米国株、波乱リスク拡大 S&P500先物急落 米国のイラン攻撃激化か
S&P500の先物価格は1日夜の取引で急落。トランプ氏が国民向け演説でイラン攻撃の強化を示したためだ。原油価格も急騰しており、波乱リスクが拡大した。
アメリカの株式市場の楽観ムードが短命に終わった。S&P500種株価指数の1日の終値は前日比0.72%高。ドナルド・トランプ大統領がイランからの撤退に言及したことを好感した前日の大幅高の勢いが続いた。大手ハイテク株も買い戻されており、投資家の不安心理には改善の動きも感じられる。ただ、イランでの戦争の行方が依然として不透明であることに変わりはない。トランプ氏は1日夜の国民向け演説で、今後2-3週間にわたりイランに激しい攻撃を加えるとし、S&P500に関連した先物商品の価格は急落。原油先物市場では指標価格のWTI(5月渡し)が急騰で反応している。イランも周辺国への攻撃を継続しているもようで、ホルムズ海峡封鎖が株式市場に波乱をもたらすリスクは拡大した。S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国で3日に発表される3月雇用統計にも関心が集まる可能性があり、投資家の不安がさらに強まる恐れがある。
S&P500は2日続伸 最高値から5.78%安まで回復
S&P500(SPX)の1日の終値は6575.32で、3月25日以来、1週間ぶりの高値となった。S&P500は31日、トランプ氏が2-3週間以内にイランから撤退する考えを示したことを受けて、2.91%高となっており、1日も勢いが維持された形だ。ブルームバーグによると、1日の終値は1月27日の最高値(6978.60)からは5.78%安にあたる。
マグニフィセント・セブンに買い戻し VIX指数は連日の低下
1日の取引では、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7銘柄も買い戻された。アルファベット(GOOGL)の株価は前日比3.42%高で、2日続伸の間に合計8.73%高となった。メタ・プラットフォームズ(META)は1日までの3日続伸で合計10.18%高となっている。各社の株価はこれまでの急落で割安感が出ており、トランプ氏がイラン撤退を口にした3月31日には7社すべての株価が値上がりしていた。
こうした中、1日の金融市場では株価の見通しに関する過度な不安が後退した。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の終値は1日に24.54となり、27日段階での31.05をピークとした下落が進んでいる。イスラエルと米国による2月末のイラン攻撃開始後、23営業日連続で20の大台を超えている状況に変わりはないものの、楽観ムードを感じさせる動きだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
トランプ氏が国民向け演説でイラン攻撃強化の方針 S&P500先物が急落
ただ、イランでの戦争の行方は依然として不透明で、1日夜の金融市場では早くもS&P500をめぐる楽観ムードが崩れた。トランプ氏が午後9時からのホワイトハウスでの国民向け演説で、今後2-3週間はイランに対して激しい攻撃を加えると強調したからだ。この演説を受けてS&P500の先物商品は急落で反応。ブルームバーグによると、EミニS&P500先物(6月限)は一時6542.00をつけ、演説開始直前から1.34%安となった。トランプ氏はこれに先立つ午前8時台には、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、ホルムズ海峡封鎖が解除されるまでは「イランを吹き飛ばし、意識不明にさせる」と言及していた。
トランプ氏の演説は原油価格の急騰も招いている。ブルームバーグによると、WTI(5月渡し、WTI原油)はトランプ氏の演説後に一時、1バレル=104.50ドルまで上昇。演説開始直前の97.79ドルから6.86%高となった。原油価格の上昇は世界の経済活動の足かせとなるほか、ガソリン価格の上昇を通じて米国の消費者心理を悪化させる要因といえ、S&P500にとっての悪材料といえる。
イラン側は抗戦継続の構え ホルムズ海峡の封鎖解消の見通しは立たず
一方、トランプ氏の圧力に対してイラン側は抗戦姿勢を崩していない。イランメディアのプレスTVによると、イラン外務省の報道官は1日、トランプ氏がSNSへの投稿で「イランの新体制の大統領」が米国に停戦を申し入れたとしていることについて、「トランプ氏の主張は誤りで、根拠がない」と述べた。
また石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡の封鎖の解消のめども立たないままだ。イランのタスニム通信によると、イラン革命防衛隊は1日の声明文で、ホルムズ海峡はイラン海軍の強固で完全な管理下にあると表明。イラン海軍は1日の夜明けから、ミサイルやドローンによる5つの大規模軍事作戦を行い、アラブ首長国連邦(UAE)領に配備された米国の防空レーダーシステムを破壊したとしている。イラン革命防衛隊はこのほか、ペルシャ湾内でイスラエルと関連があるタンカーを攻撃したことなどにも言及した。ホルムズ海峡封鎖が長期化すればするほど、S&P500に波乱が起きるリスクが大きくなることは確実だ。
3月雇用統計も波乱要因か 景気後退リスクがS&P500の重荷になる恐れ
S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国の実体経済への不安が新たな悪材料になる可能性もある。なかでも3日午前8時30分(日本時間3日午後9時30分)に発表される3月雇用統計で労働市場の弱さがみられれば、原油高による物価上昇圧力の強まりと合わせて、米国の消費悪化や景気後退リスクが意識される展開も考えられる。
ブルームバーグがまとめた市場予想によると、3月雇用統計では非農業部門の就業者数が前月比6.5万人増となり、前月(2月)の9.2万人減から改善する見通し。失業率は前月と同じ4.4%、平均時給の伸び率は前月よりも0.1%ポイント低い3.7%になるとみられている。3日はグッド・フライデーにあたり米国の株式市場での取引は行われないが、米国経済の底堅さはS&P500が反発するための前提条件といえるだけに、雇用統計の結果は週明け6日以降の値動きに影響を与えそうだ。
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