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米国株、雇用悪化で急落リスク拡大 S&P500頭打ち エヌビディア転落

S&P500は週次0.33%高の小幅な反発。8月雇用統計は労働市場の悪化を示したうえ、エヌビディアは4週続落の不振で、週明け以降の物価統計への不安は強い。

米国株、雇用悪化で急落リスク拡大 S&P500頭打ち エヌビディア転落 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場で急落リスクが拡大した。S&P500種株価指数の5日の終値は1週間前比で0.33%高という小幅な反発。5日に発表された8月の雇用統計で労働市場の予想以上の悪化が示され、上昇の勢いが削がれた。また株式市場での人工知能(AI)ブームを牽引してきた半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は4週続落しており、息切れ感が強まっている。一方、労働市場の悪化は米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待を高めており、現状ではS&P500の大崩れは回避されている。ただ、週明け8日以降に発表される8月の物価関連統計で物価上昇の根強さがみられれば、FRBの継続的な利下げの確度が高まらない可能性もある。S&P500のこれまでの上昇はAIブームへの期待とFRBの利下げ見通しが推進力になってきただけに、投資家の不安が急激に強まるおそれもありそうだ。

アメリカのS&P500は週次0.33%高の小幅反発 最高値から後退

S&P500(SPX)の5日の終値は前日比では0.32%安の6481.50。3営業日ぶりの反落で、前日につけた最高値(6502.08)から後退した。8月18-22日週以来2週ぶりとなる週次での上昇(0.33%高)は確保したものの反発は小幅で、6500を大きく超える値動きには至っていない。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

8月雇用統計は市場予想を下回る結果 6月の就業者は前月比マイナスに下方修正

S&P500の勢いを削いだのは朝方に発表された8月雇用統計が労働市場の悪化を示したことだ。非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、ブルームバーグがまとめた市場予想の7.5万人増を下回る結果。同時に6月と7月の就業者数は合計で2.1万人分下方修正された。なかでも6月の就業者数は前月比1.3万人減とされ、新型コロナウイルス禍に見舞われていた2020年12月(18.3万人減)以来の雇用喪失となった。また失業率は4.3%で前月の4.2%から悪化。平均時給の伸び率は前年同月比3.7%で、前月(3.9%)から低下した。失業率と平均時給の伸び率はいずれも市場予想通りだった。

アメリカの雇用統計の推移のグラフ

エヌビディアは4週続落の週次4.11%安 ブロードコムは12.61%高で明暗

またS&P500の伸び悩みは大手ハイテク株の息切れの影響も受けていそうだ。半導体大手エヌビディアの株価(NVDA)は5日までの週次で4.11%安となり、4週連続での値下がり。AIサービスの拡大を進めるマイクロソフト(MSFT)も週次2.31%安という不振で、5週続落となっている。両社は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7社の中で2025年の株価上昇が際立っていたが、ともに8月に最高値をつけてからは失速感が目立っている。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・コム、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

エヌビディア以外の半導体大手ではブロードコム(AVGO)が5日までの週次で12.61%高となり気を吐いた。4日の取引時間終了後に行った2025年5-7月期決算発表でAI関連半導体について強気な見通しを示したことに加え、対話型AIサービス「ChatGPT」で知られるオープンAIがブロードコムと共同でAI向け半導体を開発すると英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたことが好材料となった。FTはオープンAIが半導体の供給源に関するエヌビディアへの依存を弱めようとしているとしており、S&P500の足を引っ張ったエヌビディアの株価下落の要因になっている。

エヌビディア、ブロードコム、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

FRBの利下げ見通しは拡大 年内3回が有力視

一方、S&P500の見通しを暗くした労働市場の悪化は、FRBの利下げという追い風への期待も強めている。ブルームバーグによると、5日時点の金融市場で見込まれている9月16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は4.062%で、0.25%幅の利下げが確実視される状況。また、12月のFOMC後の政策金利は3.639%と予想されており、足元の政策金利(4.25-4.50%、中間値4.375%)から0.736%ポイント低い水準となっている。9月FOMCに加え、10月と12月のFOMCでも0.25%幅の利下げが行われるとの見方が有力視されている形で、8月雇用統計を受けたS&P500の下落を押しとどめる要因になった。

金融市場で見込まれるFRBの政策金利の水準の推移のグラフ

11日発表の8月CPIに注目 物価上昇に根強さなら急落の懸念

ただ、こうした利下げへの期待は物価上昇をめぐる思惑で揺らぐおそれがある。米労働省は11日に8月の消費者物価指数(CPI)を発表する予定。前日の10日に発表される8月の卸売物価指数(PPI)の結果とあわせて、8月の物価上昇に根強さが感じられれば、株式市場でFRBの利下げペースが高まらないシナリオが意識されそうだ。米国の物価動向をめぐっては、8月中旬に発表された7月のCPIとPPIで市場予想を超える強さがみられ、S&P500の上昇継続への期待を弱める一因となっている。

アメリカのCPIとPPIの伸び率の推移のグラフ

FRBの金融政策のかじ取りを担うジェローム・パウエル議長は8月22日のワイオミング州ジャクソン・ホールでの講演で9月の利下げの可能性を示唆する一方、短期的には高関税が物価上昇を再燃させるリスクをもたらしていることにも言及し、「難しい状況だ」と述べている。こうした中、ドナルド・トランプ大統領は5日の8月雇用統計発表後、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で「遅すぎ男のジェローム・パウエルはもっと以前に金利を下げておくべきだった」と苛立ちを強めた。

S&P500が1か月前の7月雇用統計で労働市場の悪化が確認された後も最高値圏で推移しているのは、AIブームを背景とした企業業績の成長とFRBの利下げへの期待が続いてきたためだ。しかし足元の金融市場ではエヌビディアなどの株価上昇に息切れ感が出ているとともに、物価上昇がFRBの利下げを難しくするという懸念がくすぶっている。S&P500を支える2つの推進力がガタつく中、歴史的にみて株価が不振に見舞われやすい9月の急落リスクが高まっている。


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