コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

ドル円、為替介入後も円高継続か 一時157円台 日銀利上げペース加速も

ドル円相場は為替介入で157円台まで円高が進行。日銀の植田総裁が31日に利上げペース加速に言及したことも円高要因といえる。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

ドル円相場で円高が急進した。ドル円相場は日本時間7月31日夜の段階で1ドル=159円台で推移。前日夕方までの163円台後半から一時は157円台後半まで円高に振れる場面もあった。日本政府が為替介入を行ったほか、アメリカのドナルド・トランプ政権からも協力姿勢が示されたもようで、日米両政府が円安修正で足並みをそろえたといえる。また日本銀行の植田和男総裁は31日の金融政策決定会合後の記者会見で、今後は利上げのペースが速くなる可能性に言及。米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長が利上げ姿勢を強めていないことともあいまって、ドル円相場での円高圧力が強まっている。一方、高市早苗首相は30日、2027年4月から飲食料品に対する消費税率を引き下げる意向を表明しており、日本の財政の健全性をめぐる懸念が強まれば、円安圧力が再燃する可能性も拭えない。また米国では週明け8月3日以降、経済や雇用をめぐる重要経済指標が相次いで発表される予定で、経済の過熱感が出た場合には、改めて円安が進行する展開も考えられそうだ。

ドル円相場は一時157.98円 日本政府の為替介入で一気に円高進行

ドル円相場(USD/JPY)は日本時間31日午後7時8分段階で1ドル=159.93円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は30日午後6時台までは163円台後半で取引されていたが、午後7時以降に急激に円高が進み、午後11時20分には157.98円をつけた。その後、31日午前12時台には160.88円まで円安方向に戻したものの、円安の流れは頭打ちになっている。ドル円相場は23日には163.99円をつけ、1986年11月以来の歴史的な円安水準となっていた

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

30日の円高急進は日本政府による為替介入が原因だとみられている。日本経済新聞によると、政府による円買い介入が行われたほか、米通貨当局が主要銀行に為替レートの提示を求める「レートチェック」を行ったという。ブルームバーグによると、スコット・ベッセント財務長官は30日、FOXビジネスでのインタビューで円相場について、「著しく過小評価されている」と述べた。レートチェックは為替介入の準備段階とされ、米財務省は1月にもニューヨーク連銀を通じてレートチェックを行ったことが分かっている

日銀の植田総裁は利上げペースの加速に言及 10月利上げ確率は88%

また日銀も31日までの決定会合後の情報発信で円安への警戒を強調した。日銀は決定会合では金融政策を維持しつつも、「経済・物価上昇の展望(展望リポート)」では、物価上昇圧力を強める要因として、イラン戦争後の原油高、人工知能(AI)ブームを背景とした半導体価格の上昇とあわせて、円安が輸入物価を押し上げる効果を例示した。植田氏は記者会見で、基調的な物価上昇率が2%に近づいていることに繰り返し言及し、物価上昇が「上振れするリスクを意識する必要がある」と発言。6月に政策金利を1%に引き上げた後も、企業の資金需要や金融機関の貸し出し態度は悪化していないことにも触れ、今後は「利上げのペースを速めることも十分にありえる」とした。日銀は6月の決定会合に際しては利上げペースへの言及を避けており、足元の経済情勢の変化を受けてスタンスを変化させたといえる。

こうした中、金融市場では日銀が10月にも利上げに踏み切るとの見方が強まっている。ブルームバーグによると、31日午後7時8分段階の金融市場で見込まれている10月決定会合後の政策金利の水準は1.199%で、現状の政策金利よりも0.199%ポイント高い。利上げ確率は88%と見込まれており、29日段階での78%よりも高くなった。実際に10月に利上げすれば、6月から4カ月間隔となり、従来の少なくとも半年の間隔をあけるペースから利上げが加速することになる。

日銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

FRBの利上げへの期待は後退 円高圧力が強まる要因に

ドル円相場で円高が進んだ背景にはFRBの利上げへの期待が後退したこともある。FRBは29日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を維持。投票権を持つ12人のうち3人が利上げを主張した一方で、ウォーシュ氏は記者会見で利上げの方向性には言及せず、金融市場ではFRBは利上げを急いでいないとの見方が強まった。ブルームバーグによると、政策金利の影響を受けやすい2年物国債利回りは日本時間31日午後7時8分段階で4.252%となり、23日段階でつけていた4.374%をピークとした低下傾向が出ている。2年物国債利回り同士を比較した日米の金利差も縮小が続いており、30日の日本政府による為替介入はドル円相場での円高圧力を好機とみた動きといえそうだ。

日米の2年物国債利回りの差とドル円相場の推移のグラフ

高市氏の飲食料品消費減税の意向は円安要因 米国経済の強さで円安も

一方、ドル円相場では高市氏の経済政策が円安要因とみなされる状況に変わりはない。高市氏は30日に記者会見を開き、飲食料品の消費税率を2027年4月から1%に引き下げる意向を表明。同時に、「所得に連動したきめ細かな給付」の実現に向けた準備を進め、2029年4月からの導入に合わせて、飲食料品の消費税率を8%に戻していくとした。明確な財源を示さない中での減税は日本の財政状況への懸念を強める円安材料で、今後、為替介入による円高効果が一服すれば、改めて円安圧力が強まる可能性がある。円の対ドル相場では積極財政を掲げる高市政権発足の起点となった2025年10月4日の自民党総裁選挙以降、足元までに7.3%の円安が進行。豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)の6.5%の豪ドル高、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)の0.2%のポンド安、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)の2.0%のユーロ安と比べれば、「高市円安」の側面があることは否めない。

円、豪ドル、ポンド、ユーロの対ドル相場の推移のグラフ

また米国では週明け3日以降、経済や雇用をめぐる重要経済指標が数多く発表される。3日には米サプライマネジメント協会(ISM)による7月の製造業景況感指数(PMI)の発表が予定されるほか、7日の7月雇用統計発表に向けては雇用関連の重要指標が政府と民間の双方から相次いで公表される。これらの経済指標で米国経済や労働市場の強さが示されれば、物価上昇圧力の強さが意識され、FRBが利上げを迫られるとの見方が円安圧力として働くことも考えられる。イラン情勢の悪化により原油価格が上昇した場合にも同様の円安圧力の高まりが想定され、ドル円相場で円安が進行する筋書きも依然として残っていそうだ。

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。