日経平均株価は週次249円安。日米の注目企業の好決算は底打ち期待を生んでいるが、円高急進という日経平均への悪材料も急浮上している。
日経平均株価の底打ちへの期待は脆さをはらんでいそうだ。日経平均の7月31日の終値は1週間前比では249.13円安の6万4000円台前半。人工知能(AI)ブームへの期待が揺れ動いた末、30日までの6万1000円台から反発に転じた。米国の株式市場でマイクロソフトの決算発表が好感されたほか、日本の半導体各社の決算発表でも業績見通しの上方修正が相次いだことが、値がさ半導体株の反発につながっている。ただ、AIブームをめぐる見通しの悪さは解消されておらず、日経平均が改めて7万2000円台の最高値へと動き出すシナリオの実現は容易ではない。また、31日の取引時間終了後に決算を発表したメモリ半導体のキオクシアホールディングスの業績見通しが市場予想に届かなかったことも不安要素といえる。さらにドル円相場では日本政府による為替介入をきっかけとして円高が1ドル=157円台まで進んでおり、週明け8月3日の日経平均株価が急落するリスクもありそうだ。
日経平均株価(N225)の31日の終値は前日比では2494.59円高の6万4362.02円。週次での値下がり(249.13円安)は、半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の決算発表が悪材料視された13-17日週(4416.61円安)以来、2週ぶりだ。米国株式市場でのNVIDIA(エヌビディア、NVDA)など半導体株の急落や、韓国のメモリ半導体大手SKハイニックスの株価急落が背景となって、29日終値で6万1434.19円まで値下がりした後、31日の急騰で下げ幅を縮めた。
31日の値上がりの要因には29日のマイクロソフト(MSFT)の2026年4-6月期決算発表が好感されたことがある。4-6月期の業績が市場予想を超える好決算だったことに加え、2026年通期の設備投資の見通しが会計基準変更の結果として下がることに言及したことが株価上昇につながった。マイクロソフトの株価は30日に前日比15.51%高となり、31日の日経平均をめぐる投資家心理を上向かせた。
また注目企業の好決算は日本の株式市場でも続いている。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)が29日に発表した4-6月期決算は、総収入と営業利益がともにブルームバーグがまとめた市場予想を超える内容。2027年3月通期の業績見通しについては、総収入を前期比51.9%増の1兆7140億円、営業利益を69.5%増の8460億円とし、4月段階での予想の総収入1兆4200億円、営業利益6275億円から大幅に引き上げた。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も30日の決算発表に際して、2026年9月中間期の総収入が1兆6200億円、営業利益が4580億円になるとの見通しを発表。4月段階での総収入1兆5700億円、営業利益4310億円との見通しを上方修正した。東京エレクトロンは10月以降も「需要拡大の勢いが一段と加速する」としており、AIブームの継続性をめぐる懸念を打ち消している。
両社の決算発表を経て、金融市場では企業業績への期待も強まり続けている。ブルームバーグによると、日経平均構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は31日段階で2832円程度で、1週間前から1.83%増となった。この水準は2025年末比では26.47%増にあたり、同じ期間での日経平均の上昇率(27.86%高)に負けないほどの業績期待の強さがあるといえそうだ。
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こうした中、東京株式市場では半導体株が30日と31日の連日で急騰を演じた。アドバンテストは両日ともに前日比10%超の値上がりとなり、2日間の合計では28.97%高。東京エレクトロンも31日までの2日続伸で合計11.00%高となっている。また、ChatGPTで知られるオープンAIに出資するソフトバンクグループ(9984)は31日だけで13.80%高となった。3社はいずれも日経平均への影響度が大きい値がさ株で、日経平均の6万4000円台回復の原動力になったといえそうだ。
ただ、米国の大手ハイテク企業の決算発表には、フリーキャッシュフローの悪化といったマイナス材料も目立ち、AIブームへの期待が再燃するかどうかには不透明感がある。日経平均の31日終値は依然として、6月25日の最高値(7万2366.34円)からは11.06%安の水準にあり、以前の勢いを取り戻すことの難易度は高そうだ。個別株の値動きをみると、東京エレクトロンは31日までの週次では11.43%安に留まり、日経平均を720円押し下げ。ソフトバンクグループも30日までの5営業日続落が響き、週次4.36%安だった。これに対してアドバンテストは週次12.28%高となって日経平均に858円もの押し上げ効果をもたらしたが、他の半導体株の多くが週次での下落に沈む中では、孤軍奮闘の感もある。
また、31日の半導体株の上昇はぬか喜びに終わる恐れもある。キオクシアが31日の取引時間終了後に行った2026年4-6月期決算発表は、総収入が前年同期比5.2倍の1兆7671億円、営業利益が29倍の1兆3262億円になる驚異的な好業績だったが、ブルームバーグがまとめた市場予想は下回っている。7-9月期の業績見通しも市場予想には届いておらず、投資家からの高い期待には応えられなかったといえそうだ。キオクシアの株価は31日終値では前日比17.72%高となっていたが、週明け3日の取引では急落に見舞われる恐れも出てきた。キオクシアの株価はイラン和平への期待が高まった4月初めから6月22日の最高値までの間に5.7倍にも値上がりして注目を集めただけに、投資家心理の悪化は他のAI株にも悪影響を及ぼす懸念がある。
さらにドル円相場(USD/JPY)では円高が急進するという日経平均にとっての悪材料が急浮上している。ブルームバーグによると、ドル円相場の31日のニューヨーク市場での終値は1ドル=157.40円で、29日終値からの2日間で6.01円もの円高が進んだ。ドル円相場をめぐっては日本政府が日本時間30日に為替介入を行ったと報じられているほか、31日にはドナルド・トランプ政権による為替介入も行われたようだ。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、関係者の話として、米財務省の意向を受けたニューヨーク連銀が31日、ユーロ売り・円買い介入を行ったと報じている。164円目前まで進んだこのところの歴史的な円安水準をめぐっては、米財務省が23日公表の外国為替報告書で「大幅な過小評価」と分析していたほか、スコット・ベッセント財務長官も30日に「著しく過小評価されている」と述べていた。
日経平均は日本政府による為替介入が引き金を引いた2024年7月上旬から8月上旬までの円高局面では、4万2000円台から3万1000円台までの急落に見舞われた。日米両政府の協調による為替介入という異例の展開が、週明け3日以降のドル円相場での円高進行につながれば、日経平均が急落するリスクがありそうだ。
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