S&P500は週次3.58%高で最高値更新。AIブーム継続への期待が維持された。7月雇用統計も好感されたが、今後は7月CPIへの警戒も出そうだ。
アメリカの株式市場で人工知能(AI)ブーム継続への期待が続いている。S&P500種株価指数の7日の終値は1週間前比3.58%高。約4か月ぶりの高い上昇率で最高値更新を果たした。株式市場でのAIブームを象徴する銘柄である半導体大手NVIDIA(エヌビデイア)が週次11%超高となるなど、大手ハイテク各社の株価が好調。半導体株も勢いを取り戻してきた。また、7日に発表された7月雇用統計が労働市場の弱さを示す結果だったことも、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見通しを後退させる株式市場にとっての好材料と受け止められている。ただ、FRBの金融政策の見通しは、12日に発表される7月の消費者物価指数(CPI)の結果次第で大きく変化する可能性がある。S&P500の週明けの取引では、楽観ムードが強まっている米国の株式市場に冷や水がかかる展開も考えられそうだ。
S&P500(SPX)の7日の終値は前日比では0.62%高の7757.64。週次での値上がりは2週連続で、上昇率(3.58%高)は、イランがホルムズ海峡の開放を一時的に宣言したことが好材料となった4月13-17日週(4.54%高)以来、約4か月ぶりの大きさだった。S&P500は週初めの3日と4日、イランとオーマンによるホルムズ海峡をめぐる協議が前進していると伝わったことを要因として、2日間の合計で3.30%高を記録し、週次での大幅高につながった。
S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中では、エヌビディア(NVDA)が週次11.56%高となって、ドナルド・トランプ政権による半導体輸出規制の見直しが好感された2025年5月12-16日週(16.07%高)以来、約1年2カ月ぶりの高い伸び率となった。このほか、マイクロソフト(MSFT)も週次7.59%高となって、前週(7月27-31日)の週次21.75%高に続く値上がり。メタ・プラットフォームズ(META)も週次6.36%高、テスラ(TSLA)も週次5.58%高となって、それぞれ4週ぶりに反発した。アップル(AAPL)とアマゾン・コム(AMZN)も週次1%台の値上がりだ。
このうちエヌビディアはマイクロソフトの2026年4-6月期決算発表の翌日にあたる7月30日から8月5日までの5営業日連続で前日比2%台半ばから3%台半ばの値上がりをみせた。マイクロソフトは決算会見で2026年の設備投資額の見通しが会見基準変更の結果として低くなると言及。4-6月期の実績では、事業活動で受け取った資金から設備投資のために支払った資金を差し引いたフリーキャッシュフローがプラス196億ドルとなって、前四半期(1-3月期)よりも黒字額が拡大していることもあり、AIブームの継続性をめぐる投資家の不安を和らげた可能性がありそうだ。
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大手ハイテク株の好調と足並みをそろえる形で、7日までの週次の取引ではエヌビディア以外の半導体株も大きく上昇した。半導体の名門企業であるインテル(INTC)は週次12.69%高で7週ぶりの反発。ブロードコム(AVGO)は3週続伸の週次9.88%高だった。また低中価格帯スマートフォン市場の不振が重荷となってきたクアルコム(QCOM)も週次13.72%高となって4週ぶり反発。S&P500構成銘柄ではないものの、やはり業績がスマートフォン市況の影響を受けやすい英国半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)の株価も4週ぶり反発の週次17.89%高となっている。この結果、米国に上場する半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は週次9.24%高となり、2週ぶりに反発した。
また、投資家の注目が集まった7日発表の7月雇用統計もS&P500への追い風とみなされた。7月雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比2.3万人減となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の8.0万人増よりも大幅に悪い結果。5月分と6月分の就業者数も合計で10.3万人分下方修正され、米国の労働市場の弱さを示す内容だった。一方、失業率は4.1%となり、前月(6月)の4.2%から改善。平均時給の伸び率は前年同月比3.2%で、前月(3.4%)から低下した。株式市場ではこうした7月雇用統計の結果は、労働市場の過熱感が賃金上昇を加速させることで物価上昇率を高め、FRBが利上げを迫られるという悪いシナリオを打ち消す内容として受け止められたようだ。
実際に7日の金融市場ではFRBの利上げ見通しが後退した。ブルームバーグによると、7日の金融市場で見込まれている9月15、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.741%で、前日から0.031%ポイント低下。9月利上げの確率は44%となり、前日の57%よりも低くなった。
ただ、FRBのケビン・ウォーシュ議長は6月17日のFOMC後の記者会見で、雇用統計などの経済指標には発表後に大幅に修正されるなどの問題があることに言及しており、7月雇用統計の結果を冷静に受け止めていそうだ。またウォーシュ氏は金融政策の方向性に関する情報発信は最低限に抑えるべきとの立場で、S&P500をめぐる投資家心理は12日発表の7月CPIでも揺れ動くとみられる。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数(VIX)は7日終値で14.92まで下がり、やはり雇用統計の弱さが好感された1月9日(14.49)以来、7か月ぶりの低水準にあるものの、週明け10日以降の取引では、7月CPIへの警戒がS&P500の上昇にブレーキをかける可能性がある。
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