米国株、エヌビディア一強 3年弱で株価12倍 S&P500の高値に脆さ
エヌビディアの株価は2年8か月で12倍。AIブームへの期待はS&P500全体を押し上げているが、一極集中はS&P500を急落させるリスクもはらんでいる。

アメリカの株式市場で半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の存在感がいっそう増している。エヌビディアは人工知能(AI)開発やサービス展開に不可欠な最先端高性能半導体の供給元で、株価は直近の2年8か月で12倍にも上昇。大手ハイテク株の中でも「一強」といえる勢いだ。27日に行った2025年5-7月期決算発表では、大手ハイテク企業の旺盛なAI関連投資を背景にした高成長の継続に自信を示しており、S&P500種株価指数の割高感を和らげる効果を生んでいる。ただ、最高値付近で推移するS&P500の好調さは大手ハイテク株頼みの側面が強い。ひとたびショックが起きれば、投資家心理が大きく冷え込み、S&P500が急落に見舞われるリスクが潜んでいそうだ。

エヌビディアは成長機会に自信 大手ハイテク4社は2025年の設備投資額を上積み
エヌビディアが27日の決算発表にあわせて示した8-10月期の業績見通しは、ドナルド・トランプ政権による中国向け半導体輸出規制が重荷となり、総収入の見通しが投資家の高い期待に沿う内容にとどまった。とはいえ、ジェンスン・ファンCEOはAIが世界の経済活動を大きく変化させる中で、大手ハイテク各社が積極的なAI投資を続けていることを強調し、エヌビディアの成長機会の大きさをアピールしている。
実際、AIサービスを展開するアルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)は7月下旬の4-6月期決算発表で、2025年通年の設備投資額の見通しを上方修正。アマゾン・コム(AMZN)も通年の設備投資額が2月段階の見込みよりも大きくなりそうだ。また、マイクロソフト(MSFT)は2025年1-6月期の設備投資額が前年同期比38.2%増。7-12月期も同様の増加率となれば、2025年の1年間での設備投資額は1000億ドルを超える計算となり、2024年の756億ドルから大きく伸びることになる。いずれもエヌビディアの成長性を裏付ける数字といえる。

エヌビディア決算後、S&P500の予想1株当たり利益が上昇 割高感が和らぐ
エヌビディアの業績に対する強気な見方はS&P500の割高感を和らげる方向に働いた。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は29日時点で282.69ドル。エヌビディアの決算発表前日の26日との比較では4.21%高となった。結果として、29日段階でのS&P500の水準と1株当たり利益の比率を示す株価収益率(PER)は22.9倍となり、26日段階の23.8倍から低くなっている。

こうした中、S&P500(SPX)の29日の終値は6460.26で、前日につけた最高値(6501.86)から0.64%安につけている。2024年末比での上昇率は9.84%高で、トランプ大統領が相互関税の一部を撤回する前日にあたる4月8日との比較では29.65%高と大きく回復した。

マグニフィセント・セブンの時価総額はS&P500の3分の1 投資家不安は上昇か?
ただ、S&P500は時価総額の大きな銘柄の影響を受けやすく、好調さの裏側には脆さも潜んでいそうだ。ブルームバーグによると、大手ハイテク7社の時価総額は29日時点で合計19兆ドルに達しており、S&P500全体の時価総額の3分の1を占めている。このため、大手ハイテク企業をめぐる悪いニュースが出た場合には、S&P500全体の足が引っ張られるおそれが拭えない。中国のAI開発企業のディープシークがエヌビディアの最先端半導体を使わずに高性能のAIモデルを低コストで開発したことが材料視された1月27日には、エヌビディアの株価が前週末比16.97%安と急落し、この日のS&P500が1.46%安となったこともある。
アメリカの株式市場がレイバーデーで休場だった1日には、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)が上昇した。ブルームバーグによると、VIXは米国東部時間1日の終値(午前11時30分段階)で前週末よりも4.95%高い16.12となり、8月21日以来の高さとなっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示すだけに、投資家不安が高まっていく予兆とみることもできそうだ。

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