米国株、ハイテク株不安は後退? S&P500三連騰 物価上昇に懸念も
S&P500は18日まで3連騰。大手ハイテク7社がそろって上昇した。一方、FRBの利下げ見通しは後退していて、投資家心理は悪化したままだ。
アメリカの株式市場の不振に光が差す可能性が出てきた。S&P500種株価指数の18日の終値は前日比0.56%高で3営業日続伸。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価がそろって上昇し、人工知能(AI)関連の巨額投資をめぐる過度な不安の後退が感じられた。7社の株価は11月以降の不振で割安感が強まっており、投資家が買い意欲を高めている側面もありそうだ。一方、18日にはS&P500の見通しへの新たな不安も浮上。米連邦準備制度理事会(FRB)内で利上げの可能性が議論されていたことが分かり、S&P500の上昇の足を引っ張った。金融市場では投資家の不安心理は収まっておらず、20日に発表される物価関連の経済指標で改めて相場のムードが悪くなる可能性もある。
アメリカのS&P500は3営業日続伸 小幅ながらも明るい兆し
S&P500(SPX)の18日の終値は6881.31。3営業日続伸は1月27日までの5営業日続伸以来、約3週間ぶりだ。ブルームバーグによると、3連騰の間の上昇率は合計0.71%高と控えめで、1月27日の最高値(6978.60)の更新にはまだ1.41%高の上昇が必要とはいえ、明るい兆しとみることができそうだ。
マグニフィセント・セブンがそろって上昇 割安感に評価
18日の取引では、S&P500への影響が大きいマグニフィセント・セブンの7社の株価がそろって値上がりした。アマゾン・コム(AMZN)の株価は18日に前日比1.81%高となり、2日続伸。13日までの9営業日続落で合計18.18%安となっていた不振にブレーキをかけた。25日に2025年11月-2026年1月期決算を発表するNVIDIA(エヌビディア、NVDA)も18日に1.63%高となり、やはり2日続伸だ。この他の5社も0.17%高から0.69%高の上昇をみせている。
AI関連の巨額投資が不安視されてきた大手ハイテク各社の株価の上昇の背景には、割安感が意識されたことがありそうだ。ブルームバーグのデータによると、各社の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は11月以降の株価下落で大きく低下。アマゾンの株価収益率は13日段階で21.0倍となり、リーマン・ショックがあった2008年12月2日(20.2倍)以来、17年2カ月ぶりの小ささだった。マイクロソフト(MSFT)の予想株価収益率も5日の22.4倍が、株式市場でのAIブームの初期にあたる2023年1月10日(22.2倍)以来の割安感を示している。エヌビディアの予想株価収益率も5日に22.2倍まで下がり、ドナルド・トランプ大統領の相互関税発表などで金融市場が混乱していた2025年4月を除けば、AIブームが始まる前の2019年6月3日(22.1倍)以来の小ささだった。いずれもS&P500の予想株価収益率の23倍程度を下回っており、売られすぎの感も出ているようだ。
FOMCの議事要旨は利上げの可能性を示唆 年内3回の利下げ見通しが後退
一方、S&P500の今後の見通しをめぐっては、FRBの金融政策の動向が不安材料として浮上してきた。FRBが18日に公表した1月27、28日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、何人かの参加者が「物価上昇率が目標を上回り続けた場合には、政策金利の引き上げが適切になる可能性」があることをを声明文に反映することを支持すると示唆していたことが分かった。金融政策が4会合ぶりに維持されたこのFOMCでは、10人が決定に賛成する一方、利下げを主張する2人が反対票を投じていたが、利上げの可能性も議論されていたことが分かった形だ。パウエル氏は28日の記者会見で「次の金融政策変更が利上げであることは、誰にとっても基本シナリオではない」と述べていただけに、議事要旨の内容には意外感もあった。
この議事要旨の内容を受け、18日の金融市場ではFRBの利下げ見通しが後退した。ブルームバーグによると、12月のFOMC後の政策金利の水準は18日段階の見通しで3.065%となり、前日から0.029%ポイント上昇。年内3回の利下げ確率は28%となり、前日の40%よりも低くなった。金利の先安観が弱まったことは、株式投資の相対的な魅力を低くする、S&P500にとっての逆風だ。トランプ氏が次期FRB議長に指名したケビン・ウォーシュ元理事が金融緩和に慎重な「タカ派」ともみられていることも、やはり株価に追い風が吹くとの期待を弱めている。
投資家の不安は強いまま 12月PCE物価指数が強ければS&P500の見通し悪化か
こうした中、S&P500の先行きをめぐる投資家の不安は収まっていない。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の18日の終値は19.62。5営業日ぶりに20の大台を割り込んだものの、引き続き高水準といえる。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
このためS&P500は、大手ハイテク株の買い戻しが長続きしなかった場合や、経済指標の結果などでFRBの利上げの可能性が強まった場合には、改めて下落圧力にさらされそうだ。米国経済をめぐっては、米商務省が20日午前8時30分(日本時間20日午後10時30分)に12月の個人消費支出(PCE)物価指数を発表する予定。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総合指数の伸び率が前年同月比2.8%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が2.9%と見込まれているが、物価上昇率が予想を超える強さになればS&P500の見通しが悪くなる展開も考えられる。
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