エヌビディア、株価一時5％超下落　業績見通し嫌気　中国市場回復せず

エヌビディアの5-7月期決算は市場予想を超える結果　総収入は前期比で1桁成長

エヌビディアの5-7月期決算は総収入が前年同期比55.6％増の467.43億ドル。前期比での伸び率は6.1％増で、2022年11月-2023年1月期（2.0％増）以来、10四半期ぶりの1桁台の成長となった。調整ベースの1株当たり利益（EPS）は54.4％増の1.05ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が462.31億ドル、1株当たり利益が1.01ドル。発表された結果はいずれも市場予想を超える好決算だった。

8-10月期の業績見通しは冴えない結果　中国向け半導体の出荷再開見込まず

ただ、投資家の注目が集まっていた業績見通しは冴えない内容だった。エヌビディアは8-10月期の総収入が前年同期比53.9％増の540億ドルになると予想。金融市場で見込まれていた534億ドルをわずかに上回るにとどまった。エヌビディアは、業績見通しにはH20の売り上げを見込んでいないとしている。コレッタ・クレスCFOは27日の決算会見で、トランプ政権が8月に入って特定の中国の顧客に対して特定のH20製品の出荷を認めたとしつつ、「現段階までにこれらの認可に基づいた出荷や収入は発生していない」とした。

トランプ政権は4月、ジョー・バイデン政権時代に導入された中国向け輸出規制に抵触しないようにエヌビディアが性能を落として開発したH20について、輸出規制の対象になることを明確化。トランプ氏は8月にこの方針を転換して中国向け輸出を認めると同時に、エヌビディアがH20の収入の15％を政府に納めることでファン氏との「ディール（取引）」が成立したとしていた。

エヌビディアはトランプ氏とのディールに異論　訴訟リスクに言及

しかしエヌビディアは27日に米証券取引委員会(SEC)に提出した資料の中で、トランプ政権の要求について正式な規制として明文化されていないと指摘。「いかなる形であっても米国政府が収入の一定割合を要求することは、エヌビディアを訴訟に直面させ、コストを増やし、競争力を損なうことになりうる」とし、こうしたディールを求められていない競合企業を利することになるとした。

エヌビディアは5-7月期の中国市場での収入は前年同期比24.5％減の27.69億ドルだったとしつつ、8-10月期には20億-50億ドル相当のH20を出荷することが可能だと説明。クレス氏は決算会見で「政府間で収まりがついていないいくつかの地政学的な問題」が解決することを待っている状態だと述べた。

エヌビディアの株価は一時5％超下落　ファン氏は高成長の継続に自信

こうした発表内容を受けて、エヌビディアの株価（NVDA）は27日の時間外取引で下落。ブルームバーグによると、一時、171.86ドルをつけ、直前の終値（181.60ドル）から5％超の値下がりとなった。その後は約3％安の水準で推移している。

一方、ファン氏は決算会見で高成長への自信をみせた。ファン氏はAIサービスを展開する4つの大規模事業者の設備投資額は2年で2倍になったと強調。AIが経済活動にもたらず革命の進展は全速力の状態で、AIをめぐる競争は継続中だとした。ファン氏は「エヌビディアの前に広がる成長機会は途方もなく大きい」としている。中国市場をめぐる不透明感を抱えつつもハイペースでの成長が続くとの見方を示した形で、株価の今後の見通しにとってはプラスの材料といえそうだ。