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米国株、週明けも波乱か S&P500急落 雇用悪化にトランプ氏憤慨

S&P500は1日の雇用統計発表を受けて急落。トランプ大統領はFRBのパウエル議長らへの批判を強めており、週明けの波乱も予感させている。

米国株、週明けも波乱か S&P500急落 雇用悪化にトランプ氏憤慨 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場が1年ぶりの雇用統計ショックに見舞われた。S&P500種株価指数の1日の終値は前日比1.60%安。週次でも2.36%安となり、いずれも5月下旬以来の大きな下落率となった。1日の7月雇用統計発表に際し、5月と6月の実績が大きく下方修正されたことが要因だ。米国の株式市場では2024年7月の雇用統計発表時も株価が急落しており、1年ぶりの激震となった。一方、足元の金融市場をめぐる環境は1年前との違いも多く、前回のS&P500急落の背景となった円キャリートレードの巻き戻しは起こりにくい状態だといえる。しかしドナルド・トランプ大統領の経済政策が米国経済の見通しを悪くしていることは間違いなく、労働市場が今後も悪化していくことへの懸念は強い。また、トランプ氏による米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長らへの批判も激しさを増しており、週明け4日以降の金融市場でも荒れた展開が続くおそれがある。

アメリカのS&P500は週次で2.36%安 約2か月半ぶりの下落率

S&P500(SPX)の1日の終値は6238.01。ブルームバーグによると、前日比での1.60%安は、米国の財務の健全性への不安が長期金利(10年物国債利回り)の上昇を招いた5月21日(1.61%安)以来の大きさだった。また週次での2.36%安も、5月19-23日週(2.61%安)以来の大きさとなっている。1日の終値は7月28日につけた最高値(6389.77)との比較では1.73%安の水準だ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

7月雇用統計は市場予想を下回る悪さ 5月と6月の実績も大幅下方修正

S&P500の1日の急落の要因は労働市場悪化への不安だ。朝方に発表された7月雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比7.3万人増となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の10.4万人増を下回る結果。さらに5月と6月の就業者数は合計25.8万人も下方修正された。失業率は市場予想通りの4.2%、平均時給の伸び率は市場予想を上回る前年同月比3.9%という堅調な結果だったとはいえ、就業者数の想定外の大幅悪化が株式市場を大きく揺らした。

アメリカの雇用統計の推移のグラフ

アマゾンは週次で8.27%安 好決算のメタやマイクロソフトは上昇

米国経済への不安はS&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の値動きにも影響。1日の終値では、アマゾン・コム(AMZN)が前日比8.27%安となるなど、マグニフィセント・セブンと呼ばれる7社がそろって下落した。アマゾンは前日の取引時間終了後に発表した2025年4-6月期決算で、人工知能(AI)サービスの提供基盤となるクラウド事業の伸び率が投資家の失望を買っており、他の6社の下落率よりも際立って大きかった。1日までの週次では、アマゾン、アップル(AAPL)、テスラ(TSLA)、アルファベット(GOOGL)の4社が下落。30日に好決算を発表したメタ・プラットフォームズ(META)とマイクロソフト(MSFT)、8月27日に5-7月期決算を発表する半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)が値上がりしている。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アマゾン・コム、アルファベット、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

雇用統計後のS&P500の急落は1年前にも 円キャリーの巻き戻しは再現されず?

雇用統計発表を受けたS&P500の急落は1年前にも起きた。2024年8月2日に発表された7月雇用統計は非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を下回ったほか、失業率も4.3%まで上昇。S&P500は前日比1.84%安となったうえ、週明け5日には前週末比3.00%安となり、値下がりが加速した。このため足元の米国株式市場でも、週明けの4日までS&P500への下落圧力が続く可能性がありそうだ。

一方、足元のS&P500をめぐっては1年前との違いもある。1年前のS&P500の急落の背景には円安基調を背景として積み上がった円キャリートレードが一気に逆回転したことがあったが、足元の金融市場では円キャリートレードの積み上がり自体がみられない。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、非商業部門(投機筋)は7月29日時点で円を8万9243万枚買い越しており、円が買われている状況。円の売り越しが3年5か月にわたって続いていた1年前とは様相が異なる。

非商業部門(投機筋)の円買い越し幅とドル円レートの推移のグラフ

また1年前の雇用統計ショックに際しては、2日前の7月31日に日本銀行が利上げを決め、植田和男総裁が追加利上げも辞さない姿勢を示していたことが円高材料になっていたという事情もあった。当時のドル円相場(USD/JPY)では日銀の利上げ発表前日から雇用統計発表を挟んだ8月5日にかけて、1ドル=155円台から141円台までの急激な円高が進んでいる。一方、今回の局面では日銀は7月31日に政策金利の維持を決定。植田総裁は足元のドル円相場の水準について、物価上昇圧力として働く度合いが想定以上に大きくなっているわけではないとの見方を示し、ドル円相場に円安材料を提供している。

トランプ氏の高関税は企業業績を下押しか FRBは労働市場悪化に懸念

しかし米国経済をめぐる不確実性が1年前より高まっていることは明らかだ。トランプ氏の高関税政策の負担が米国企業の利益を削ることになれば、人員採用が手控えられて労働市場のさらなる悪化につながる可能性がある。FRBのパウエル議長は政策金利の維持を決めた30日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、労働市場について「労働力の需要と供給の両方が同じペースで落ちている」との見方に言及。「労働市場に関する下振れリスクをはっきりと見ることができる」と述べている。

こうした中、金融市場ではFRBの利下げ見通しが強まった。ブルームバーグによると、1日段階の金融市場では、9月FOMC後の政策金利の水準は4.102%と見積もられており、現状の政策金利(4.25-4.50%、中間値4.375%)から0.25%以上の利下げが予想されている形だ。

金融市場で見込まれるFRBの政策金利の推移のグラフ

追い込まれ型利下げはS&P500下押しも トランプ氏のパウエル氏批判も波乱要因に

FRBの利下げによる金利水準の低下は、株式投資の相対的な魅力を高めることでS&P500を上昇させる要因となりえる。とはいえ、仮に米国の実体経済の悪化が進む中でFRBが後手に回る形で利下げに追い込まれる展開となれば、企業業績の悪化への懸念がS&P500への下落圧力を強めることも考えられる。

またトランプ氏は1日、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、雇用統計のデータをとりまとめる労働統計局長の解雇を指示したと明かすとともに、パウエル氏については「ジェローム・遅すぎ・パウエルは『放牧に出される』べきだ」として引退を促している。こうしたトランプ氏の言動が経済指標や金融政策への介入と受け止められれば、米国経済への信頼が損なわれてS&P500を含む米国株やドル、米国債が売られる「米国売り」につながる可能性も否定できず、金融市場の大混乱につながるおそれもありそうだ。


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