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米国株、AIブームに警鐘 S&P500先物下落 アルファベット時間外で急落

S&P500の先物価格は22日夕方の取引で下落。設備投資見通しを引き上げたアルファベットは時間外取引で急落した。23日のインテル決算もリスク要因だ。

米国株、AIブームに警鐘 S&P500先物下落 アルファベット時間外で急落 Source: ブルームバーグ

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小雲 規生

小雲 規生

シニアファイナンシャルライター/Senior Financial Writer

作成日

アメリカの株式市場が人工知能(AI)ブームの継続性に警鐘を鳴らした。S&P500種株価指数に関連した先物商品は22日夕方の取引で、アルファベットの2026年4-6月期決算発表を受けて下落。アルファベットが2026年の設備投資額の見通しを上方修正したことが要因で、アルファベットの株価は22日の時間外取引で急落した。同じタイミングで決算を発表したテスラの株価も時間外取引で急落している。また、S&P500は両社の決算発表を前にした22日の取引でも、大手ハイテク株の不振で反落。イラン情勢悪化を受けて原油価格が上がり続ける中、米連邦準備制度理事会(FRB)が29日に利上げに踏み切る可能性が再び高まってきていることが悪材料となった。一方、大手ハイテク各社の旺盛な設備投資意欲は、半導体企業にとっては追い風ともいえ、NVIDIA(エヌビディア)の株価は22日の時間外取引で値上がりしている。ただ、23日に予定されている半導体の名門企業インテルの決算発表は投資家の不安をかきたてる恐れがあり、S&P500の今後の見通しには下落リスクがつきまとっている。

S&P500先物は株式市場の取引時間終了後、上昇を経て下落

S&P500(SPX)に関連した先物商品(EミニS&P500先物=9月限)は22日午後10時59分段階(日本時間23日午前11時59分段階)で7530.75で取引されている。ブルームバーグによると、午後6時台には7515.75まで下落し、午後4時台につけた7554.00から0.51%安となる場面もあった。

S&P500の先物価格の推移のグラフ

アルファベットは2026年の設備投資見通し引き上げ 時間外で株価急落

S&P500の先物価格を左右したのはアルファベット(GOOGL)が午後4時に発表した4-6月期決算だ。アルファベットの4-6月期は、総収入が前年同期比24.2%増となって、ブルームバーグがまとめた直前の市場予想を超えたうえ、AIサービスの提供基盤となるクラウド事業の営業利益率も前四半期(1-3月期)より高くなる好決算。しかし午後4時30分からの決算会見で、2026年通期の設備投資額について1950億-2050億ドルとの見通しが示され、4月段階での1800億-1900億ドルから引き上げられたことが悪材料となった。アナト・アシュケナージCFOは決算会見で、2027年の設備投資額についても「大きく増加する」との見方を維持。「魅力的な投資機会がある限りは投資を続ける」と述べた。ブルームバーグによると、アルファベットの株価は22日の時間外取引で、決算発表後に一時値上がりしたものの、決算会見中には325.11ドルをつけ、直前の終値(342.09ドル)から4.96%安となった。

マスク氏がオプティマスの困難さに言及 テスラも時間外で急落

また22日の時間外取引では、アルファベットと同じタイミングで4-6月期決算を発表したテスラ(TSLA)の株価も急落した。4-6月期決算は総収入が前年同期比25.5%増となる一方、調整ベースの1株当たり利益は17.5%減となり、ブルームバーグがまとめた事前予想を下回る内容。またイーロン・マスクCEOは決算会見でヒト型ロボット「オプティマス」について大量生産することが「最も難しい製品だ」と言及し、世の中にはヒト型ロボットのサプライチェーンが存在しないことを理由に挙げた。またマスク氏が率いる宇宙開発企業スペースX(SPCX)とテスラの合併構想が取り沙汰されていることについては、事業分野に重複があることを認めながらも、「決算会見のような場では企業合併について話すことはできない」と述べるにとどめ、これまでテスラの株価を急騰させてきたマスク氏の壮大な事業構想は鳴りを潜めている。同時に、テスラのバイブハブ・タネジャCFOは決算会見で、2026年の設備投資額について250億ドルになるとの見通しを維持したうえで、「次の2-3年は増え続ける」としている。ブルームバーグによると、テスラの株価は22日の時間外取引で一時、354.59ドルをつけ、直前の終値(374.01ドル)から5.19%安となった。

