米国株に失速リスク S&P500は2026年8%高予想 利下げ期待も
S&P500は年間上昇率が18%に到達。一方、2026年は8%高に留まると予想されているが、FRBの利下げ加速への期待もある。
2026年のアメリカの株式市場は失速リスクにさられれそうだ。S&P500種株価指数の26日の終値は1週間前比1.40%高で4週ぶりの高い伸び。2024年末比での伸び率は18%程度となり、株式市場のムードは明るさを維持している。一方、S&P500の2026年の伸び率は8%程度が予想されており、株価上昇の勢いが削がれるとの見方が強い。人工知能(AI)ブームの継続性をめぐる疑念が消えない中、企業の収益力の成長ペースが鈍化することへの不安もありそうだ。実際、大手ハイテク株の株価は2025年の減速が目立ち、2026年には実体経済が悪化するとの懸念も拭えない。ただ、2026年は米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに前向きになることが想定され、株式市場のカンフル剤として機能する可能性もある。FRBの利下げが株式市場での楽観ムードを下支えした場合には、S&P500の上昇ペースが維持される展開もありえる。
アメリカのS&P500は週次1.40%高 4週ぶりの高い上昇率
S&P500(SPX)の26日の終値は前日比では0.03%安で、6営業日ぶりの値下がり。ブルームバーグによると、週次での上昇は2週連続で、上昇率(1.40%高)はFRBの利下げへの期待が再燃した11月24-28日週(3.73%高)以来の大きさだった。2024年末比での伸び率は17.82%高で、3年ぶりの20%割れが近づいているが、株式市場のムードは明るい。
S&P500は2026年に7.71%高の予想 企業収益の期待が縮小か
一方、金融市場では2026年のS&P500の値動きをめぐる楽観ムードは感じられない。ブルームバーグによると、S&P500の2026年末の水準に関する市場予想の平均値は7464.18で、26日終値から7.71%の上昇が見込まれているにすぎない。リーマン・ショックに伴う株式市場の急変動が落ち着いた2010年以降の年次騰落率の平均(12.94%高)を下回る低調な上昇が想定されている形だ。
S&P500への期待が盛り上がらない背景には、これまで膨らんできた企業収益への期待が縮小するリスクがある。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は26日段階で300ドルで、株式市場でのAIブームが本格化した2023年からの3年間で34%程度上昇。これに対してS&P500の直近12か月の予想1株当たり利益は269ドル程度で、3年間での上昇率は20%程度にとどまる。予想1株当たり利益と実績1株当たり利益の差は30.64ドルで、2023年以降でほぼ最大だ。今後の大手ハイテク企業の決算発表などを経て、予想収益への期待が実績に沿った水準に修正されていけば、2026年のS&P500の上昇ペースが鈍化することも考えられる。
また、2026年は米国の実体経済の悪化がS&P500の逆風になる可能性がある。16日に発表された11月の雇用統計では失業率が4.6%となり、2021年8月(4.7%)以来の高さに到達。ブルームバーグがまとめた市場予想の4.5%を超える悪さとなった。23日に発表された2025年7-9月期のGDP速報値は個人消費の伸びが原動力となって実質成長率が前期比年率4.3%に加速したが、高所得者の消費への依存度が大きいとの指摘も多い。
次期FRB議長は年内にも指名か 利下げに前向きな情報発信でS&P500上昇も
ただ、2026年はFRBが利下げに前向きになることがS&P500を押し上げることも考えらえる。ドナルド・トランプ大統領は5月で任期が切れるジェローム・パウエル議長の後任に利下げに前向きな人物を指名することが確実視されており、年内にも人事が公表される可能性がある。
FRBの政策金利は10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で3.50-3.75%(中間値3.625%)まで下げられ、2024年9月までの5.25-5.50%から1.75%ポイント低くなっている。しかしトランプ氏はさらなる利下げを主張しており、FRBがFOMC後に示した経済見通しでは、2026年までに4回の追加利下げを主張する参加者もいた。トランプ氏の指名を受けて9月に就任したスティーブン・マイラン理事とみられる。
ブルームバーグによると、26日の金融市場では2026年12月のFOMC後の政策金利の水準は3.066%と見込まれており、現状から少なくとも2回の利下げが想定されている。トランプ氏が指名する次期FRB議長からの情報発信が利下げペースの加速を予感させれば、仮に企業業績への期待が縮小したとしても、2026年のS&P500の上昇ペースが維持される可能性もありそうだ。
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