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米国株、ホルムズ海峡リスク後退か S&P500上昇 トランプ氏の決断は?

S&P500は1.48%高で最高値が目前。イランとオマーンによるホルムズ海峡をめぐる協議の前進が要因で、トランプ氏の和平に向けた決断が注目される。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アメリカの株式市場がイラン情勢の好転を歓迎した。S&P500種株価指数の3日の終値は前週末比1.48%高となり、最高値更新が目前に迫った。イランとオマーンの間でホルムズ海峡の航行正常化に向けた協議が前進しているとの期待から、原油価格が急落したことが要因だ。決算発表シーズンを終えた大手ハイテク株のほか、半導体株も上昇しており、楽観ムードの再燃が感じられる値動きだった。一方、イラン情勢をめぐっては、米国とイランの間の和平協議の前進は不確かなままで、原油価格の下落が今後も続くかどうかは見通せない。また、3日に発表された経済指標は米国経済の強さを示し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが株価を下押しする筋書きへの懸念は残っている。S&P500の今後の見通しをめぐっては、イラン情勢の影響を受ける度合いが大きくなりそうで、ドナルド・トランプ大統領の決断が注目される。

S&P500は3営業日続伸で最高値から0.12%安まで上昇

S&P500(SPX)の3日の終値は7600.50で、6月2日の最高値(7609.78)から0.12%安の水準まで上昇した。ブルームバーグによると、前週末比での上昇(1.48%高)は、マイクロソフト(MSFT)の2026年4-6月期決算発表が好感された7月30日(1.66%高)を起点として3営業日続伸となる。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

イランとオマーンのホルムズ海峡協議が前進 原油価格が急落

S&P500を上昇させたのはホルムズ海峡の航行正常化への期待だ。イランメディアによると、イランのアッバス・アラグチ外相は2日、ホルムズ海峡を挟んだ隣国のオマーンとの協議が最終段階にあると表明。外務省報道官は3日の記者会見で、両国はホルムズ海峡通過にあたって用いられてきたイラン沿岸ルートと、オマーン沿岸ルートをつなぎあわせることで、双方の国益と安全保障上の懸念に配慮する案を集中的に協議している述べた。

石油の重要通商ルートが改めて開放されるとの期待は原油価格の急落につながった。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(9月渡し、WTI原油)の3日の終値は前日比5.11%安の1バレル=80.34ドルとなり、トランプ氏がイラン攻撃の停止を命じたとの報道が材料視された7月27日(7.50%安)以来、1週間ぶりの大きな下落率となった。ホルムズ海峡をめぐっては、6月中旬の和平合意覚書の発効で30日間の開放が決まった後、7月上旬にイランが民間船舶を攻撃したことをきっかけに、通過する船舶の数が急減していた。

WTIの価格の推移のグラフ

マグニフィセント・セブンのうちの6社が上昇 半導体株も

こうした中、3日の取引では、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社のうち、6社が前週末比2.9%を超える上昇。メタ・プラットフォームズ(META)は2営業日続伸の6.02%高となり、決算発表翌日の7月30日までの11営業日続落から回復の兆しをみせた。マイクロソフトは29日の決算発表翌日から3日営業日続伸となる4.93%高となっている。また7月22日の決算発表で設備投資見通しの引き上げが嫌気されたアルファベットGOOGL)も、24日以降は株価が上昇基調にあり、8月3日は2営業日続伸の4.88%高となっている。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

また、3日の取引では半導体株も上昇し、S&P500の値上がりを後押しした。マグニフィセント・セブンの一角でもあるNVIDIA(エヌビディア、NVDA)は3営業日続伸の前週末比2.93%高。低中価格帯のスマートフォン市場の不振が悪材料となってきたクアルコム(QCOM)も5営曜日ぶり反発の2.68%高となった。米国上場の半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3営業日続伸の1.05%高となっている。

エヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

米国とイランの和平協議は見通し不良 トランプ氏の決断が焦点に

一方、イラン情勢をめぐっては、米国とイランの和平協議の見通しには不透明感が残っている。イラン国営通信によると、イランとオマーンによるホルムズ海峡をめぐる協議は、米国が反対してきたイランによる通行料徴収の有無については棚上げにされているもよう。今後、両国の協議が合意に至ったとしても、米国が内容を承認しなければ、イランが求める米国によるイランに対する海上封鎖の解除も実現せず、ホルムズ海峡封鎖解除への機運が盛り上がらない可能性もある。この場合は、S&P500の値上がりの勢いは短命に終わりそうだ。

また3日に米国で発表された経済指標は、FRBが物価上昇抑制のために利上げに向かうとの見通しを裏付ける、S&P500にとっての悪材料ともいえる内容だった。米サプライマネジメント協会(ISM)が3日に発表した7月の製造業景況感指数(PMI)は55.6で、2022年5月(55.9)以来、4年2カ月ぶりの高水準。ブルームバーグがまとめた市場予想の53.9を大きく超えた。企業の間からは、人工知能(AI)関連の半導体需要の強さが指摘されており、メモリ半導体不足を背景とした物価上昇圧力の継続を感じさせる。

ISMの製造業景況感指数の推移のグラフ

S&P500の今後の見通しをめぐっては、イラン情勢をめぐるトランプ氏の決断が注目される。ブルームバーグによると、トランプ氏は3日、記者団に対してイラン情勢について、「斬首する前に最後の機会をすべて与えたい」と発言。結果については「きょうか明日には分かる」とした。トランプ氏がイランとの和平に前向きなを決断すれば、原油価格の下落が進むとともに、米国経済の強さがFRBの利上げにつながるとの見方が和らぎ、S&P500が最高値を更新する可能性もありそうだ。

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