S&P500は22日に反落 大手ハイテク株の下落が重荷

S&P500はアルファベットとテスラの決算発表を前にした22日の取引でも反落していた。S&P500の22日の終値は前日比0.14%安の7498.96で、6月2日の最高値(7609.78)から1.46%安に後退している。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

22日の取引ではS&P500への影響度が大きい、アルファベットやテスラなど「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価が不振だった。アルファベットが前日比1.46%安、テスラが1.30%安となっていたほか、メタ・プラットフォームズ(META)が5営業日続落の2.58%安、マイクロソフト(MSFT)が1.86%安になるなど、7社中の6社が値下がりしている。アルファベットやテスラの22日の時間外取引での値動きは、各社がAIサービス拡充などのために際限なく設備投資を続けることに投資家が警鐘を鳴らしたといえ、S&P500の23日の取引にも下落圧力として働きそうだ。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

原油価格の上昇止まらず FRBの7月利上げ確率は33%まで上昇

またS&P500の値動きをめぐっては、原油価格の上昇という悪材料も徐々に深刻さを増してきた。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(9月渡し、WTI原油)の22日の終値は1バレル=86.83ドル。1か月半ぶりの90ドル台が視野に入りつつある。イラン情勢をめぐっては、イエメンを拠点とする親イラン組織フーシが20日に紅海経由での石油輸出を阻止するための海上封鎖を表明したと伝わっている。原油価格の上昇は物価上昇圧力として働くことが避けられず、企業や個人の経済活動の逆風になりえるS&P500にとっての悪材料だ。

WTIの価格の推移のグラフ

こうした中、金融市場ではFRBが28、29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、物価上昇抑制のための利上げに踏み切るとの見方も再燃している。ブルームバーグによると、22日の金融市場で見込まれている7月FOMC後の政策金利の水準は3.713%で、5営業日連続で前日から上昇。利上げ確率は33%まで高まってきた。金利の先高観は株式投資の魅力を相対的に低くし、S&P500に下落圧力をかける要因だ。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

旺盛な設備投資意欲は半導体株には追い風 インテル決算はリスク要因

一方、大手ハイテク企業の旺盛な設備投資意欲は、AIサービス向けの最先端半導体を手掛ける半導体企業にとっては追い風といえる。エヌビディアの株価(NVDA)は22日の時間外取引で一時、直前の終値から1.15%高まで上昇。これに先立つ22日の取引でもエヌビディアの株価は3日続伸の前日比2.30%高、ブロードコム(AVGO)も3日続伸の2.67%高となった。米国に上場する半導体企業の株価の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も22日の終値で3日続伸の0.44%高となっている。

エヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングスなどの株価の推移のグラフ

ただ、半導体を生産する企業にとっては、ハイテク各社からの強い需要に応えるために生産能力を増強しなければならないという事情は、過剰投資リスクと背中合わせの難しい経営判断だ。半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が16日の4-6月期決算会見で、2026年の設備投資額の見通しを引き上げた際は、16日の米国株式市場でインテル(INTC)やアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの株価が急落。S&P500は16日から20日までの3営業日続落で合計1.71%安となった。

このためS&P500の今後の見通しをめぐっては、23日の取引時間終了後に行われるインテルの4-6月期決算発表も不安要素といえる。設備投資負担の重さが意識されれば、TSMCの決算発表時と同様に、S&P500への下落圧力が強くなる展開も考えられそうだ。

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