAI開発やサービス展開で重要な役割を果たす広帯域メモリ(HBM)の生産を手掛け、同業の米マイクロン・テクノロジー(MU)とともに株価が急騰。韓国取引所での6日の終値の2025年末比での上昇率は、サムスンが約2.7倍、SKハイニックスが3.6倍となっている。ただ、サムスンの7日の取引で決算発表への悲観的な反応が出る中、10日の米国市場での取引でSKハイニックスの株価が期待外れの値動きになって、AIブームの継続性への疑念の強さが示される可能性もあり、S&P500に下落圧力がかかる展開も考えられそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。