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日経平均、AI株の急落加速も 週次1186円下落 週明けに重要発表続々

日経平均株価は週次反落。AI株の急落が足を引っ張った。週明けに相次いで発表されるTSMCの業績などが悪材料になる恐れがある。

Source: ブルームバーグ

Written by

小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

日経平均株価に波乱の恐れが増してきた。日経平均の10日の終値は1週間前比で1186.34円安となり、2週ぶりの下落。8日終値では最高値から7%超安い水準になるなど、株高の勢いが失われている。急騰してきた人工知能(AI)株が急落しており、AIブームの継続性への不安が株価の重荷になった。一方、日経平均はこのところの値下がりで割高感が和らいでいることは好材料。ホルムズ海峡の緊張をめぐる原油価格の上昇にも一服感が出ていて、今後は株価底打ちへの期待が出てくる可能性もある。ただ、週明け13日以降は半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC)などの業績や米国の消費者物価指数(CPI)の発表といった重要イベントが控える。AIブームや米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の見通しの変化がきっかけとなって、AI株の急落加速が日経平均をさらに下押しする恐れもありそうだ。

日経平均株価は週次1186円安 一時は最高値から7.67%安

日経平均株価(N225)の10日の終値は前日比では813.88円高の6万8557.73円。週次での値下がり(1186.34円安)は、米メモリ半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)の決算発表への警戒が相場を揺らした6月22-26日週(1889.18円安)以来、2週ぶりだ。日経平均は8日終値では3日続落の末に6万6819.05円となり、6月25日の最高値(7万2366.34円)から7.67%安となった後、9日と10日の値上がりで下げ幅を縮めた。

日経平均株価と週次の騰落額の推移のグラフ

太陽誘電は週次28.36%安 AI株がそろって急落

個別株の値動きをみると、AI株の下落が日経平均の値下がりを主導したことが明白だ。ブルームバーグによると、データセンター向けICパッケージ基板が好調なイビデン(4062)が週次13.04%安となって日経平均を204円押し下げ。AI向け半導体システムに用いられる積層セラミックコンデンサ(MLCC)が注目されている太陽誘電(6976)は週次28.36%安の急落で、日経平均に195円の下落効果をもたらしている。メモリ半導体のキオクシアホールディングス(285A)も週次7.56%安の急落で、日経平均の足を引っ張った。

日経平均株価を動かした構成銘柄の寄与額のランキング表

この3社はいずれもイラン戦争和平への期待が高まった4月以降の上昇率が2倍以上になっている7つの銘柄の一角。太陽誘電は1日の最高値から34.98%安となっており、株価が3分の2になった形だ。またキオクシアは6月22日の最高値から29.16%安、イビデンも同じく6月22日の最高値から23.18%安となっている。

太陽誘電、村田伊製作所、イビデン、キオクシアなどの株価の推移のグラフ

サムスン電子の決算速報に厳しい反応 半導体株高の維持は困難か

AI株を急落させたのは世界の株式市場に広がるAIブームの持続性への不安だ。日本時間7日には、2026年4-6月期決算速報値を発表したサムスン電子の株価が韓国の株式市場で急落。ブルームーバーグによると、サムスンの速報値は市場予想を超える好決算だったにも関わらず、株価は7日と8日の取引で合計12.74%安となった。サムスンの株価は6月18日の最高値段階で3月末比2倍となった後、7月10日終値では最高値から21.38%安となっている。サムスンは米マイクロンや、同じ韓国のSKハイニックスと並び、AI向けの高帯域メモリ(HBM)を手掛けるメモリ半導体の3強と位置付けられるが、それでも株高の維持は困難になっているといえそうだ。

サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーの株価の推移のグラフ

日経平均の割高感に和らぎ 原油高の一服も好材料

一方、日経平均は最高値から転落したことで割高感の和らぎも感じられる。ブルームバーグによると、日経平均の水準と構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は10日段階で24.5倍。終値で6万6000円台をつけた8日には24.0倍まで下がっていた。予想PERが事実上の上限といえる25.0倍まで戻る可能性と、足元の予想1株当たり利益の水準を考えれば、日経平均は7万円までの回復が期待できるとの見通しも成り立つ。また株式市場では片山さつき財務相が10日の閣議後会見で、年金基金の国内運用を後押しする方策について言及したことも株高要因とみなされており、今後も日経平均にとっての追い風になる可能性がある。

日経平均株価と予想株価収益率の推移のグラフ

また、イラン情勢をめぐる緊張がもたらした原油価格の上昇が落ち着いていることも日経平均にとっては好材料。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(8月渡し、WTI原油)は10日のニューヨーク市場の終値で1バレル=71.41ドルまで値下がりした。WTIはホムルズ海峡でタンカー3隻がイラン側からとみられる攻撃を受けた7日に一時、76.08ドルまで上昇していたが、ドナルド・トランプ大統領が10日にイランとの交渉継続を表明したこともあって安心感が戻ったようだ。原油高は物価上昇圧力を高めることで企業や個人の経済活動にブレーキをかけるとともに、各国の中央銀行の利上げ見通しを強めることから株価にとっての悪材料とみなされてきた。

WTIの価格の推移のグラフ

TSMCなどの業績でAI株急落加速も 米CPIでも投資家心理が揺れる恐れ

ただ、週明け13日以降の金融市場では重要イベントが数多く控えており、日経平均に強い下落圧力がかかることも考えらえる。13日にはTSMC(TSM)が6月の総収入の実績を発表。サムスンの決算速報同様、株式市場から厳しい評価を受ければ、日本のAI株の急落に拍車がかかる可能性がある。TSMCは当初、10日に6月実績を発表予定する予定だったが、10日は台湾の金融市場や官公庁が台風接近のために閉鎖されたため、発表が延期された。また15日にはオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが4-6月期決算を発表。16日にはTSMCが改めて4-6月期決算を正式に発表し、魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOらによる決算会見が開かれる。

また米国では14日に6月CPIが発表される予定。物価上昇圧力の強さが感じられればFRBの利上げ見通しが強まり、米国の株安を通じて日経平均にとっての逆風になる可能性もある。米国の株式市場でも半導体株は下落基調にあり、投資家の心理が大きく揺れる展開も考えられそうだ。

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