米国株、ホルムズ海峡開放で急騰 S&P500最高値 和平見通しに不安
S&P500は週次4.54%高。米国とのイランの和平合意への期待が高まった。今後の協議には不透明感もあるが、AIブームへの期待という追い風もある。
アメリカの株式市場が明るさに包まれた。S&P500種株価指数の17日の終値は3日連続で最高値を更新。1週間前比では4.54%高となり、2025年5月中旬以来の高い伸び率となった。イランが17日の取引開始前に石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡の期限付き開放を発表したことが歓迎されたためだ。17日には原油価格が大きく下落し、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価はそろって上昇した。一方、米国とイランの和平の実現には不透明感もあり、週明け20日の取引では慎重ムードがでる可能性もある。また、S&P500はここまでの急騰で割安感が薄れてきたことも今後の値上がりを不確かにしている。ただ、人工知能(AI)ブームに沸いている大手ハイテク株にはまだ値上がりの余地があるともいえ、今後、S&P500の上昇がさらに勢いづく展開も考えられそうだ。
アメリカのS&P500は週次4.54%高 3日連続で最高値を更新
S&P500(SPX)の17日の終値は前日比では1.20%高の7126.06。5営業日続伸で、15日以来、3日連続での最高値更新となった。ブルームバーグによると、週次での上昇は3週連続で、上昇率(4.54%高)は米国と中国の間での関税の大幅な引き下げが発表された2025年5月12-16日週(5.27%高)以来の大きさとなった。S&P500は3月31日以降の13営業日中、12日で値上がり。この間、12.33%高となっており、勢いが止まらない状態だ。
イランがレバノン停戦期間中のホルムズ海峡開放を宣言 原油価格が急落
S&P500上昇の要因はイラン和平の実現への期待だ。イランのアッバス・アラグチ外相は17日の取引時間前、SNSのXへの投稿で、親イラン組織ヒズボラが拠点とするレバノンとイスラエルの停戦期間中は、ホルムズ海峡が民間船舶に対して「完全に開放される」と宣言した。米メディアによると、トランプ氏が発表したイスラエルとレバノンの10日間の停戦は、米国東部時間16日午後5時から発効している。
ホルムズ海峡をめぐる緊張の緩和を受けて、17日の金融市場では原油価格が急落。米国を含む世界の経済活動への不安が後退し、S&P500にとっての追い風となった。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し、WTI原油)の17日の終値は前日比11.45%安の1バレル=83.85ドル。3月10日(83.45ドル)以来の安値となっている。
マグニフィセント・セブンの株価がそろって上昇 テスラは週次14.81%高
同時に17日の株式市場では、S&P500への影響度が大きいマグニフィセント・セブンの7社の株価がそろって上昇した。ブルームバーグによると、テスラ(TSLA)の17日の終値は前日比3.01%高、アップル(AAPL)は2.59%高、メタ・プラットフォームズ(META)は1.73%高だ。7社の株価は週次でみても全社が上昇。テスラは週次14.81%高で9週ぶりの反発。マイクロソフト(MSFT)も週次14.00%高となって、2週ぶりの反発となった。BITA社が7社の株価に基づいて算出する「マグニフィセント・セブン指数」(MAGSEVEN)は17日まで8営業日続伸しており、10月29日の最高値から1.69%安に迫っている。
米国とイランの和平協議の行方に不透明感 S&P500の割安感は低減
一方、米国とイランの和平の行方に依然として不透明感が残っていることは、S&P500にとっての不安材料だ。ドナルド・トランプ大統領は17日朝のアラグチ外相のホルムズ海峡開放宣言を受け、自身のSNSトゥルースソーシャルに歓迎のメッセージを投稿。しかしその後、米軍によるイランに対する海上封鎖は継続されるとも投稿しており、イランへの圧力をかけ続ける考えのようだ。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は17日、トランプ政権高官の話として、米国とイランの和平協議は週明け20日にパキスタンで行われるとの見通しを報じている。
また、米インターネットメディアのアクシオスは17日、和平協議をめぐっては、米国が200億ドル相当のイランの資産の凍結を解除することと引き換えに、イランが貯蔵している濃縮済みイランを放棄する案が検討されていると報じた。トランプ氏はこの報道を受けてSNSに、いかなる形であっても資金の受け渡しは行われないと投稿しており、協議は曲折も予想される。アクシオスはホルムズ海峡の扱いについては、依然として大きな溝があると指摘している。このため週明け20日のS&P500の取引では慎重ムードが出ることも考えらえる。
さらにS&P500はこれまでの急騰で割安感が薄れてきたことも、上昇に一服感が出る可能性を示唆している。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は21.8倍程度で、株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の平均値(21.2倍)を超えた。
大手ハイテク株には上昇の余地か 決算発表への期待でS&P500の上昇も
ただ、S&P500の値動きのカギを握る大手ハイテク各社の株価は、2026年1-3月期決算発表で上昇が勢いづく可能性がある。22日にはテスラの決算発表が行われるほか、29日にはアルファベット(GOOGL)、アマゾン・コム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトの4社、30日にはアップル(AAPL)が決算を発表する予定だ。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)は16日の決算発表でAI関連の半導体需要の旺盛さを改めて強調しており、大手ハイテク各社の決算会見でも強気な見通しが示される可能性がある。
ブルームバーグのデータでマグニフィセント・セブンの7社の17日段階での予想株価収益率をみると、エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン、メタの4社では2023年以降の平均値を下回っている。決算発表に際しては、設備投資負担の重さなどが懸念材料になる可能性はあるものの、株価上昇へのハードルが下がっているとみることもでき、各社の値上がりがS&P500をさらに勢いづかせる筋書きも考えられそうだ。
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