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米国株、強気予想相次ぐ S&P500記録的上昇 4年連続15%高に期待

S&P500は9週続伸。1970年以降で2位タイの連騰記録となった。イラン和平と企業収益への期待は強く、株式市場の楽観ムードは強まっている。

米国株、強気予想相次ぐ S&P500記録的上昇 4年連続15%高に期待 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場で強気が勢いづいている。S&P500種株価指数の29日の終値は1週間前比で1.43%高。9週連続での上昇となり、1970年以降で2番目の連騰記録となった。イラン戦争終結と企業収益への期待が背景にあり、大手ハイテク株の値動きも堅調さを維持している。市場関係者の間からはS&P500が年末までに8000の大台に到達するとの予想も増え始め、年間上昇率が4年連続で15%を超えるとの期待が高まる。一方、仮にイラン戦争が終結に至ったとしても、原油価格の高止まりは続く可能性があり、米国経済への逆風の懸念は消えない。ただ、人工知能(AI)ブームの勢いは半導体株を爆発的に上昇させるなど、株式市場の楽観ムードは強く、S&P500の今後の見通しをめぐっては値上がり基調が維持される展開も期待できそうだ。

アメリカのS&P500は9週続伸の1.43%高 1970年以降で2位タイの連騰記録

S&P500(SPX)の29日の終値は前日比では0.22%高の7580.06。7営業日続伸で、4営業日連続での最高値更新となった。ブルームバーグによると、週次での上昇(1.43%高)は9週連続で、ドナルド・トランプ大統領が3月31日にイランからの撤退に言及した後の勢いが続いている。9週続伸は2023年10月末から12月末にかけて以来。1970年以降のデータでは、1985年9月末から12月中旬にかけての12週連続上昇に次ぐ2位タイ記録となる。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

トランプ氏の「最終決断」は間近か 企業収益への期待もS&P500の追い風

S&P500にとっては引き続き、イラン和平への期待の高まりが追い風になっている。トランプ氏は29日午前10時台に、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、「最終決断をするため」、ホワイトハウスの地下にあるシチュエーションルーム(作戦指令室)に入ると投稿。ホルムズ海峡は即時に開放されなければならないとしたうえで、イランが除去すべき機雷は、米国による掃海の結果、「多くは残されていない」とも指摘した。2025年6月の米国の空爆によって地下に埋没している濃縮ウランについては、米国がイランと国際原子力機関(IAEA)との連携のうえで掘り出し、「破壊される」とした。米インターネットメディアのアクシオスは28日、米国とイランが終戦に向けた60日間の停戦延長で暫定合意に達したと報じている

またS&P500の上昇の背景には、企業収益予想の上積みが続いていることもある。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)の水準は29日段階で352ドル程度で、イラン戦争開始前の2月27日との比較で11.26%増。この間のS&P500の上昇率(10.19%高)を超えている。S&P500と予想1株当たりの比率を示す予想株価収益率(PER)は21.5倍程度で、株式市場でAIブームが本格化した2023年以降の平均値である21.2倍とほぼ同水準といえる。

S&P500と予想株価収益率の推移のグラフ

アップルは10週続伸で25%高 S&P500の年間上昇率は4年連続15%超えも

こうした中、S&P500への影響が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価も堅調だ。29日までの週次の値動きでは、マイクロソフト(MSFT)が7.57%高となって2週ぶりの反発。メタ・プラットフォームズ(META)も3.65%高となるなど、7社中5社が値上がりしている。なかでもアップル(AAPL)は週次1.05%高で10週連続での上昇。この間、25.84%高となっている。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

イラン和平と企業収益への期待は、S&P500の見通しに関する強気な予想につながっている。ブルームバーグによると、ゴールドマン・サックスのストラテジストは28日、S&P500の年末目標水準を8000に設定。従来の7600から引き上げた。5月以降に目標株価を更新した16社のストラテジストのうち、8人が8000以上の水準を予想している。S&P500が年末に8000に到達すれば、年間上昇率は16.87%となり、4年連続で15%を超えることになる。ITバブル期の1995年から1999年にかけての5年連続以来の記録が期待されている形だ。

S&P500の年間騰落率の推移のグラフ

原油価格の高止まり懸念消えず 製造業景況感指数がS&P500の逆風になる恐れ

一方、イラン戦争終結の見通しには不透明感もある。イランメディアのタスニム通信は29日、米国とイランは「最終的な相互理解には至っていない」と報じた。また仮に米国とイランが60日間の停戦で合意し、ホルムズ海峡封鎖の解除が段階的に進んだとしても、中東産油国の原油生産はすぐには復活せず、世界経済の不安材料となっている原油価格の高止まりが続く可能性がある。この場合は米国を含む世界の経済活動にとっての逆風は止まず、S&P500にとっては悪材料といえそうだ。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の29日の終値は前日比1.73%安の1バレル=87.36ドルまで下がってきたが、イラン戦争開始前の2月27日終値との比較では30.35%高にもあたる水準だ。

WTIの価格の推移のグラフ

このため米国の株式市場では週明け1日午前10時(日本時間1日午後11時)に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する5月の製造業景況感指数(PMI)にも注目が集まりそうだ。1か月前に発表された4月のデータでは、企業の間でのイラン戦争の悪影響が強まっていくことを懸念する声が目立った。1日の発表がイラン戦争が引き起こした原油高などが米国の実体経済にダメージを与えているとの印象につながれば、S&P500に下落圧力がかかることも考えらえる。ブルームバーグによると、5月の製造業PMIは53.0と予想されている。

ISMの製造業景況感指数の推移のグラフ

AIブームで半導体株の急騰継続 楽観ムードがS&P500の上昇基調を維持か

ただ、S&P500の上昇の原動力であるAIブームへの楽観は勢いを増しており、投資家の強気は簡単には崩れそうにない。半導体大手アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は29日までの週次で10.39%高。ブロードコム(AVGO)も7.88%高となった。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)も週次15.26%高となり、前週の46.54%高の勢いが続いた。

エヌビディア、アーム・ホールディングスなどの半導体株の推移のグラフ

実際、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は低下が続いている。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの29日の終値は前日よりも2.60%低い15.32で、1月12日(15.12)以来、4か月半ぶりの低さとなっている。イラン和平への期待がつながっている限りは、S&P500の上昇基調は維持されるとの見方も成り立ちそうだ。

S&P500とVIXの推移のグラフ

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