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キオクシア、急落株価に追い討ちか 31日決算 業績見通しもハードル

キオクシアの4-6月期決算は総収入が5.3倍になる見込みながら、株価は最高値から6割安まで急落中。決算発表が混乱に拍車をかける可能性がある。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

メモリ半導体のキオクシアホールディングスが31日に行う2026年4-6月期決算発表は、爆発的な成長が予想される中でも急落してきた株価に追い討ちがかかる可能性がある。キオクシアの4-6月期決算は総収入が前年同期比5.3倍、営業利益が30倍になる見通し。人工知能(AI)ブームの追い風に乗って、桁外れの好業績となると期待されている。一方、キオクシアの株価は6月下旬の最高値以降、10%超の下落が8回も起きる荒い値動き。それでもキオクシアの株価の24日の終値は2025年末比で約4.3倍という高水準にあり、依然として下落余地が残っているとみることもできそうだ。こうした中、31日の決算発表で公表が見込まれる7-9月期の業績見通しが期待外れに終わった場合などには、投資家心理が冷え込むことで、キオクシアの株価が大きく値下がりする展開も考えられそうだ。

キオクシアの2026年4-6月期決算は総収入が5.3倍になる見通し

キオクシアは31日午後3時30分に4-6月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、キオクシアの4-6月期の総収入は前年同期比5.3倍の1兆8356億円になる見通し。営業利益は30倍の1兆3701億円になると見込まれている。キオクシアが5月15日に発表した4-6月期の業績見通しは、総収入が5.1倍の1兆7500億円、営業利益が29倍の1兆3000億円だった。金融市場では会社自身が示した爆発的な好業績をさらに上回る結果が期待されている形だ。

キオクシアホールディングスの総収入と営業利益の推移のグラフ

キオクシアの株価は最高値から59.02%安 前回決算前の水準に

キオクシアの株価(285A)の28日の終値は前日比18.33%安の4万4550円。前日の米国株式市場での半導体株急落が投資家心理を冷やし、ストップ安となった。28日終値は前回決算発表当日との比較で0.22%高となると同時に6月22日の最高値(10万8700円)からは59.02%安の水準だ。前回決算から最高値までの間に6万4250円の上昇を記録した後、28日終値までに、この上げ幅のほぼすべてを失った形だ。

キオクシアホールディングスの株価と予想株価収益率の推移のグラフ

ブルームバーグによると、キオクシアの直近の株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率は28日段階で3.8倍程度。前回決算発表当日の7.1倍から割安感が出ている。株価が0.22%高まで後退したものの、予想1株当たり利益の水準は同じ期間で86%増となっているためだ。アナリストが提示する目標株価の平均は12万1959円で、足元の株価の2.7倍。7月以降は20万円の水準を掲げる声も出ている。19人のアナリストのうち18人は買い、1人は売りを推奨している。

AIブーム本格化でフラッシュメモリ需要急増 スマホ向け価格急騰

キオクシアに桁外れの好業績が期待されている背景にはAIブームの本格化がある。AI開発ではこれまで一時的なデータ保存に用いられるDRAMを垂直に何層にも積み重ねた高帯域幅メモリ(HBM)の重要性が注目され、米国のマイクロン・テクノロジー(MU)と、韓国のサムスン電子、SKハイニックスが三強と位置付けられてきた。しかしこのところは複雑な業務を大量にこなすAIの本格的な普及が始まっており、過去のデータを大量に長期保存することや、データを少ない電力で高速処理することを得意とする最先端のフラッシュメモリの必要性も注目されている。キオクシアは世界で初めてNAND型フラッシュメモリを開発した東芝の半導体事業が前身で豊富な開発実績を誇る。

キオクシアの1-3月期の収入を製品別にみると、AIデータセンターやパソコンなどのデータ保存に用いられる「SSD・ストレージ」の売上高は6003億円で前年同期比2.8倍。またスマートフォンなどの端末向けの「スマートデバイス」の売上高は4.2倍の3373億円だった。スマホ向けのメモリ半導体は品薄状態が続いている結果、価格が急騰しており、キオクシアの業績の追い風となった。キオクシアの2026年3月期の有価証券報告書によると、キオクシアの総収入の20.4%にあたる4760億円は、iPhone(アイフォン)17シリーズの販売が好調なアップル(AAPL)向けだった。

キオクシアホールディングスの製品別売上高の推移のグラフ

キオクシアの株価は10%超の急落が頻発 設備投資額なども焦点に

一方、こうした好業績見通しの中でもキオクシアの株価は荒波にもまれている。6月22日に最高値をつけて以降、1日の下落率が10%を超える値下がりは8回も発生。逆に10%超の値上がりは2回に留まっている。7月に入ってからは28日の急落のほか、半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が4-6月期の決算発表に際して2026年通期の設備投資見通しを引き上げた16日に前日比15.03%安と急落。翌17日も16.10%安となった。ただ、これだけの急落を重ねた後でも、キオクシアの株価の28日終値は2025年末比で4.3倍という高水準にある。

 

キオクシアの株価の10%超の値動きの回数

こうした中、31日のキオクシアの4-6月期決算発表では、7-9月期の業績見通しが焦点となりそうだ。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総収入は前年同期比5.5倍の2兆4564億円、営業利益は22倍の1兆9079億円という高い水準が見込まれており、キオクシアが示す市場予想が期待外れに終わり、荒れ模様の株価が改めて急落する恐れもある。またキオクシアは5月の決算説明会で2027年3月期の設備投資額の見通しについて4500億円としており、31日に大幅な上方修正が示されるなどした場合には、悪材料とみなされる可能性もありそうだ。

さらにキオクシアの株価は決算発表前にも大きく揺れる可能性がある。日本時間30日未明に発表される米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は投資家心理を悪化させる可能性があるほか、30日早朝のメタ・プラットフォームズ(META)やマイクロソフト(MSFT)の決算発表は人工知能(AI)ブームの継続性への疑念を強める恐れがあり、キオクシアの株価には試練が続きそうだ。

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