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アドバンテスト、急落株価の回復困難? 29日決算 AIブーム継続に疑念

アドバンテストの4-6月期決算発表は通期見通しの上方修正に期待。ただ、AIブーム継続への疑念は株価の上値を重くしそうだ。

アドバンテスト、急落株価の回復困難? 29日決算 AIブーム継続に疑念 Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

半導体検査装置のアドバンテストが29日に行う2026年4-6月期決算発表は強気な業績見通しが示されるかが焦点となる。半導体市場では人工知能(AI)関連の需要の強さが確認されており、アドバンテストの業績に追い風が吹いていることは確実。2027年3月通期の業績見通しが上方修正されることも期待できる状況だ。アドバンテストは3カ月前の1-3月期決算発表時、慎重な業績見通しを示して株価急落のきっかけを作っただけに、上方修正が実現すれば、株価上昇の再燃もありえる。ただ、このところの株式市場は半導体企業の強気な見通しを当然視する傾向があり、AIブームの継続性への疑念は強い。このためアドバンテストの株価は、AIブームの継続性への確度が高まるまでは、上値が重い展開になることも考えられそうだ。

アドバンテストの2026年4-6月期決算は総収入が成長減速の見通し

アドバンテストは29日午後3時30分に4-6月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総収入は前年同期比28.9%増の3400億円になる見通し。営業利益は31.3%増の1626億円になるとみられている。予想通りであれば、総収入の伸び率は前四半期(1-3月期)の41.2%増から成長が減速し、営業利益の伸び率も前四半期(2.4倍)よりは小さくなる。アドバンテストは直近24回の四半期決算のうち3回で総収入が市場予想を下回り、9回で営業利益が市場予想を超えられなかった。

アドバンテストの総収入と営業利益の推移のグラフ

アドバンテストの株価は最高値から14%安 割高感には和らぎ

アドバンテストの株価(6857)の23日の終値は3万0800円で、前回決算発表があった4月27日との比較で2.22%安となっている。米国がイランに対する軍事攻撃を再開すると伝わった6月11日に2万5175円まで下落した後、米国とイランの和平覚書での合意を受けて、6月25日には3万5900円の最高値をつけていたが、その後は再び下落に転じる不安定な値動きだ。23日終値は最高値から14.21%安にあたる。

アドバンテストの株価と予想株価収益率の推移のグラフ

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は23日終値段階で41.8倍程度。前回決算発表時の43.9倍から割高感が和らいでいる。アナリストが提示する目標株価の平均は3万6555円で、足元の株価よりも19%ほど高い。25人のアナリストのうち20人は買い、5人は維持を勧めている。

AIブームは業績に追い風 通期業績予想の上方修正も

アドバンテストの29日の4-6月期決算発表で、業績見通しに注目が集まるのは、AIブームを背景とした半導体需要の強さがはっきりとしているからだ。半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC)は16日の4-6月期決算会見で、「複数年にわたるAIメガトレンドに関する確信は極めて高い」とし、2026年通期の設備投資の見通しを従来見通しから大きく引き上げ。またメモリ半導体を手掛ける韓国のサムスン電子も7日に市場予想を超える4-6月期の業績(速報値)を発表している。また米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)も5月に5-7月期の総収入が前年同期比95%増になるとの見通しを示していた。アドバンテストの有価証券報告書によると、エヌビディアはアドバンテストの2026年3月期の総収入の20%を占める主要顧客。TSMC向けの売り上げも総収入の11%を占めている。またサムスン電子は2025年3月期の実績で、アドバンテストの総収入の11%を占めていた。

こうした主要顧客の好業績はアドバンテストの業績見通しへの期待も膨らませている。ブルームバーグの市場予想では、2027年3月期の総収入は1兆5128億円、営業利益は7017億円が見込まれており、アドバンテストが3カ月前に示した業績予想の総収入1兆4200億円、営業利益6275億円の水準を超えている。アドバンテスト自身の業績予想は、投資家から慎重すぎるとみなされて、発表翌日からの3営業日続落での合計11.70%安という急落を招いただけに、今回、業績予想の上方修正が実現すれば、株価復活のきっかけになることも考えられる。ブルームバーグによると、アドバンテストの今後12か月の予想1株当たり利益は23日段階で737.64円で、前回決算発表から2.84%増となっている。

アドバンテストの株価と予想1株当たり利益の推移のグラフ

AIブームの持続性に懸念 株価上昇復活には材料不足か

ただ、このところの株式市場では半導体各社の強気な業績見通しを当然視する向きも強い。7月に入ってからのサムスンの決算速報値やTSMCの決算発表はいずれも、米国や日本の株式市場での半導体株急落につながっている。AI関連需要の強さがはっきりとする中でも、オープンAIやアンソロピックといったAI開発企業や、アルファベット(GOOGL)などの大手ハイテク企業がAIサービスで十分な利益を上げられなければ、中期的には半導体企業の業績見通しが裏切られる可能性も否定できないためだ。日本時間23日早朝に伝わったアルファベットの4-6月期決算発表は設備投資見通しの引き上げが悪材料視され、23日の米国株式市場では大手ハイテク株が急落。24日午前9時台の東京株式市場では半導体株が急落しており、アドバンテストの株価も6%超の値下がりとなっている。

実際、アドバンテストは1年前の2025年7月29日に行った2025年4-6月期決算発表で通期の業績見通しを上方修正したが、市場の期待には届かず、翌30日の株価は前日比1.06%安という冴えない値動きだった。アドバンテストの株価上昇が改めて勢いづいたのは、9月以降のオープンAIによる巨額設備投資の発表や、10月の高市早苗政権の誕生を経た結果だ。このため、アドバンテストが29日に業績見通しを上方修正した場合でも、AI開発企業や大手ハイテク企業からAIブームの継続性への確度を高める動きがでるまでは、アドバンテストの株価が低調な値動きになる可能性もある。

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