日経平均に過熱リスク 週次2990円上昇 2カ月で株価2倍銘柄続出
日経平均株価は6万6000円台の最高値。AIブームの恩恵が広がっている。ただ、割高感は上限近くにあり、上昇ペースの減速も想定される。
日経平均株価の値上がりが加速している。日経平均の29日の終値は1週間前比2990.43円高で、6万6000円台の最高値。史上初の6万円台から1か月でさらに10%近い上昇を記録するというハイペースでの値上がりとなった。牽引役は半導体や関連部品を手掛ける企業の株価で、人工知能(AI)ブームの恩恵への期待が広がっているといえそうだ。日経平均構成銘柄の中では、イラン戦争の和平実現への期待が膨らみ始めた3月末からの2カ月で、株価が2倍以上になった銘柄も続出している。ただ、日経平均株価の割高さを示す指標は改めて上限水準に近づいており、値上がりに過熱感というリスク要因が伴っていることは否めない。約3年半にわたるAIブームの追い風を受けてきた銘柄の上昇には頭打ち感もあり、いつまでも勢いが続くとは言えなさそうだ。今後、アメリカとイランの和平協議が合意に至った場合は、原油高の高止まりという悪材料に注目が集まる展開も考えられ、日経平均の上昇ペースが減速する可能性もある。
日経平均株価は週次2990.43円高 6万6329.50円の最高値
日経平均株価(N225)の29日の終値は前日比では1636.38円高の6万6329.50円。週初めの25日に記録した6万5158.19円を超え、4営業日ぶりに最高値を更新した。ブルームバーグによると、日経平均は米国の株式市場での半導体株高が追い風となっていた4月27日に初の6万円台に到達した後、わずか1か月で9.57%の値上がりを記録し、6万6000円台に到達したことになる。週次での上昇(2990.43円高)は、米国の半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表が好感された前週(18-22日)の1929.78円高とあわせて2週連続だ。
4月以降の2カ月で株価2倍の銘柄が続出 太陽誘電は4.0倍に
こうした中、米国とイランの双方から戦争終結に向けた情報発信があった4月以降の日経平均構成銘柄の値動きをみると、8銘柄が2倍以上に上昇している。イビデン、ソフトバンクグループ、TDKの株価の29日の終値は3月31日との比較で、3.1-2.1倍にあたるほか、TDK同様にMLCCを手掛ける太陽誘電(6976)の株価が4.0倍、村田製作所の株価も2.8倍となっている。また同じ期間では、メモリ半導体大手のキオクシアホールディングス(285A)も3.5倍、半導体製造に不可欠なシリコンウェーハのSUMCO(3436)も2.4倍となった。さらに車載向け半導体が強みとされてきたルネサスエレクトロニクス(6723)もAI関連の半導体の取り組みを強化する中で、株価が2.1倍となった。
日経平均の割高感は上限水準 3年半が経過したAIブームの主役は息切れか
ただ、日経平均の急ピッチでの上昇は株価の割高感も急激に強めている。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される予想株価収益率(PER)は29日段階で24.9倍となった。29日までの週次では日経平均が4.72%高となっているのに対して、予想1株当たり利益は1.27%減となっており、割高感の高まりにつながった。新型コロナウイルス禍があった2020年以降の日経平均の予想PERを振り返ると、25倍を超える時期もあるものの長続きはしておらず、割高感は上限に達しているとみることもできそうだ。
また2022年11月のChatGPTの発表で火が付いたAIブームはすでに3年半が経過し、株価上昇を牽引してきた先頭ランナーの値動きには頭打ち感もある。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)の29日の終値は2022年末との比較では12.3倍にもなっているが、4月27日には14.9倍になっていたことを踏まえれば、値上がりにブレーキがかかっているとも言えそうだ。また米国株式市場でも、世界的なAIブームを象徴する銘柄であるエヌビディアの株価(NVDA)の29日終値は2022年末比で14.4倍となりつつも、5月20日の決算発表時に示した2026年5-7月期の業績見通しは投資家の高い期待に応えきれず、株価は下落基調にある。
イラン和平後は悪材料に関心か? 5か月で31%高の日経平均に冷や水も
日経平均の追い風となっている米国とイランの和平合意への期待も、合意が成立してしまえば、原油高の高止まり懸念という悪材料に注目が向かう恐れもある。ドナルド・トランプ大統領は29日、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、イラン戦争に関連して「最終決断」が近いことを示唆したが、その後、新たな情報発信は行われていない。
日経平均の29日の終値は2025年末比で31.76%高。AIブームが本格化した2023年以降の各年の年間上昇率をすでに超えており、週明け6月1日以降の値動きで冷や水がかかる可能性もありそうだ。
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