米国株、強気姿勢鮮明に S&P500最高値 早期利下げ見通しは後退
S&P500は週次1.57%高。雇用統計を好感して上昇に弾みがついた。FRBの早期利下げ見通しは後退しているが、投資家の楽観姿勢は強い。
アメリカの株式市場で強気姿勢が鮮明になっている。S&P500種株価指数の9日の終値は1週間前比1.57%高。2026年に入って2度目の最高値更新を果たした。9日の金融市場では投資家心理も改善しており、楽観ムードが強い。9日に発表された2025年12月の雇用統計が前日までの民間経済指標とは異なり、労働市場の弱さを感じさせる結果だったことが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ継続を裏付ける好材料とみなされた。一方、12月雇用統計では失業率が低下しており、金融市場では、FRBが年内の早いタイミングで利下げに踏み切るとの見通しは大きく後退。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価も勢いを欠いている。週明け12日以降には、12月の消費者物価指数(CPI)などの重要経済指標の発表が控えており、投資家心理が改めて冷え込む可能性も残っている。ただ、ドナルド・トランプ大統領が月内にも発表するパウエル氏の後任人事は投資家に好感される可能性が高く、S&P500の失速を防ぐ安心材料ということもできる。
アメリカのS&P500は週次1.57%高 2026年で2度目の最高値更新
S&P500(SPX)の9日の終値は前日比では0.65%高の6966.28。12月19日(0.88%高)以来の大きな上昇率で、6日(6944.82)につけた最高値を更新した。週次での値上がり(1.57%高)は2週ぶりで、FRB幹部らの利下げに前向きな発言が株式市場の追い風になった11月24-28日週(3.73%高)以来の大きな上昇率だった。
9日の金融市場では投資家心理も改善した。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の終値は前日よりも6.21%低い14.49。3日ぶりの低下で、12月30日(14.33)以来の低さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
12月雇用統計は就業者数が伸び悩み 失業率は上昇で利下げ見通し後退
S&P500をめぐる強気姿勢は9日発表の12月雇用統計への反応でも感じられた。12月の非農業部門の就業者数は前月比5.0万人増で、ブルームバーグがまとめた市場予想の7.0万人増を下回る結果。10月と11月の就業者数も合計7.6万人下方修正され、米国の労働市場の弱まりを示した。8日までに発表された民間経済指標で労働市場の堅調さが示され、S&P500にとっての逆風といえるFRBの利下げ見通しの後退を招いてきたこととは対照的な内容といえ、株式市場では明るい材料としてとらえられたようだ。
一方、12月雇用統計では、失業率が4.4%となって市場予想の4.5%を下回っており、労働市場の堅調さも示された。株式市場の反応とは裏腹に、金融市場で見込まれる利下げ見通しは後退している。ブルームバーグによると、ジェローム・パウエル議長の任期中最後の連邦公開市場委員会(FOMC)となる4月会合後の政策金利の水準は3.519%となり、前日から0.035%ポイント上昇。4月までの利下げ確率は48%と見積もられており、前日の63%程度から低下が進んだ。12月雇用統計で示された平均時給の伸び率が前年同月比3.8%となり、市場予想(3.6%)を超えたことも、物価上昇圧力の強さがFRBの利下げを遠ざけるという、S&P500にとっての悪いシナリオを感じさせる。
マグニフィセント・セブンの株価は低調 アップルは6週連続で値下がり
また、人工知能(AI)ブームを追い風として2025年までのS&P500を牽引してきたマグニフィセント・セブンの株価も好調とは言い難い。AIブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価は9日終値で1週間前比2.11%安となり、2週連続での値下がり。エヌビディアに次ぐ時価総額の大きさを誇るアップル(AAPL)の株価は9日の終値で週次4.30%安となり、6週連続での値下がりとなった。アップルをめぐっては、半導体需要が高まる中でメモリ半導体の価格上昇が進んでいることが業績悪化の要因になるとの懸念も出ている。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)は9日終値で週次0.77%高となり、S&P500の週次上昇率(1.57%高)を下回っている。
12月CPIや11月小売売上高もS&P500に影響か パウエル氏の後任指名は安心材料
こうした中、週明け12日以降の金融市場では改めて重要経済指標が発表される。13日発表の12月CPIで物価上昇圧力の強さが感じられた場合には、FRBの利下げ見通しがさらに後退し、投資家心理を悪化させる可能性もありそうだ。また14日発表の11月の小売売上高で米国の消費の弱さが感じられれば、やはりS&P500にとっては逆風といえる。さらに1月下旬から始まる大手ハイテク企業の決算発表もAIブーム継続への信頼を損なう恐れがある。
ただ、12月雇用統計に対するS&P500の反応を踏まえれば、当面の間は投資家の強気姿勢が維持されるとの見方も成り立ちそうだ。FRBのパウエル議長が早期の利下げに慎重姿勢をとったとしても、ドナルド・トランプ大統領が指名するパウエル氏の後任が利下げに前向きな人物となることは確実。ブルームバーグによると、スコット・ベッセント財務長官は8日、パウエル氏の後任人事の決定時期について「1月中だと思う」と述べた。トランプ氏の出席が検討されているスイスでの世界経済フォーラムの開催時期(19-23日)の前後になる可能性があるといい、S&P500の今後の値動きにとっては利下げ見通しへの期待を強める安心材料ということもできる。
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